香港で大陸客を受け入れる「激安・極悪ツアー」を問題視する声強まる

Record China    2023年5月15日(月) 10時0分

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香港では、中国大陸人を相手に「激安」で売り込むツアーの中に、サービスの質が極めて悪い場合があることを問題視する声が強まって来た。写真は香港の旺角(モンコック)にある雑居ビル街。

大陸からの観光客が本格的に戻ってきた香港だが、「激安」を売り物にする一方で、サービスの質が極めて悪かったり、客に対して悪質な行為をする場合があることを問題視する声が強まってきた。

中国大陸部から香港を訪れる観光ツアーでの香港滞在の期間はさまざまだが、3月29日から5月7日までに実施されたツアーでは、参加費用が500元(約9750円、本稿での「元建て」価格はすべて人民元による)以下の場合は54%、501-1000元(約9770円-約1万9510円)は13%、1001-1500元(約1万9530円-約2万9260円)は16%、1501-2000元(約2万9280円-約3万9010円)が7%、2001元(約3万9030円)以上は10%だった。

香港立法会(香港議会)の林健鋒議員は、「格安を売り物にする一部の香港訪問ツアーでは、観光客が住宅見学に連れて行かれたり、食事の質が悪かったりする。メーデー期間中には旅行客から『毎日同じレストランに行き、毎食同じ食事だ』と不満が出た。香港観光業のイメージへの影響を懸念している」と指摘した。

先日はSNSに、大勢のツアー客が昼ごろ、香港の土瓜湾(トクワワン)やホンハム一帯の道端で弁当やインスタントラーメンを食べている写真が投稿された。高齢者も多く、多くのネットユーザーが旅行客の食事条件を心配する声を上げた。土瓜湾とホンハムには団体客に食事を提供する飲食店もある。しかし密集地であり、料理店の周囲では、道に多くのツアー客がひしめいて、通行ができなくなるなどの問題も出ている。地元住民は、観光バスのクラクションが鳴り響くことなどでも大きな迷惑を被っている。

香港の観光業界関係者からは、格安ツアーでは普遍的にサービス水準が低すぎるとの声が上がっている。料金が128元(約2500円)の格安ツアーでは、引率者がたばこを大陸から持ってこさせて転売して利益を得ようと客をそそのかしたり、観光スポットの団体入場券を購入して、料金を上乗せして客に売りつけた疑いがあるとの報道もあった。旅の終了間際に、旅程の「内容が違う」として客とガイドが衝突した事例もあった。

香港観光業従業員総会の梁芳遠理事長は、「現状では格安ツアーの数は感染症発生前よりはるかに少ないが、すでに多くのマイナスの影響が発生している。観光業界にダメージを与えているだけでなく、香港のイメージを損ねるものでもある」との見方を示した。香港の政党である民主建港協進建聯盟の李慧瓊主席(党首)は、「超格安ツアーは、客に買い物をさせることで、利益を『補充』しようとする。香港の実質的な経済成長にあまり役に立たず、かえって香港に対する悪い印象を旅行客に与える可能性がある」と述べた。李主席は、問題を根本から改善するために、激安ツアーを無制限に香港に来させるべきではないとの考えだ。

もちろん、安価で良質な観光の提供を模索する業者もいる。香港ガイド総工会の黄嘉凱理事長は、「例えば香港の日帰り旅行ならば宿泊料金が不要なので、1日300元(約5850円)のツアー料金で基本的な品質を確保できる」と述べた。また、特定地域の渋滞を緩和するために、新しい食事の手配を積極的に開発している業者もある。例えば4月の清明節連休には、観光船で移動しながら食事をするよう手配した旅行会社があった。沿岸の景色を楽しむことができ、落ち着いて食事をすることができたと、多くの観光客から好評を得たという。

観光業界選出の姚柏良立法会議員は、香港は高いツアーであれ安いツアーであれ、もてなしの姿勢を維持すべきと述べた。姚議員は、そのことで香港の観光業を長期的に変革し、ハイエンドとディープな観光市場を開拓すべきとの考えだ。激安ツアーが存在する一方で、香港では品質のよいツアーも増えている。1日の香港旅行を例にとると、料金500元はもはや安価なツアーではなく、1000元以上のツアーが33%を占めるようになったという。

中国大陸部からのツアー絡みで起きている問題はある程度、通関が徐々に正常化している一方で、業界の対応能力が追いついていないことによるとの指摘もある。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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