なぜ「スラムダンク」は「すずめの戸締まり」を超えられない?―中国メディア

Record China    2023年5月24日(水) 22時0分

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18日、中国のポータルサイト・網易に「なぜ、映画『THE FIRST SLAM DUNK(スラムダンク)』は『すずめの戸締まり』の興行収入を超えられないのか」と題する文章が掲載された。

2023年5月18日、中国のポータルサイト・網易に「なぜ、映画『THE FIRST SLAM DUNKスラムダンク)』は『すずめの戸締まり』の興行収入を超えられないのか」と題する文章が掲載された。

文章は「『すずめの戸締まり』と『スラムダンク』という作品は、どちらも実にクオリティーが高く、同時に議論も多く存在する」とし、「映画公開前、『スラムダンク』の興行収入は最終的に『すずめの戸締まり』を抜き、後者の中国映画史上日本アニメ映画興行収入1位のタイトルを破る可能性があるとの声が多かった。しかし、これまでの結果を見ると『スラムダンク』の興行収入は『すずめの戸締まり』の興行収入と大きな差がある」と伝えた。

その上で、「『スラムダンク』への期待と熱量はなぜ高い興行収入につながらないのか。同じ日本のアニメ映画でも、『スラムダンク』と『すずめの戸締まり』の違いはどこにあるのだろうか。複数のデータからその原因について分析をする」とした。

文章はまず「すずめの戸締まり」の興行収入について、「3月24日に中国で公開され、5月17日までに世界で2億8700万ドル(約396億3700万円)の興行収入を記録した。そのうち中国が1位を占めており、その興行収入は8億300万元(約157億9500万円)、日本での興行収入は1億400万ドル(約143億6400万円)、韓国では4107万6000ドル(約56億7300万円)に達した」と紹介。一方「スラムダンク」については、「4月20日に中国で公開され、5月17日までの世界興行収入は2億3600万ドル(約326億7500万円)。そのうち、日本が1位を占めており、その興行収入は1億300万ドル(約142億2500万円)で、中国での興行収入は6億3600万元(約124億7700万円)で、韓国での興行収入は3627万2000ドル(約50億2100万円)だった」と伝えた。

そして、「興行収入を見ると、『すずめの戸締まり』と『スラムダンク』はいずれも日・中・韓市場を主力としており、この3市場では『すずめの戸締まり』の興行収入が『スラムダンク』を上回っていることが分かる」とした上で、「『すずめの戸締まり』が最も興行収入を伸ばしているのは中国であり、新海誠監督の中国国内でのアピール力の強さは名実ともに日本アニメ映画の『第一人者』と言える。一方、『スラムダンク』はもともと人気は高いが、やはり日本市場での求心力の方が強い」と分析した。

加えて、「『すずめの戸締まり』は米国市場でも1000万ドル(約13億8400万円)を超える興行収入があり、欧米市場でも『スラムダンク』よりも明らかに強い」と指摘。「キャラクターの力は非常に重要であり、日本のアニメ市場で絶対的な優位を占めているが、個々の映画の市場競争力を見るとオリジナルアニメ映画作品の競争力はかなり高いことが分かる」と評した。

文章は二つの映画の中国での宣伝についても言及。「『すずめの戸締まり』の準備期間中、新海監督が中国国内に招かれファンと対面した上、北京大学で開催されたプレミア上映会の反響も非常に熱かった。周深(ジョウ・シェン)が歌う中国語版のテーマソングも広まり、bilibili(ビリビリ動画)などが主催した事前イベントもSNS上で大いに話題をさらった。映画は上映前から大ヒットし、前売り興行収入は億を突破した」と伝えた。

同時に「スラムダンク」については、「プレミア上映会も北京大学で開催され、会場の雰囲気はさらに熱気に包まれ、SNSでの宣伝力も非常に強かった。4月19日午後10時時点で、『スラムダンク』の前売り興行収入は1億1500万元(約22億6000万円)を突破し、『すずめの戸締まり』を抜いて中国史上、外国アニメ映画前売り興行収入1位となった。4月20日の上映開始当日の午前0時の回の興行収入は2000万元(約3億9100万円)を突破、観客動員数は50万人を超え、ここ3年の中国映画市場の午前0時上映回の興行収入で2位となった」と述べた。

また、「それぞれの映画が公開された後の最初の7日は、ほぼ肩を並べており、『スラムダンク』がわずかに優勢であった。公開から7日後に興行収入が分かれ始め、『すずめの戸締まり』が優位に立っていることが明らかになった」と説明。「5月18日正午時点で、『スラムダンク』の観客動員数は1762万4000人、『すずめの戸締まり』の観客動員数は2417万人で、両者の観客動員数には700万人近い差がある」と紹介した。

さらに、文章は観客の性別比と年齢層についても言及。「灯塔専業版(映画の興行収入分析アプリ)によると、2作の映画の性別比はほぼ同じで、男性観客はいずれも50%を超えているが、年齢層の分布には大きな差がある。『すずめの戸締まり』は若い観客層が圧倒的な優位を占めているのに対し、『スラムダンク』の観客層の大半は30歳以上だ。また、灯塔専業版によると、『スラムダンク』の男性視聴者は60%を占めているのも特徴的だ」とした上で、地域分布については、「『すずめの戸締まり』は三・四線都市(地方都市)でもかなりの優位を占めている。つまり、『すずめの戸締まり』の観客層の分布はより広く、より理にかなっている」と評した。

「スラムダンク」が「すずめの戸締まり」の興行収入を超えられないことについては、「両作品の位置付けと宣伝戦略に立ち返るべきだ」と主張。「『スラムダンク』の中国国内市場での宣伝は『懐かしさ』を前面に打ち出したもので、最終的な結果を見ると、確かにかなりの成功を収めており、30代以上の層が多く鑑賞している。同時に、『懐かしさ』はファンのコミュニティーの外に出ることはなく、『懐かしさ』を感じない多くの潜在的な観客に心理的な負担をかけ、漫画やアニメを見たことがない層はあまり良くないと感じるのではないだろうか?」と分析した。

さらに口コミの視点から、「中国国内の多くの映画・テレビ業界の評論家に言わせれば、口コミといえばまず『豆瓣(douban)』(ドラマ・映画情報サイト)だが、口コミは多くは個人の体験であり、代表的ではあるが、絶対性を示すものではない。『スラムダンク』の評価は一時9点を突破し、現在も8.9点に達している。『すずめの戸締まり』の7.3点をはるかに上回っているが、これは『スラムダンク』のファンが豆瓣で評価することを好むことを表しているだけで、より幅広い人々に認められていることを表しているわけではない」とした。

文章は、「『スラムダンク』の興行収入はなぜ『すずめの戸締まり』を打ち破れなかったか。答えには悩むだろうが、その主な原因は『懐かしさ』だ。懐かしさはかつてのファンの熱い気持ちを揺り動かしたかもしれないが、その気持ちを外に向け、ファンだけが知る作品を(それ以外の人にも)ヒットさせることは難しかったのだろう。『すずめの戸締まり』にも実は感情へ訴えるものがある。ストーリーもキャラクターもオリジナルのため、宣伝で爆発力を持たせるのは難しいが、新海監督の評判の良さの裏には『万人受けする高い好感度』があり、映画の観客層をより広くしている」と総括した。(翻訳・編集/柳朱音

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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