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ウクライナ問題で西側企業がロシアから撤退したことにともない、中国からロシアへの越境ECを利用した商品販売が急増している。ただし中国側業者にとっては、問題も存在する。
商品や消費などを扱う中国の情報サイト「虎嗅」は22日付で、越境EC(電子商取引)を通じて、中国の商品が大量にロシア向けに売られていると紹介する記事を発表した。ロシア国内から西側企業が撤退した間隙を突いた状況という。
オゾン(OZON)は1998年に設立されたロシアの有力ECプラットフォームで、「ロシアのアマゾン」などとも呼ばれる存在だ。中国の販売業者はかつて、オゾンにそれほど注目していたわけではないが、2022年にロシアがウクライナに侵攻した関係で、ロシア国内で電子製品や軽工業製品が不足するようになると、オゾンを通じて商品を販売する中国の業者が急増した。
オゾンの越境ECを扱うオゾン・グローバルによると、扱う商品の9割以上が中国のアカウントからのものになった。オゾン・グローバルは22年11月に広東省深セン市内に事務所を開設し、中国のSNSを通じて、中国の業者向けに利用方法を紹介するようになった。オゾン・グローバルは24年までに、利用する業者を10万に増やす方針という。オゾン・グローバルを利用する国外業者は4万に達し、23年第1四半期の売上高は前年同期の4倍に達した。
ロシアではウクライナ侵攻が始まってから2カ月以内に外資系企業1000社近くが、ロシアからの撤退やロシア国内での事業を停止した。ロシアに留学している張楓さんは「マクドナルドやコカ・コーラは姿を消した。ナイキやアディダスなどのブランド品は、中国の業者からECで購入する必要がある」と説明した。ただし、ロシア国民が最も強く関心を持つのは、品薄で価格が高騰した日用品や食糧という。
商品価格が高騰していることは、販売側にとって有利だ。そのため、大学でロシア語を専攻した人が、ロシア向け販売を狙って越境ECを手掛けるようになる現象も見られるという。また、深センなどでは中国国内で携帯電話を購入して、分解して部品をロシア向けにECで販売する業者が発生した。
オゾンなどロシアのECプラットフォームは未熟な面も大きい。業者からは「アマゾンは商品販売に際して、3、4段階にカテゴリーを細分する必要があるが、オゾンではカテゴリー分けがおおまかだ」と指摘する声も出ている。そのため、中国の業者が多数のショップを開設し、それぞれで多種類の商品を販売する現象が発生した。確率は低くても売れ筋がよい商品が生まれれば、大きな利益を出せる販売につながるとの戦術だ。
ただし、中国側にとってロシアへの越境EC通販で発生する経済規模は、現在のところさほど大きくない。例えば、22年通年の中国の業者のオゾンを通じた売上高は計30億元(23年7月23日時点の為替レートで約約590億円。日本円換算は以下同じ)で、同期におけるインドネシアへの越境EC通販は、TikTokShop(ティックトックショップ)を経由したものだけでも、25億元(約490億円)だった。また、中国国内でECのセールを実施すれば、1日当たりの売上高だけで1000億元(約1兆9700億円)を突破する。
また、ロシア側のインフラや制度が整備されていない問題もある。ロシア国内にEC向けの物流倉庫が整備されていないために、各注文に対して中国国内で小分けして発送せねばならない。そのため、物流コストが高くなり1キロ当たり70-80元(約1380-1580円)もかかってしまう。さらに、商品が発注者に到着するのに30日前後かかり、さらに販売業者に代金が振り込まれるまでに1カ月以上もかかってしまう。販売業者が増加したために、競争も激化した。
ロシア通貨の為替レートの変動が大きいこともリスクだ。ロシアルーブルはウクライナ侵攻直後に大暴落し、22年夏ごろには高騰し、その後は再び下落。そのため、資金繰りの「つじつま」が合わなくなり、対ロシアECから撤退した中国の業者もいる。ロシアでは中国製品に好感を持つ人が多いが、越境ECについては、「30日前に2000ルーブルで購入した商品が、現在は1000ルーブルで買えることに気付いた」などの理由で、購入者が返品や補償を求めるケースも増えているという。(翻訳・編集/如月隼人)
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