豪州の観光業界、中国の団体海外旅行先から外れ打撃、地政学上の関係悪化―海外メディア

Record China    2023年4月22日(土) 18時0分

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中国の団体海外旅行先のリストから、オーストラリアが日本と同様に除外され、観光産業が打撃を受けている、と海外メディアが報じた。豪州が外されたのは地政学上の関係悪化が一因とされる。写真はシドニー。

中国の「ゼロコロナ政策」の終了後も政府が認定する団体海外旅行先のリストから、オーストラリアが日本と同様に除外されたため中国人客が戻らす、豪州の観光産業が打撃を受けている、とロイター通信が報じた。豪州が外されたのは安全保障をめぐる欧米と中国の対立激化など、地政学上の関係悪化が一因とされる。

中国の認証旅行先ステータス(ADS)では、団体旅行が認められる国としてタイ、インドネシア、ロシアなど約60カ国を認定している。450億豪ドル(約4兆円)規模を誇る豪州の国際観光市場では2020年初頭まで、この制度のおかげで中国人観光客が支配的な地位を占めていた。それが20年ぶりにリストから外れたのだ。

ロイター通信によると、中国の電子商取引企業でマーケティングの仕事に携わる男性はソーシャルメディアで魅了されたピンク色の塩湖を見ようとチームのスタッフ14人による豪州旅行を計画した。しかし、結局は同僚を連れて行ったのはニュージーランドだった。

豪州では中国からの観光客が戻ってくると広く期待されていたものの、ビザ(査証)の規則に加え、比較的高い旅行コスト、航空便の不足、中国標準語を話すガイドの流出によって極めて低い水準の来訪数にとどまり、豪州で4番目に大きい輸出産業である観光業を圧迫している。

豪州政府のデータによると、2月の中国からの短期旅行者は4万430人。これは過去最高年となった19年の同月の5分の1で、ニュージーランド、英国米国からの訪問者数に大きく後れを取っている。ドイツを拠点とするコンサルティング・グループ、中国アウトバウンド観光研究所によると、中国からの出国者数は全体的には新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)前の3分の2に回復した。

一方、航空分析会社シリウムによると、中国本土から豪州への航空便の輸送能力は2月時点で、パンデミック以前の5分の1に縮小している。燃料費の高騰で運賃が上昇し、需要が落ち込んだためだ。

中国からの団体客が見込まれない理由について、ニューカッスル大学ビジネススクールの講師、ポール・ストルク氏は「悪化している地政学的状況や貿易などに関係しているのは間違いない。現在の状況と、それらを切り離すことはできない」と話した。

さらに豪州の観光業界は外国語を話すガイドのほか、バスの運転手など必要不可欠な働き手の不足によっても制約を受けている。コロナ禍で観光業が落ち込んだのに続き、失業率が数十年ぶりの低さとなり、人材が他の分野に奪われたからだ。豪州観光輸出協会のピーター・シェリー専務理事は「観光に精通した優秀なスタッフが大量に失われた」と嘆いた。(編集/日向)

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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