中国と「強い相互影響」があった韓国の茶の歴史―在韓中国人研究者が紹介

中国新聞社    2023年9月3日(日) 23時0分

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韓国の茶文化は1000年以上の歴史を持つが、常に中国との相互影響があった。韓国の茶文化は現在も、中国との交流を通じて変化しつつある。

日本人の多くは、喫茶の風習は中国で発生し、日本に伝わったことを知っている。また、日本茶は「緑茶」の系統だが、中国では発酵茶であるウーロン茶なども存在することを知っている。日本人にはこのように、自国と中国の「茶事情」についての基礎知識はあるのだが、それ以外の「アジアの茶事情」については、あまり知らないのではないか。韓国・仁川大学の田傑教授はこのほど、中国メディアの中国新聞社の取材に応じて、韓国の茶文化とその歴史を説明した。田教授は仁川大学で中国語や中国文化を教えているが、中国及び日本や韓国、英国の茶文化の研究もしてきた。また、中国の喫茶の作法を体得した「茶芸師」の資格の持ち主でもある。以下は田教授の発言を整理するなどで再構成したものだ。

朝鮮半島は歴史を通じて、中国の茶文化を受け入れ続けた

茶が韓国にもたらされた時期については諸説があるが、多くの人は新羅の興徳王(在位826-836年)が中国に派遣した使者が、茶の種を持ち帰ったことが韓国で茶が広まった発端と見なしている。ただし、韓国にはもっと早い時期に茶が伝わっていたという説もある。韓国の場合、それぞれの時代に中国からの茶文化が伝来したという特徴がある。すなわち、中国と韓国において茶文化は「並行的に発展」しており、この点、日本と韓国の「茶の歴史」には違いがある。

現代でも、韓国には中国から茶文化が伝来し続けている。最近ではプーアル茶が普及した。現代的な広告活動が関係したのかもしれないが、韓国ではプーアル茶が広く飲まれるようになった。中国を旅行した際にプーアル茶を買って、親戚や友人に贈る人も多い。韓国では多くの業者が、プーアル茶の茶葉を扱うようになった。それ以外に、ウーロン茶の認知度も高まった。韓国では中国茶を好む人が増えている。中国茶について学び、さらには茶芸師、茶評師などの中国の資格を取得する人もいる。

中国茶は緑茶、白茶、青茶、紅茶、黒茶、さらに花などの香りをつけた花茶など、種類が極めて多い。そして、多くの人が好む茶の種類が移り変わる流行現象が発生するようにもなった。韓国人の茶の好みは、中国での流行と連動している面がある。

茶は文化を運ぶ「媒体」の役割を果たす

韓国の茶文化には1000年以上の歴史があり、さまざまな変遷があった。たとえば新羅時代には茶葉を粉状にして湯に入れて飲んだ、すなわち抹茶を楽しんでいた記録がある。この時代に茶を楽しんだのは王族や僧侶だった。

高麗王朝時代(918-1392年)には、上流階級から庶民まで茶をたしなむようになった。茶を管理する政府機関が出現し、主に茶を栽培する「茶村」が成立し、庶民のための茶屋もできた。高麗王朝時代の茶の作法は、ほぼ同時期の宋(960-1279年)の影響を受けた。高麗は宋から竜鳳団茶という茶を輸入し、脳原茶という茶を宋に輸出していた記録がある。また、中国では高麗王朝時代の朝鮮で発達した青磁が評価された。このことも双方の交流に拍車をかけた。

朝鮮では李成桂が1392年に李氏朝鮮を成立させた。高麗王朝時代の朝鮮では仏教が盛んだったが、李氏朝鮮では儒教が国教とされ仏教は弾圧された。朝鮮半島の茶文化はもともと仏教と関わりが深かったが、李氏朝鮮時代には仏教と関係の深い茶文化は後退し、各種の儒教の儀式と関連する茶の文化が盛んになった。

日本が朝鮮半島を植民地支配していた時代には日本の茶道が推進され、朝鮮半島の伝統的な茶文化は「封じ込められた」状態だった。戦後になり、韓国では自らの茶文化が徐々に回復し始めた。1992年の中韓国交正常化後には、留学生の増加と貿易の緊密化に伴い、中国茶文化は再び大規模に韓国に入ってきた。

韓国の茶文化は中国の茶文化大きく関係しているが、もちろん韓国独自の面もある。その中で比較的鮮明なものにはまず「禅茶」と「茶礼」の併存がある。「禅茶」とは仏教と茶文化の融合したものだ。韓国人は先祖を祭るなどの重要な儀式の中で、茶を捧げる儀礼を執り行う。これが「茶礼」だ。

韓国・済州島産の緑茶を扱う専門店O'sulloc Tea House

茶とはそれ自体が一つの文化を形成するものだが、同時に茶以外の文化を運ぶ媒体でもある。例えば、現在では茶を好む韓国人は紫砂壷という茶器を知っている。中国の茶器が伝わったものだ。韓国には茶文化に伴って中国の陶磁器文化も伝わったわけだ。

私の茶好きの韓国人の友人の多くは、私に茶に関する中国語の言葉を聞いたりする。中国の茶文化の聖地を訪れる人もいる。私の知る範囲でも、茶文化を学ぶ学生グループが中国の武夷山などを訪れ、茶を栽培している山に入って中国人がどのように茶を作ったり飲んだりしているかを見学した。彼らは中国の茶文化をさらに深く理解すると同時に、中国社会に触れて、中国と中国文化全般に対する認識を広く深くした。

今も互いに影響を与え合う韓国と中国の茶文化

私は中韓には文化交流における発展の余地が今も大きいと思う。韓国は外来文化との接触が多く、特に中国の伝統文化と相通じるところが多い。中国は極めて古くからさまざまな文化を育んだ国だ。そして両国は隣国の関係だ。双方の文化が改めてぶつかり合えば、文化の発展の新たな可能性が出てくる。

現在すでに、多くの韓国の陶芸家が茶器を作っており、中国で開催される茶関連のイベントでも作品が展示される。私の中国人の友人に、韓国の茶器セットを持っていることを自慢している人がいる。これは茶文化に媒介された相互交流の具体的な例だ。

茶そのものの話題に戻れば、韓国では歴史を通じて緑茶が生産されてきた。しかし近年では「黄茶」と呼ばれる一種の発酵茶が生産されるようになった。この茶の風味は中国の「白茶」、しかも古いタイプの「白茶」に似ている。韓国の「黄茶」を中国に輸出すれば、ビジネスとして一定の成功を収めると思う。

これから韓国の茶葉を中国に広めることができれば、中国の茶文化はさらに豊かになる。同時に、中国の茶文化は引き続き韓国に影響を与え、韓国の茶文化を豊かにしていくはずだ。このような交流の意義は極めて大きい。(構成 / 如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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