「食べ放題」サービスの飲食店、客の「高級食材持ち帰り」が繰り返される―中国

Record China    2023年5月15日(月) 20時0分

拡大

中国では「食べ放題サービス」を提供する飲食店で、客が高級食材を隠して持ち帰る事件がしばしば報じられている。訴訟になり、客側が日本円で100万円相当を支払うことで店側と和解した事例もある。

貴州省貴陽市内の高級焼肉にしばしば来店して「食べ放題」サービスを利用していた女性客が、高級食材を中心に、持参のビニール袋に隠し入れて持ち帰る行為を繰り返していたことが分かった。店側は女性を相手に訴訟を起こし、女性側が飲食料金および訴訟費用として、5万2543元(約103万円、日本円換算は2023年5月13日の為替レートを適用。本稿、以下同じ)を支払うことで両者は和解した。中国ではそれ以外にも、「食べ放題」サービスで客が高級食材を中心に持ち去る事例が発生している。

貴陽市内の店の場合、客は料理を個別に注文することも、「食べ放題」サービスを利用することもできる。食材や料理はメニューに掲載されており、「食べ放題」の場合でも客の注文を受けて店員が運んでくる。

同店は2022年1月からしばしば来店して「食べ放題」サービスを利用する女性客1人の注文量が異常に多いことに気付いた。店側が同年9月に監視カメラの映像を確認したところ、女性は食べ物を持参したビニール袋に入れて持ち帰っていたことが分かった。選んだ食べ物はサーモンや北寄貝、フォアグラなど高級品が多かった。


店側によると、映像が保存されていたのは8月には16日、17日、24日、29日の分で、女性は9月1日も来店していた。女性が8月の来店時に注文した料理や食材の料金はそれぞれ9135元(約1万7800円)、9106元(約1万7800円)、10328元(約2万円)、1万1130元(約2万1700円)で、9月1日の分も含めると計4万5653元(約89万1000円)に達していた。しかし女性は固定料金の「食べ放題」を利用したので、1回の費用は218元(約4250円)で、割引サービスも利用したので実際の支払額はわずか1010元(約1万9700円)だった。

女性は8月16日より前にもしばしば来店していたが、監視カメラの映像が保存されていなかったので、持ち帰り行為があったかどうかは確認できなかったという。

店側は女性に、確認ができた5回の来店について、持ち帰った品について、個別に注文した場合の合計額として支払うよう求めたが、女性は応じなかった。そのため店側は2023年3月になり、女性に支払いを求める訴訟を起こした。

店側の責任者は5月12日、同女性との和解が成立したと説明した。女性は店側に、持ち帰った品の料金の4万5653元と訴訟費用8000元(約15万6000円)の計5万2543元(約103万円)を支払うことで同意した。女性はすでに、店側の口座に合意の金額を振り込んだという。


店側責任者によると、女性が支払った料金分は店の売上には計上せず、ネットのライブ配信で無料飲食券を配るなど、他の顧客に還元する作業を進めている。料金などを回収できたことには満足しているが、同様の行為を防止するために店の管理を強化するという。

今年4月には浙江省金華永康市で、飲食店で女性二人が食べ放題方式の飲食店から食用カエルやセンマイ、アヒルなどの食材400元相当(約7800円)分を隠して持ち帰る事件が発生した。店からの通報を受けた警察が捜査して、容疑者2人を特定して行政勾留の処分にした。

行政拘留とは、警察などの行政機関が特定の犯罪についてそれほど悪質でないと判断した場合、犯人の身柄を拘束できる中国の制度だ。中国の「治安管理処罰法」では、窃盗犯に対しては5日以上10日以下の拘留に処し、その他に500元以下(約9800円)の罰金を科すことができる。やや悪質と判断した場合には、10日以上15日以下の拘留に処し、合わせて1000元(約19万5000円)以下の罰金を科すことができる。


行政拘留処分になった女性2人は、店の料金が高すぎると不満を感じたので、食材を持ち出したと説明した。別の常連客から、食材を持ち帰ったが店員に見つからなかったと教えられていたという。女性2人は来店時に、子どもを計4人連れていた。

店側によると、警察に通報したのは被害を取り戻したいと思ったからで、行政拘留が適用されるとは思っていなかった。その後、女性2人の家族が店に対して謝罪し、持ち帰った食材の代金を弁償した。警察からは押収した食材が店に返還されたが、衛生状態に懸念が残るのですぐに廃棄したという。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携