日本の「1億総中流」神話が崩壊―中国メディア

Record China    2023年8月16日(水) 8時0分

拡大

14日、環球網は、かつて「1億総中流」と呼ばれるほど層が厚かった日本の中流社会が縮小の一途をたどっているとする文章を掲載した。写真は池袋。

2023年8月14日、中国メディアの環球網は、かつて「1億総中流」と呼ばれるほど層が厚かった日本の中流社会が縮小の一途をたどっているとする文章を掲載した。

文章は、日本で1950年代後半の高度成長によって生活水準が飛躍的に向上し、70年代から80年代にかけては日本人の約90%が自分の生活水準を「中流」と考える「1億総中流社会」が形成されたと紹介。日本社会のジニ係数(1に近いほど貧富の差が大きい)は80年に0.349と戦後最低値を記録したと伝えた。

そして、現在の基準では日本の中流家庭は平均年収550万円で、持ち家を購入する余裕があるとされており、この基準に照らすと日本の中流家庭は90年代以降縮小していると指摘。96年の日本の家庭の年収中央値は550万円だったが、2021年には約440万円まで下がっているほか、1985年に日本社会の63.9%を占めていた中間層の割合も、2018年には58.1%まで低下したと紹介している。

その上で、日本の中間層縮小の理由に新型コロナを挙げる声が大きいものの、新型コロナはもともと存在する問題を悪化させただけだったとし、多くのアナリストが1990年代から2000年代初頭にかけての「失われた10年」を主な原因に考えていると伝えた。また、バブル崩壊後に政府が行った企業の規制緩和で終身雇用制度が崩壊し、非正規労働者が増加したこと、長期的に賃金が増えない一方で住宅費や教育費、さらにはインフレにより日常的な支出が増加していることも中間層の縮小に拍車を欠けているとの分析を紹介した。

さらに、中国現代国際関係研究院の劉軍紅(リウ・ジュンホン)研究員が「日本の所得分配の問題も、中間層縮小の原因だ。日本の失業率は見かけ上非常に低いが、労働者の所得は大きく増加しておらず、特に女性、高齢者、定年退職後の再雇用者の賃金は非常に低く、そのため日本全体の所得構造が低発展の傾向にある」と論じたことを伝えた。

記事は、中間層を再び拡大する方法について日本の学者からは「製造業が戦後の日本の立ち直りと大規模な中流社会の形成をけん引してきた。 現在、円安によって日本の製造業は一部で国内回帰の動きがある。国内の製造業が回復すれば、経済が回復して中間層が増え、中間層が増えれば出生率も上昇する。人的資源をよりダイナミックに配分することで、日本は中間層が減少する状況から脱することができる。既存の雇用システムを改革すべきだ」との見方が出ているとした。(翻訳・編集/川尻

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携