中国で国家データ局が発足、専門家「データ資源活用と安全維持の重要戦略措置」と評価

Record China    2023年10月30日(月) 10時0分

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中国では25日、国家数拠局(国家データ局)が設立された。デジタル経済の発展を推進し、同時に情報管理も進められているだけに、多くの専門家が国家データ局の果たす役割について論評した。

中国では25日、中央政府・国家発展改革委員の傘下機関として国家数拠局(国家データ局)が設立された。デジタル経済の発展を推進し、同時に情報管理も進められているだけに、多くの専門家が国家データ局の果たす役割について論評した。

中国メディアの観察者のコラムニストを務める復旦大学政治学科の沈逸教授は、「2022年の中国のデジタル経済の規模は50兆元 (約1020兆円)を超えた。GDPに占める割合は40%を超え、10%の高度成長を維持している。デジタル経済はすでに、経済成長の安定した新たなエンジンとなつつある」と指摘した。それだけに国家データ局の設立は国家にとって戦略的な意義を持つ重大な措置という。

沈教授をはじめとする専門家はいずれも、国家データ局を通じてデータ資源の統合、共有と開発、利用を統一的に計画することは、情報技術革命およびデジタル中国建設の必然的な要求と指摘した。その背景には、デジタル分野の技術革新と商業応用シーンが自然に成長する属性を持っているだけに、ガバナンス能力とガバナンス体系の確立、健全化と整備において、求められることが明確化しつつあることがある。

一方で、中国科学院院士(中国科学アカデミー会員)の梅宏氏は、中国はデータを「生産要素」に指定した初の国だと指摘。梅氏は中国でもデータの生産要素化は初歩的な模索段階であり、国際的にも前例がないと論じた上で、データの生産要素化は資産としての地位、権利帰属の確定、流通と取り引き、利益の分配と安全とプライバシーなどの面で、多くの障害が存在すると説明した。

沈教授は、中国が推進せねばならないこととしてまず、「デジタル経済下のデータ資源の規範化された商業応用のために、制度化された環境を創り、系統的、全面的に整備された規範と規制体系を構築すること」を挙げた。

沈教授はさらに、データ取り引きは、巨大な経済的潜在力を備えていると指摘。国家発展改革委員会価格監視センターの王建冬副主任は、「(2025年の)第14次五カ年計画の期間終了時に、わが国のデータ流通市場規模は1兆元(約20兆4000億円)規模に達する。巨大な市場機会だ」と論じ、「短期的に見ると、データ関連の基盤整備は3000億-5000億元(約6兆1300億円-10兆2000億円)規模のデータ取引市場を生み出す。中長期的に見ると、データ資産関連市場の潜在的な規模は60兆元(約1230兆円)以上になる」と説明したという。

沈教授はまた、「データ資源による価値創造は強い透過力と浸透性がある」と指摘。そのために、データ資源の利用は「いかにして、社会全体の利益に合致する方式で規範化し、実体経済に深く埋め込み、国と社会の持続可能な発展のためにより大きな貢献を確保するか」が重要であるとした。そのためには「制度の革新と統治能力体系の整備の分野でより多くの模索をする必要がある」という。

重慶市ビッグデータ応用発展管理局の代小紅局長は、データの取り扱いについて中国全国で統一することの重要性に言及した。中国では中央政府の方針に基づいて、各地方政府が地元の実情を加味して、具体的な施策を推進することが一般的だ。政策によって、中央の方針を厳格に推進することが求められながらも、地方の臨機応変な判断が幅広く認められる場合がある。

代局長はデータの取り扱いについて、「共産党中央が大所高所で、時勢を見て国家データ局設立の重大な戦略的決定を下したことにより、中央から地方までスムーズに運営される、活力に満ちたデータ業務の枠組みを形成するに違いない」と述べた。沈教授も、国家データ局の設立など中国は制度の「トップダウン設計」を行うことで、「国家の安全、企業のコンプライアンスコスト、デジタル経済発展の効果発揮、社会や個人の合法的権益保障を、統一的に進めることができる」と評価した。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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