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中国各地でここ数年、住民向けに栄養バランスの取れた食事を安価で提供する「社区食堂」が急速に発展。高齢者の食事を支える重要な柱としてだけでなく、心のよりどころにもなっている。
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中国各地でここ数年、住民向けに栄養バランスの取れた食事を安価で提供する「社区(コミュニティー)食堂」が急速に発展している、と国営メディアが伝えた。運営主体は全土で4700社超。高齢者の食事を支える重要な柱としてだけでなく、高齢者の心のよりどころにもなっている。
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AFP通信が紹介した国営新華社通信の記事によると、北京市西城区の社区食堂で食事をしていた高齢者の男性に感想を聞いたところ、「1回の昼食代がわずか10~20元(1元=約20円)。おいしい料理をおなかいっぱい食べられるし、近所の人たちとおしゃべりもできる。高齢者にとって便利なサービス」と話した。
男性は5月のオープン以来、ほぼ毎日利用している。店のスタッフによると、60歳以上を対象に割引を実施していることもあり、利用者の8割以上を高齢者が占める。
人気の理由は手ごろな価格と行き届いたサービス。各地の民政部などの部門が高齢者の食事支援を充実させるため実情に応じた政策を策定し、さまざまな助成金を出している。一部の社区食堂では移動に支障がある高齢者向けに宅配サービスを実施したり、糖尿病や痛風の患者に適した特別食など高齢者の個々のニーズに応じた食事を提供したりする。
江西省南昌市青雲譜区に4カ所ある社区食堂でも、60歳以上の高齢者は食事代が割引される。90歳以上の人は無料になる。上海市静安区の静安寺街道では高齢者カードの保有者に15%の割引を適用。割引部分は街道政府が助成している。
吉林大学公共衛生学院の栄養・食品衛生研究室の謝林教授は「人口の高齢化が進む中国では高齢者の栄養摂取が重要な問題となっている」と指摘。「社区食堂が増えることで、専門的な栄養管理が広がれば、多くの高齢者が適切に栄養を摂取できるようになる」と語った。
社区食堂は食事サービスを提供するだけの場所ではなく、社交の場でもある。高齢者たちは食堂でおしゃべりや交流を楽しみ、精神的な支えや安らぎを得ることができる。人との交流は高齢者の孤独感や喪失感を取り除き、社会参加や帰属意識を高め、心身の健康に良い影響を与えている。
中国国務院(内閣)がまとめた最新の予測によると、中国社会では高齢化が加速。全人口に占める60歳以上の高齢者の比率が2025年までに20%を超え、中程度の高齢化社会の水準に達する。さらに35年にはこの比率が30%を超え、超高齢化社会に突入する見通しで、増え続ける高齢者をどう支えていくかが急務になっている。(編集/日向)
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