中国大陸側が台湾に対する貿易優遇を取り消しか、「WTOの規則違反の疑い」との指摘も

Record China    2023年8月21日(月) 14時30分

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中国側に、貿易で台湾に恩恵をもたらしてきた「海峡両岸経済協力枠組協定」を見直す動きが出た。写真は台北。

中国商務部の束●婷(シュウ・ジュエティン、●は王へんに「玉」)報道官は17日、「初歩的調査によると、台湾地区の対大陸貿易制限措置は世界貿易機関(WTO)の規則に違反している疑いがある」と述べた。台湾が大陸からの輸入を禁止する製品の範囲は近年、拡大傾向を示している。大陸側による調査対象品は現在までに2509件に達したという。中国大陸側と台湾側は「海峡両岸経済協力枠組協定」(ECFA)を結んでいる。大陸側報道官が台湾との貿易問題に言及したことで、ECFAで台湾製品に与えられている税優遇措置の中止または一部中止が注目されるようになった。

束報道官は続けて、「商務部は貿易障壁の調査状況を踏まえ、関連規定に基づき相応の措置を検討する」と述べた。中国政府で台湾関連を担当する国務院台湾事務弁公室の朱鳳蓮報道官は18日、同件について「関連主管部門が、貿易障壁の調査状況を踏まえて規則に基づきECFAの下で台湾製品に与えられている関税優遇措置の中止または一部中止を検討することを支持する」と述べた。

ECFAに基づく大陸側による台湾製品への優遇措置が撤廃されれば、台湾側にとってより大きな打撃になる。例えば、ECFAの早期獲得リストについては、台湾から大陸に輸出される商品では2011年から22年3月末までに関税88億2100万ドル(2023年8月時点の為替レートで約1兆3000万円)分が減免された。一方で、大陸から台湾に輸出された商品では、わずか8億8900万ドル(約1300億円)だった。

また、2000年以降は中国大陸と香港が台湾にとっての最大の輸出市場で、現在は台湾からの輸出の40%程度が中国大陸あるいは香港向けだ。大陸側税関によると、22年に台湾は大陸との取り引きで、貿易黒字1565億ドル(約22兆8000億円)を享受した。台湾側の公式統計でも1004億ドル(約14兆6000億円)の黒字だった。

民進党当局は16年に政権を奪取する前には、ECFAなどで台湾に「利を譲る」大陸側の政策を「糖衣毒」と批判していた。しかし、その後は当局関係者が「政治的要因によるECFAの中止を望まない」、「ECFAの中止は双方に損失をもたらし、両岸関係を破壊することになる」などと発言するなどで、ECFAについての変更はしてこなかった。

台湾で蔡英文政権が発足して以来、中国大陸側と台湾の関係は急速に悪化した。最大の原因は、蔡英文政権が「九二共識(92コンセンサス)」を認めようとしないことだ。「九二共識」とは大陸側と台湾側が1992年に香港で協議した際に、双方ともに「一つの中国」を認めたとされる合意だ。ただし、台湾側では「『九二共識』は存在しない」という政治関係者もおり、さらに台湾側で国民党は「九二共識」を認めているが、国民党と大陸側では「九二共識」の内容が異なっている。

いずれにせよ、大陸側にとっては「中国は一つであり台湾は中国の一部」が絶対に譲れない「大原則」だ。香港メディアの香港01によると、ECFAについても台湾側が「九二共識」を認めることが、本質的な条件となる。なぜなら、ECFAは「一つの国の中での商取り引きの協定」であり、仮に「国と国の協定」とすれば、「一つの国が他国に一方的に利益を譲る」ことは、WTOの規則に違反することになるからという。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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