韓国経済の苦悩と苦境、中国市場を活用したいが米国を刺激できず貿易全体が長期低落―中国メディア

Record China    2023年6月12日(月) 7時30分

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米中の厳しい対立が続く中で、韓国経済界は中国市場に活路を見出したい一方で米国を刺激したくはないというジレンマに陥っている。韓国では貿易全体が長期に渡って低落する状況が続いている。

中国メディアの参考消息は9日付で、韓国経済および韓国企業が直面する「苦悩と苦境」を紹介する記事を掲載した。米中の厳しい対立が続く中で、韓国経済界は中国市場に活路を見出したい一方で米国を刺激したくはないというジレンマに陥っている。韓国では貿易全体が長期に渡って低落する状況が続いている。

今年になってから、欧米大企業の高級幹部の訪中が続いている。テスラ、JPモルガン・チェース、アップル、ゼネラル・モーターズ(GM)、ファイザー、BMW、ベンツ、クアルコム、スターバックスなど、各業界の世界的有力企業の高級幹部だ。一方で、訪中した韓国を代表する経済人はSKグループの崔泰源(チェ・テウォン)会長とサムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)会長ぐらいという。しかも2人は訪中の際に公の場にはあまり姿を現さず、中国にある自社企業の工場にすら行かなかったなど、異常なほど「ひっそり」とした行動だった。

韓国紙のハンギョレは、韓国の大企業幹部のこのような動きは、米中対立に対する戦略的判断によるものではないかと推察した。米中の対立が続く中で、韓国企業は米国を刺激するような活動を自粛しているという。韓国企業は中国という巨大市場を活用したい一方で、米国の顔色をうかがわざるを得ないことに苦悩している。

韓国の大企業の「気配り」が続く状況にあって、韓国の対中輸出は右肩下がりだ。韓国政府・産業通商資源部の6日の発表によれば、韓国の対中輸出は2022年6月から12カ月連続で減少した。また過去1年間では22年9月を除いて、各月とも対中貿易は赤字だった。一方で、22年第1四半期(1-3月)の韓国の対米貿易は72億ドルの黒字で、米国は韓国にとって、最も大きな貿易黒字を計上した国になった。

ただし、韓国は中国で失った市場を米国によって取り戻せたわけではない。韓国政府による「5月輸出入動向」によると、5月の韓国の輸出は前年同月比15.2%減で、貿易収支は15カ月間赤字が続いている。単月の輸出は8カ月連続で減少し、中国、米国、ASEAN、EU、中南米、中東の主要地域のいずれに対しても、輸出は減少した。韓国産業研究院は5月25日に発表した報告書「第2次グローバル化の終焉と韓国経済」で、2008年の世界的な金融危機後以来、全世界の総生産の占める貿易額の割合は下落傾向にあり、韓国の輸出主導型の成長は終息したと分析した。

国内市場が小さな韓国では、輸出重視の発展モデルが長年にわたり経済成長を支えてきた。特に重要だったのが対中貿易だ。韓国が部品を製造して中国に輸出し、中国の工場がそれを最終製品に組み立て、「メイド・イン・チャイナ」の安価な完成品が米国に輸出される構図が成立した。韓国、中国、米国のいずれもが「勝者」になった。

しかし米国が中国を相手に貿易戦争を始めたことで、世界中のサプライチェーンが歪められたり、崩壊する現象が発生した。立場が最も弱いのは、このチェーンの「中流」に位置する韓国だ。というのは、中国は状況を改善するために、国内で生産工程を完結できる「赤いサプライチェーン」の構築に努めており、韓国の半製品が中国市場に入り込む余地がますます小さくなっているからだ。韓国の業界では、韓国の対中貿易品は「もはや半導体しか残っていない」との声も出ている。

韓国の秋慶鎬(チュ・ギョンホ)経済副首相兼企画財政部長官は今年4月に訪米した際に、韓国の対中輸出の不振について「赤字が続くことはない」「ただし大規模な黒字の時代は終わったと」と述べた。韓国では6月になってから、「韓国の対中輸出ボーナス時代は幕を閉じた」とする記事も発表された。

韓国の上層部はまだ「楽観的」に見えるが、韓国人研究者の多くは悲観的な見方をしている。韓国産業研究院の姜闘勇(カン・ドゥヨン)上級研究員は、韓国は米国と中国のいずれとも貿易量が多く、半製品輸出の割合が大きいため、米中対立で世界経済が「切り離された」場合、韓国の経済と貿易の停滞はさらに加速するとの見方を示した。ソウル大学・国家未来戦略院は、「半導体錯覚効果」のために10年以上放置されてきた貿易と産業構造の改革を徹底的に行わなければ、韓国経済の未来は厳しいと分析した。

ただし、韓国の有識者の中にも、米国が中国を完全に「切り離す」ことは不可能であり、韓国の企業家もそれほどおびえる必要はないとの見方が米国内で聞こえてくると紹介する人がいる。

参考消息記事は最後の部分で、韓国にとって必要なことは「大国の従者にならないことだ」と主張した。「中韓はいずれも引っ越しができない隣国であり、相手を切り離すことのできない協力パートナーだ」と指摘した上で、「中国はずっと、平等互恵の土台の上で韓国との貿易関係を発展させてきた。米国のように、韓国に対して『どちらの側につくのか』と脅しをかけたことはない」として、「理性的な韓国企業は自ら判断できると信じる」と論じた。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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