産業のデジタル化推進のため「新たな4つの転換」を提唱―ファーウェイ

Record China    2023年11月29日(水) 8時0分

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ファーウェイの胡厚崑輪番会長が「2023中国5G+工業」インターネット大会行った基調講演が広く注目されることになった。胡輪番会長は産業のデジタル化推進のため「新たな4つの転換」を提唱した。

20日に湖北省武漢市で開催された「2023中国5G+工業」インターネット大会で、華為技術(ファーウェイ)の胡厚崑輪番会長が行った基調講演の「工業のデジタル化を深耕し、新型工業化を支援する」が広く注目されることになった。胡輪番会長は同講演で、ファーウェイは未来に向け、工業のデジタル化を深め、5G+工業インターネットなどデジタル技術の革新的強みを十分に発揮するとして「新たな4つの転換」を宣言した。

胡輪番会長が言及した「新たな4つの転換」とは、(1)産業設備のデジタル化、(2)産業ネットワークの完全接続、(3)産業ソフトウェアのクラウド化(4)産業データの価値化だ。

産業設備のデジタル化

中国の2015年における工業設備デジタル化率は42.9%で、21年には50%の大台を超えた。しかし6年間をかけてわずか10ポイント足らずの上昇にとどまった。さらに、地域による偏りや分野による偏りなどの問題もある。

胡輪番会長は、従来型設備のデジタル化設備への移行を推進するためには、ネットワーク接続、OS、工業用チップの3点セットが基礎になると指摘。まず高性能の工業用チップは強力な計算力を提供する「心臓」だ。次に、組み込み型産業用OSは「頭脳」であり、設備に指令してリアルタイムで複雑な作業を実行するために不可欠だ。さらにネット接続は「経脈」であり、データをアップロードし、逆にデータをダウンロードするために必要だ。

胡輪番会長はファーウェイとしてOpenHarmony(オープンハーモニー)とOpenEuler(オープンオイラ―)という二大OSをオープンソース化していると説明。それぞれ工業設備のIoT(モノのインターネット)とリアルタイム制御の需要を満たしていると紹介した。例えば、ファーウェイの携帯電話生産ラインの組立設備では最新のオイラーリアルタイムOSが稼働しており、自動化リアルタイム制御周期を1ミリ秒から125マイクロ秒に縮め、設備の運動精度と速度を大幅に向上させたという。ファーウェイは今後、オイラーとハーモニーの混合配備を実現し、工業設備のスマート連携相互作用とリアルタイム制御により優れたソリューションを提供するという。

中国では、10月に南方電網とファーウェイが電力ハーモニーOSを発表したことも注目された。電力事業用のOSであり、21年に発表した鉱山用のハーモニーOS・フォー・マイニングに続く、個別業界に特化したOSだ。

ファーウェイなどはこれまで、中国国内のIoT OSは種類が多く、プロトコルや仕様、安全性がそれぞれ異なり、単一の業務でしか使えない場合が多いという問題を指摘してきた。電力ハーモニーOSは異なるタイプのシステムや異なるブランドの電力設備をカバーすることを初めて実現し、設備のプラグアンドプレイ、大量データの相互接続を実現した点で画期的とされる。

産業ネットワークの完全接続

5Gネットワークはより広く、より深い産業の応用シーンに向かっている。例えば、荊州美の工場は2500台以上の5G端末の接続を実現した。5Gは生産、倉庫保管、セキュリティなどの多くの業務段階で応用され、産業パーク全体のカバー、全業務・全プロセスの貫通を実現した。

しかし、中国の工業設備の接続率は50%に満たず、依然としてデジタル化を制約する主たる要素になっている。工業企業には移動性、確実性、遅延時間の低減、帯域幅などで高性能のネットワーク機能が必要とされている。

現状における重要な動きとして、年末に開通予定の武漢地下鉄19号線が、5Gスマート都市鉄道路線になることがある。初の商用軌道交通のための5G専用ネットワークでであり、技術が先進的でコスト面が比較的優れ、業務の長期的な発展を満たす5G専用ネットワークが構築される。業務データの相互接続や共有が円滑になり、地下鉄の信頼性の高い運行や、設備の状態の全面的な感知、スマート調整などを兼ね備えたスマート都市鉄道新モデルになるという。

産業用ソフトウェアのクラウド化

大企業ならば、デジタル化のための資金も捻出しやすいし、得られる恩恵も大きい。しかし、中小企業は資金力や開発力などによる制約が大きく、結果として、そのままではデジタル化が遅れることになってしまう。胡輪番会長は、中小企業などにとってデジタル化に伴うより深刻な問題を緩和するために、クラウド利用の技術が有効と指摘した。

胡輪番会長によると、ファーウェイクラウドは自社の製造分野での経験蓄積に基づき、工業分野向けに工業基礎資源ライブラリー、データ管理プラットフォーム、大規模AIモデルなどの工業用ソフトウェア基盤を構築し、提携先企業を支援している。

また、ファーウェイの大方針の一つである「自社だけですべてをやろうとしない」は同分野でも健在であり、100社以上の産業用ソフトウェア分野のパートナーとともに産業用ソフトウェアクラウドを構築し、産業界の多くの顧客により良いサービスを提供しているという。

産業データの価値化

古くから、生産性の要素として土地(自然環境)、労働力、技術、資本の4点が挙げられてきた。現在ではデータが第5の生産性の要素だ。産業関連のデータはビジネス活動の質と効率を高めるために、最大限に利用されねばならない。ファーウェイが使う言い回しの「産業データの価値化」はまさに、産業データの活用を主張するものだ。そのために構築を進めているのが、ファーウェイクラウド・エクスチェンジ・データ・スペース(EDS)」だ。

ファーウェイクラウド(EDS)の機能とは、需要と供給双方のデータ使用の取り決めに基づき、データ工学的な方法により、データ提供側の「渡す勇気がない」、データ消費側の「入手しにくい」という問題を解決し、安全で信頼できる環境下でのデータ流通の実現だ。

ファーウェイ自身の財務監査を例にするならば、従来型の方法では毎年300人以上の財務担当者が1万部以上の下書き資料を監査機構に伝達する必要がある。ファーウェイ・クラウドEDSを利用すれば、監査資料の使用範囲を効果的にコントロールでき、電子ファイルであっても、「閲覧後はすぐに消滅」させることができる。データ交換のプロセス全体が透明的で、システム化された追跡も可能という。

産業分野の知識は深く蓄積されており、産業設備とシステムは複雑で多様だ。デジタル化プロセスは一足飛びには実現できず、各界が信念を抱いて着実に前進させていく必要がある。

胡厚崑会長は、ファーウェイは産業パートナーとともに、産業のデジタル化を深めていき、産業のデジタル化推進のための「新たな4つの転換」によって、新たな工業化を共に推進していきたいと表明した。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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