中国が予想外の利下げ、新たなリスクに直面し景気てこ入れ―海外メディア

Record China    2023年8月19日(土) 6時0分

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中国人民銀行は中期貸出制度の1年物金利を予想に反して2.5%に引き下げると発表。海外メディアは「中国経済は新たなリスクに直面しており、景気のテコ入れを図った」と報じた。写真は北京・天安門広場。

中国人民銀行(中央銀行)は15日、中期貸出制度(MLF)の1年物金利を予想に反して2.5%に引き下げると発表した。従来は2.65%だった。米ブルームバーグ通信は「中国経済は不動産市況の悪化や個人消費の伸び悩みによる新たなリスクに直面しており、景気のてこ入れを図った」と報じた。

中国国家統計局が15日発表した7月の工業生産は前年同月比3.7%増。ブルームバーグ通信調査のエコノミスト予想中央値は4.3%増で6月は4.4%増だった。7月の小売売上高は前年同月比2.5%増。6月は3.1%増えていた。

都市部失業率は5.3%と、6月の5.2%から上昇。国家統計局は若者の失業率について調査方法を見直すとし、その間は公表を停止した。16~24歳の6月の失業率は21.3%と、過去最悪を更新していた。ブルームバーグ通信は「データの透明性をめぐり投資家の懸念が広がっている」と伝えた。

内需に関して国家統計局は「なお『不十分』で経済回復の基礎を引き続き強化する必要がある」と声明で分析。「マクロ経済政策の調整を強化し、内需拡大や信頼感の押し上げ、リスク防止に注力」しなければならないとした。

ブルームバーグ通信によると、中国不動産開発大手の碧桂園債務危機に直面しているほか、住宅販売の減少も続いており、予想外の利下げは当局が不動産市場を中心に先行きの悪化に懸念を強めていることを示唆している。リスクは金融セクターにも広がりつつあり、不動産セクターにエクスポージャーを持つ主要金融コングロマリット傘下の企業が一部の信託商品で支払いを履行できなかった。

中国共産党中央政治局が7月の会議で景気を重視する姿勢を示して以降、当局には財政・金融の刺激策強化を求める声が寄せられていた。

ユニオンバンケールプリヴェ(UBP)のアジア担当シニアエコノミスト、カルロス・カサノバ氏は「7月の中央政治局会議は景気支援の強化を極めて明確に強調していた。今回の利下げ決定はそうした方向での最初の具体的なステップだ」と指摘。次は預金準備率が引き下げられると見込んでいる。

クレディ・アグリコルの中国担当チーフエコノミスト、治暁佳氏は「MLF金利の引き下げタイミングはやや早く、0.15ポイントの下げ幅も予想より大きく、中国当局が見通しと景気の安定化に向けて緩和策を強化する切迫感を抱いていることを示している」と分析。「向こう数カ月以内に追加金融緩和が講じられる公算が大きい」との見方を示した。(編集/日向)

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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