不動産大手の債務危機が招く中国経済のリスク、解消法は?―独メディア

Record China    2023年8月21日(月) 9時30分

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17日、ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、大手不動産会社の債務危機の発覚による中国経済のリスクについて、専門家の見解と共に分析した。写真は広東省江門市の碧桂園グループの不動産。

2023年8月17日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、大手不動産会社の債務危機の発覚が続いている中国経済の抱えるリスクについて、4人の専門家の見解と共に分析する記事を公開した。

記事は初めに、8日に米ドル建て債務の利払いが滞っている事が発覚し、香港市場で株価が暴落した碧桂園グループが、14日から深セン上海など国内の証券取引所での債券取引を停止したことや、今年4月に香港市場で過去最大の株価暴落を記録した融創中国など、不動産大手に財務危機を伝えるニュースが相次いでいる事を紹介した。さらに、国有企業の中国人寿と大家保険が二大株主になっている中国遠洋海運集団(コスコ・グループ)も、同様に債務利払いが滞っている事態が14日に発覚し、香港メディアの推測では、同社の17~21年の利益が、今年上半期の累積赤字で吹き飛ぶほどの財務危機が起こっていると紹介し、「同社の累積赤字の原因も、元をたどれば不動産市場の低迷が原因」「国有企業が後ろ盾になっているから安全、という理屈はもはや成り立たない。市場は中国人寿と大家保険が遠洋集団を支えるのか否かを注視している」との見方があることを伝えた。

次に記事は4人の専門家の見解を紹介した。1人目の欧州経営大学院(INSEAD)の経済学教授のプシャン・ダット(Pushan Dutt)氏は、「中国の指導者層は不動産開発業者や不動産投資者へある程度のサポートを提供するだろう」「もし不動産市場を支えなければ、他の業界にも悪影響を及ぼし、日本でいう『失われた十年』のような長期の不景気を中国も迎えることになるだろう」と、中国政府が碧桂園へも救いの手を差し伸べるとの見方を示した。

2人目のPGIM(ピージム)フィクスト・インカムのグローバル・マクロ経済調査チームのアジア担当主任エコノミスト、ガーウィン・ベル(Gerwin Bell)氏は、「不動産業界がもたらす不利益な効果を抑制するためにも、今までよりもはるかに強力な財政刺激措置を、当局が実施することが必要になるだろう」と論じた。

3人目の香港中文大学のマギー・フー(Maggie Hu)氏は、「状況がひっ迫しているなら、中国政府は不動産購入者と銀行の利益を保障するための政策を実施するだろう」として、碧桂園が政府から支援を受ける可能性はかなり低いとの見方を示した。

4人目のナティクシス・リサーチのアジア太平洋チーフエコノミスト、アリシア・ガルシア=エレロ(Alicia Garcia-Herrero)氏は、ドイチェ・ヴェレの取材に対し、「中国の不動産価格が上昇しないままなら、不動産業のビジネスモデルが持続できなくなり、碧桂園のような企業は生き残れないだろう」と論じた。

記事は最後に、15日に政府が発表したデータを引用し、「今年1~7月分の不動産投資額は6兆7700億元(約135兆900億円)で、前年比8.5%減と大きく落ち込んでおり、また新築住宅の平均価格は、35都市で今年の6月までで17カ月連続で下落している」といったデータを紹介する一方で、中国国家統計局の付凌暉(フー・リンフイ)報道官が、同日の北京での記者会見において「中国はデフレではなく、将来もデフレにならない」「(中国不動産開発会社のリスクについて)政策の最適化により徐々に解消される可能性がある」との見解を公表したことを併せて紹介した。(翻訳・編集/原邦之

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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