試験の不正にも“悠久の歴史”、清代・科挙の驚きのカンニング方法とは

Record China    2023年6月11日(日) 18時10分

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中国の大学入試は夏休み前の6月に実施される。そのため毎年6月になると、試験にまつわる話題が報じられる。中国の情報サイトの網易は11日付で、「科挙のカンニング」を紹介する記事を発表した。

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中国では秋に新しい学年が始まる。そのため、大学入試は夏休み前の6月に実施される。

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そのため毎年6月になると、試験にまつわる話題が報じられる。中国の情報サイトの網易は11日付で、「科挙のカンニング」を紹介する記事を発表した。

大学入試は受験生の一生を大きく左右する。結果として、ごく一部とはいえ不正を行う者が出て来る。2000年ごろからは、古典的な資料持ち込みや替え玉受験に加えて、通信機器を利用した不正がしばしば報道されるようになった。しかも、腕時計や眼鏡に仕込む超小型送受信機など、技術が進歩するにつれ、不正の方法も「ハイテク化」していった。試験実施側はそのため、試験会場を電波遮蔽するなどで対抗するようになった。

中国では隋代(589-618年)に高級官僚登用のための「科挙」と呼ばれる制度が導入された。合格するには、四書五経と呼ばれる儒教の聖典や主要な解説書をすべて丸暗記することが必須で、しかも作文能力や文字の美しさに対する要求も高かった。「科挙」導入の大きな目的は、学力のみで高級官僚を登用することで、門閥貴族の勢力を削ごうとしたこととされている。「机上の能力」のみによって高級官僚を選抜する科挙には弊害もあったが、宋代(960-1279年)には門閥貴族の勢力を大きく後退させ、皇帝への権力集中が実現したとされる。


モンゴル人による王朝の元(1279-1368年)は、「科挙」をさほど重視しなかった。しかし満州族による清朝(1644-1912年)は、同じく非漢族王朝でありながら科挙を極めて重視した。網易の記事では、上海市内にある嘉定博物館が所蔵する、清朝時代の科挙の際に受験生が用いたカンニング用のチョッキ状の下着などを紹介した。科挙では、試験の段階によっても異なるが、受験生には互いに情報をやりとりさせないために、レンガの壁で仕切られている部屋で答案を作成することになった。そのために、下着に「カンニング用情報」を書いておけば、かえって利用しやすかったと考えられる。

嘉定博物館が所蔵する清代の科挙で用いられたカンニング用の下着に書かれた文字は4万字以上もある。通常の筆で書くことは不能なので、「ネズミのひげ」のような細い筆で書かれたもので、その「職人芸」には驚嘆するしかないという。

もちろん試験実施側は、不正防止のために厳重な対策を講じていた。会場は試験開始には扉や窓を閉め切って、外部とのやりとりを防止した。清朝当局は受験生の衣服や用具を細かく制限して、試験監督官は受験生の入場時に、受験生を厳格に検査した。

不正に対する罰則も厳しかった。受験生の不正が発覚した場合には1カ月にわたり首かせをつけさせられ、その後は辺境に送られて兵役につかされる。

嘉定博物館

清朝当局は、役人や試験監督官が不正に加担することを強く警戒した。科挙の試験は何段階にも分かれていて、最初の試験は受験生の出身地で行われるので、郷試と呼ばれていた。この郷試が始まる前に、受験生側が役人や試験関係者に贈り物をすれば、贈った側ももらった側も厳しく罰せられる。一連の試験開始後も同様だ。もちろん、替え玉受験も厳しい処罰の対象になる。

採点者が受験生と通じ合うなどして不正に加担すれば、官位を落とされたり公職から追放されたり、場合によっては死罪になることもあったという。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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