一帯一路、イタリア離脱の動きに「後悔先に立たずに」とけん制―中国メディア

Record China    2023年8月5日(土) 6時0分

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G7で唯一、中国主導のシルクロード経済圏構想「一帯一路」に参加しているイタリアが離脱の動きを見せている。中国メディアは「イタリアは後悔先に立たず」などとけん制した。写真はイタリア国旗。

先進7カ国(G7)で唯一、中国主導のシルクロード経済圏構想「一帯一路」に参加しているイタリアが離脱の動きを見せている。同国のクロセット国防相は7月末、「(対中)関係を傷付けずに撤退する必要がある」と発言。中国メディアは「イタリアは後悔先に立たず」などとけん制した。

イタリアが一帯一路への参加で合意したのは2019年3月。EU(欧州連合)懐疑派だった当時のコンテ政権が中国の巨額投資を財政難解消の足掛かりにすることを狙った。しかし、コロナ禍もあって中国からの投資は進まず、英紙フィナンシャル・タイムズによると、19年に6億5000万ドル(現レートで約910億円)だった中国からイタリアへの直接対外投資は、22年は9110万ドルに減った。

伊政府の統計では中国からの輸入額は19年の317億ユーロ(約4兆9000億円)から22年には575億ユーロに増えた一方、輸出額は130億ユーロから164億ユーロと微増にとどまり、貿易赤字も拡大した。

イタリアにとって実利がない一帯一路への不満は、昨年10月に中国に厳しい姿勢を取るメローニ首相が就任したことで高まった。同首相は「一帯一路に参加しなくても良好な対中関係は可能だ」と離脱を示唆。7月27日のバイデン米大統領との会談でも一帯一路の離脱について意見交換した。今後、伊国会で離脱をめぐる議論が進められる見通しだ。

こうした中、イタリアのクロセット国防相は7月30日付の地元紙とのインタビューで「一帯一路への加入の決定は行き当たりばったりだった」と断言。現政権の閣僚として離脱に向け「強いシグナル」を発信した。

これに対し、中国網は「一帯一路は地域経済協力枠組みであり、国防と関係を持たない。成果を評価する資格を持つのは貿易部門、経済発展部門、もしくは財政部門だ」と指摘。「クロセット氏は国防相でありながら、イタリアの対中経済協力に関して真っ先に『砲撃』を仕掛けるのは、その立場だけでも不適切」と反発した。

さらに「イタリアが現在置かれている苦境が誰のせいであるかは一目瞭然だ。19年に一帯一路への参加を決定してから、米国はイタリアに強い圧力をかけ、『西側の裏切り者』のレッテルを貼り付けたいほどだった」と言及。「メローニ首相の訪米前、ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は公然とイタリアに『教え』を垂れ、中国との経済協力は『見返りが伴わない』とし、『代替案を用意する』と表明した」と付け加えた。

その上で中国網は「単純にイタリアの国益を出発点とするならば、一帯一路への参加は紛れもなく有利だ」と強調。「イタリアが外部からの干渉を排除し、理性的に決定することを願う。これはイタリアの政治の知恵、外交の自主性が試される時だ」と訴えた。(編集/日向)

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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