自動車輸入の減少続く中国、欧州高級車の踏ん張りでそろそろ下げ止まりか

Record China    2023年7月11日(火) 5時0分

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中国では自動車の輸入台数の減少が続いている。ただ、欧州ブランドの高級車などでは好調が維持されている。業界からは、輸入車台数は現在の水準を維持するのではないかとの見方が出ている。

中国では自動車の輸入台数の減少が続いている。ただ、ブランドによっては輸入台数が増えている事例もある。特に欧州の高級車の場合には売れ行きが好調な場合もある。業界からは、自動車輸入の販売台数が再び増加することは考えにくいが、おおむね現在の水準を維持するのではないかとの見方が出ている。

車種によっては健闘も、ただし全体としては長期低落傾向

乗用車市場情報聯席会(乗聯会)によると、5月の中国の自動車輸入台数は前年同月比18%減の5万8400台だった。1-5月の輸入車の累計輸入台数は、前年同期比28%減の28万4000万台だった。

需要と供給の関係で、輸入自動車を値引きする例が多い状態だ。販売側はそれ以外にも、試乗するだけでプレゼントを贈呈するなどの、各種の特典を設けている。業者側は、在庫の整理に力を入れていると考えられる。

しかし、すべての輸入車が値下げされているわけではない。例えばトヨタのアルファードは「値上げの伝統」を維持している。値引きされているのは主に薄利多売の商法を展開する大衆車という。輸入車の販売価格は長年に渡り、買い手が少ない車種は値引き販売し、買い手が多ければ価格を引き上げる現象があったが、現在はこの状況が変化しつつあるとの見方がある。

乗聯会によると、1-5月の輸入車ブランドのトップ3はベンツ、BMW、レクサスで、うちベンツの販売台数は前年同期比44%増の7万7621台、BMWは同68%増の7万5523台、レクサスは同24%減の5万4131台だった。輸入車の販売台数では日本車や米国車の減少が目立ち、ベンツ、BMW、ポルシェなどは売れている。

中国でも事業を展開するオリバー・ワイマンの張君毅氏は、「全体的に見るとドイツ車の競争力は相対的に強い。特に高級車だ。一方でレクサスはESモデルなどで競争力が低下しており、全体の減少幅が大きい」と述べた。また、輸入車の約90%が高級車であり、高級車の売れ行きが、輸入車市場全体でのシェアに大きく反映される状態という。

乗聯会によると輸入車の中で高級車が占める割合は2019年には79.8%だったが、23年には91%にまで上昇した。超高級輸入車のシェアもやや上昇しているという。

中国の輸入車台数のピークは14年の142万台で、17年には124万台だった、その後は年平均で10%前後の減少を続け、22年には88万台になった。

中国でのEV志向の影響が相対的に小さい高級輸入車

輸入車が振るわない背景には、中国市場での電動自動車(EV)志向に、輸入車が十分に対応していないことがあるとされる。乗聯会の崔東樹秘書長によると、輸入高級車の場合には、従来型のエンジン車でも影響は相対的に少ない。しかし、輸入エンジン車の需要は全体として明らかに減少した。

オリバー・ワイマンの張氏は、「現在の輸入車ブランドのEV化の布石は、しばらく前からの中国の新世代消費者のEVに対する関心と予想には完全に合致しておらず、スマート化の程度も相対的に遅れている」と指摘した。

また、業界内では輸入車種の国内生産化が輸入車市場に一定の影響を与えていると認識されている。例えば、22年3月にはBMW X5の中国国内生産が始まり、販売価格が引き下げられた。そして輸入版のBMW X5の販売台数は減少した。テスラが中国国内で生産されることは、EVなど新エネルギー輸入車の販売規模をある程度押し下げているとされる。

中国自動車流通協会輸入車委員会の王存主任は、「多国籍自動車メーカーの戦略は調整され、販売台数を追求するのではなく、高級車のブランド性をより強調することで、利益を重視するになるだろう」との見方を示した。

中国の輸入車市場で生き残るのは高級車と個性的な車種か

多国籍自動車メーカーには、中国市場での事業体制を調整する動きもある。仏自動車メーカーのステランティスは広州汽車との合弁で中国国内で傘下ブランドのジープの製造販売の事業を立ち上げたが、22年10月には販売低迷のために合弁会社の破産を申請した。しかしステランティスは、ジープなど複数のブランドについて、中国外で製造された車を輸出する形で、中国関連事業を維持する方針だ。

ゼネラルモーターズ(GM)中国は、より多くの輸入車種を導入する計画で、中国での合弁会社である上汽通用とは別の販売ルートを構築する方針だ。

張氏は、中国への自動車輸出について、今後も個別ブランドに成長の機会はあるが、販売に適し、中国の消費者向けにカスタマイズや変更を施した一部の車種や、新たにチャネルを確立した一部のブランド車種に限られるとの見方を示した。

王存主任は、中国への輸入車は、高級車や個性的な車種に絞られていくとの見方を示した。王主任は、「長期的に見ると、スポーツカーなどの個性的な車への需要が徐々に高まり、輸入台数がますます多くなる可能性はある。ただし、輸入車が爆発的な勢いでかつての販売台数が復活することはない」と述べ、輸入車台数は現在の水準を維持するのではないかとの見方を示した。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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