中国不動産に回復のシグナル、しかし…―独メディア

Record China    2023年5月2日(火) 11時0分

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独ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトはこのほど、「中国の不動産に回復のシグナル、しかし…」とする記事を掲載した。写真は北京市内のマンション。

独ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトはこのほど、「中国の不動産に回復のシグナル、しかし…」とする記事を掲載した。

仏AFPの記事を翻訳して伝えたもので、それによると、昨年の住宅危機に打ちのめされた一部の中国の不動産開発業者は希望の光を目にし始めているが、アナリストは、業界が長期的に減速する方向にあると警告している。

中国の不動産業界は、1998年に全土で制限が緩和された後、電光石火の速さで成長した。この国では、家を購入することが結婚の前提条件であり、投資の一つでもある。それから20年余り、不動産開発業者は簡単な銀行融資のおかげで猛烈な速さで建設を進めた一方で、借金が非常に膨らんだため、当局は2020年から現金へのアクセスを停止した。それ以来、経済の低迷と信頼の危機により、信用貸付の利用可能性は激減し、不動産需要は落ち込んでいる。

こうした状況は、不動産大手の恒大集団の倒産が迫ったことで悪化し、他の開発業者にも波及した。同集団は4月、国際的な債権者グループとリストラ契約を締結したと発表した。巨額の負債を軽減するための画期的な取引になる可能性がある。

北京に本拠を置く調査会社ガべカル・ドラゴノミクスのアナリスト、ローズアレア・ヤオ氏によると、不動産市場は昨年「史上最悪の不振」を経験し、売上高は24%減少した。新型コロナのパンデミックが「不安」を加速させた要因の一つであり、多くの潜在的な買い手が物件の購入を延期した。

業界は、一部の住宅所有者が、現金不足を理由に開発を停止した開発業者への毎月の住宅ローンの支払いを拒否したことで打撃を受けている。

格付け会社フィッチ・レーティングスによると、中国の不動産市場は、暗黒の1年を経て今年に入り「安定の兆し」を見せている。中国国家統計局によると、3月の中国全土の主要都市を対象とした調査で、不動産価格の大幅な上昇が記録された。70都市のうち64都市で値上げが記録され、2月の55都市、1月の36都市から上昇している。

中国経済を追跡するコンサルティング会社チャイナ・ベージュブックのマネジングディレクター、シェザド・カジ氏によると、「これは、業界が待望した回復がようやく定着したことを示す強力なシグナル」だが、UBS銀行で中国の不動産市場を監視しているジョン・ラム氏は、「今後数カ月は回復するかもしれないが、長期的には来年か翌年に大きな回復が見られるとは思えない」とし、2022年に始まった中国の人口減少傾向は今後も続き、必然的に不動産需要を圧迫すると主張する。ラム氏はさらに「政府は住宅について、住むためのものであり投機のためではないという考えを推し進めており、投機的な需要が戻ってくることはない」とも付け加えた。

不動産業界は、建設とともに中国の国内総生産(GDP)の約4分の1を占めており、同国の成長の重要な柱となっている。多くの地方自治体の財政状況は、コロナ対策のための巨額の支出により不安定な状態にある。

中国政府は、苦戦している業界を復活させるために、昨年11月以降、より融和的なアプローチを採用し、財政的に最も健全な開発業者を対象とした支援策を講じているが、結果はまちまちだ。最新の統計によると、建設を開始する新築ビルの数は、1~2月に前年同期比で9.4%減少した後、3月は29%減少した。

オーストラリアの投資銀行マッコーリーのエコノミスト、ラリー・フー氏は、「開発業者は依然として慎重だ。新規のプロジェクトを開始するよりも既存のプロジェクトを完了することを優先している」とし、「業界は回復に向かっているが、まだ困難な境遇から抜け出したわけではない」と警告した。

ローズアレア・ヤオ氏によると、回復は主に2019年の勢いを取り戻した北京や上海などの大都市に恩恵をもたらしているが、小規模都市の不動産市場は依然として「全く改善していない」。ジョン・ラム氏は「魅力的ではないこれらの都市は将来、人口流出に苦しむ危険性がある」と警告している。(翻訳・編集/柳川)

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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