日中ノービザ交流「検討中」=「台湾有事は日本有事」説は荒唐無稽―呉駐日大使が初の記者会見

Record China    2023年4月29日(土) 7時0分

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中国の呉江浩駐日大使が3月に着任後初めて記者会見した。最近の日中関係について、1972年の「国交正常化以来、最も複雑な状況に直面」していると憂慮。「台湾有事は日本有事」説は荒唐無稽と語った。

2023年4月28日、中国の呉江浩駐日大使が都内の日本記者クラブで記者会見した。最近の日中関係について、1972年の「国交正常化以来、最も複雑な状況に直面」していると憂慮。中国は日本をライバルや敵対者と見なすつもりはないとし、日本にも同様な姿勢を望むと述べた。

呉氏が記者会見に臨むのは3月の着任後初めて。呉氏は日中関係が複雑化している要因として、「米国が他国を引っ張り込んで中国を封じ込めようとしている」ことを挙げた。さらに、日本政府が中国を「最大の挑戦」と位置付けたことを問題視し、「中国の脅威を喧伝することで軍事拡充をしている」と懸念を示した。

ウクライナ危機では、「中国は一部の国のように火に油に注ぐようなことはなく、常に平和協議のために働きかけている」とアピールした。イランとサウジアラビアの歴史的な和解に続いて、「朝鮮半島、パレスチナ、イラン、シリアなどでも、中国は仲介の努力をしている」と言明。「テロ、気候変動、サイバーセキュリティなどでも積極的な役割を果たしている」と訴えた。

また文明の多様性の尊重に触れ、「お互いの交流で衝突を回避し相互理解で壁を乗り越えたい」と強調した。

台湾問題では「中国は平和的な統一」を目指すとし、「現状変更を試みているのは中国ではない」と主張。「台湾有事は日本有事」との見方は「荒唐無稽で極めて有害だ」とし、「日本の民衆が火の中に連れ込まれることになる」と日本側に干渉しないよう警告した。

5月のG7首脳会議で日本が文書の採択を目指す「核なき世界」に「賛意」を示したうえで、その第一歩として核兵器の先制不使用を「日本は同盟国として米国に提案すべきだ。すべての核保有国が先制不使用を約束したらどうか」と促した。

日本企業の中国法人幹部の拘束問題では「反省すべきはスパイ行為をさせている人や機関ではないか」と反論。東京電力福島第1原発の処理水海洋放出は周辺国との協議が不十分だなどとして問題視した。

中国の世界経済への影響力について、「140か国地域の主な貿易相手国であり、世界の経済成長への平均寄与率は10年連続して30%に達し、G7の合計を上回る数字だ」と強調。「一帯一路に沿って世界で3000のプロジェクトがあり、42万人の雇用が生まれている」と強調した。さらに「途上国で8億人が飢え、7億人に電気がなく、2億人に仕事がなく、1億人が難民になっていることを忘れてはならない」と訴えた。

さらに「先に進んだ国が覇権を守ろうとし、途上国の発展を妨げている」と指摘。「中国は南北格差の解消のために160か国以上に開発援助を行ってきた」と自賛した。

新しい時代にふさわしい日中関係をつくるため、発展、安全、文明の3点を挙げ、双方が真剣に考えるべき時にあるとした。

一方、日本のアニメや映画が中国で大きな人気を集めていることに触れ、「個人的に好きなアニメは『君の名は。』。映画は『東京家族』が印象的だった」と明かした。「日中両国民の心には通じるものがあるのでこれからも大事にしていきたい」と語った。

さらに「人的交流は中日両国の強みであり、コロナ禍前は中国人の訪日は年間1000万人近かった」と指摘。日中間のビザの問題に言及し、「コロナ禍前にあった『15日間のビザなし』交流の復活について北京政府が検討中」と明かした。

◆呉氏は中国湖南省出身、上海外国語大卒。2回の駐日大使館勤務を経て、外交部アジア局局長。3月から駐日大使。(八牧浩行

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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