動物園で新入りサルに激烈な集団いじめ?動物園側は「対応済み、動画は誤認」と説明―江蘇省南京市

Record China    2023年4月17日(月) 23時0分

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中国で、南京紅山森林動物園に飼育されているアカゲザル1匹が、長期に渡って他のサルにいじめられているとする動画に注目が集まった。園側は、問題はすでに解決しており動画は誤認によるものと説明した。

中国で、南京紅山森林動物園で2022年の早い時期に新たに飼育されるようになったアカゲザルが、現在に至っても古くから飼育されているサルによる「いじめ被害」を受けているとする動画が拡散した。動物園側は、新入りのサルに対するいじめが発生したのは事実だが、すでに防止策を講じたと説明。注目された動画は別のサルを撮影したもので、しかもいじめを受けているのではないという。

人家を荒らした「野良猿」、麻酔針の吹き矢使って捕獲

江蘇省南京市では22年1月ごろから、市内各所で「野良猿」が目撃されるようになった。「野良猿」は大学構内に入ったり、公園のブランコで遊んだりした。しかしそのうち、集合住宅に侵入して食べ物を盗んだり、猫をいじめたりするようになった。

同年3月には、南京市内に住むネットユーザーが「野良猿」に荒らされたという自室を撮影した動画を投稿した。サルはテーブルの上に置いてあったポテトチップスの袋を破って食べ、リビングルームで排便した。室内には1時間程度いて、最後にはガスのコックを開けたり閉めたりしてから、ベランダを通って外に出て行った。

4月29日には、市内で活動する動物保護グループが麻酔針を仕込んだ吹き矢を使って、問題のサルの捕獲に成功した。サルは、紅山森林動物園の野生動物収容救護センターが引き取った。鑑定の結果、問題を起こしていたサルは国家2級保護動物のアカゲザルと分かった。アカゲザルには群れで暮らす性質があるため、動物園はサルを、すでに多くのサルが暮らしている園内のエリアに放すことにした。

「新入りサル」に加えられた激しい暴行

同園飼育繁殖部の程家球部長によると、当初は「新入り」とその他のサルを慣れさせるために、ケージを隔てて飼育した。双方はケージ越しに相手を攻撃しようとする激しい反応を示したが、時間が経過すると、ケージで隔ててはいるが、1枚の皿から双方が餌を取って食べるようになった。そこで動物園側は「新入り」を群れが生活するエリアに放した。

ところが群れ側は集団で、「新入り」を激しく攻撃した。また、群れ側の若いサルが監視役を務め、「新入り」が反撃しようとすると、群れ全体に警戒を呼び掛けるようになった。最後には、73匹のサルが「新入り」を取り囲み、「新入り」を攻撃しつづけて大きな池に入れた。「新入り」は相手が多すぎて上陸できなかった。アカゲザルは泳ぐことができるが、動物園側は体力を使い果たして溺れる恐れがあるとして、「新入り」が池に浮かべている竹製のいかだに乗れるようにした。

程部長によると、「新入り」のサルは群れと「同居」させてから2日間は睡眠をとっていなかった。攻撃されることを恐れて、常に緊張していたという。また、飼育員が与えた餌の多くも、群れ側のサルに取られてしまった。

同園の沈志军園長によると、飼育しているサルには1匹のボス猿がいて、群れ全体は3つのグループに分かれている。第1のグループはボスを中心とする「主流派」グループで、普段は餌場に最も近い場所にいる。また、ボスの「親衛隊」のような存在もあり、ボスに変わって飼育エリアを巡回している。

第2のグループは比較的若いサルで構成されており、群れの中のいわば「反主流派」だ。このグループのサルはボスの座を狙っており、ボスを中核とするグループとの間で突発的に「戦闘状態」になることもある。第3のグループは6-7匹で構成されている。比較的弱いサルの集団であり、池に浮かべたいかだの上にいることが多く「舟漕ぎ派」と呼ばれている。動物園側は、「舟漕ぎ派」のサルが十分に餌を食べられるように、他のサルのグループとは離れた場所に餌を置いている。弱いサルではあるが、健康面では問題ないという。

園の方針には反するが、「危険」と判断して隔離

同園は、アカゲザルを可能な限り野生と同様の状態で飼育する方針だ。動物園の大きな役割は科学知識の普及であり、そのためには自然な状態を維持すべきと考えるからだ。飼育しているサルが3グループに分かれて時おり戦うのも、サルの自然な状態だ。言い方を考えれば、「争いはするが共存する」という状態で安定したことになる。

ボス猿の「在職期間」は短ければ2-3年、長くても4-5年で、ボスの交代時には飼育しているサル全体に激しい争いが発生するが、それも自然な状態だ。

ただし、新入りのサルは、放置すれば生命に危険が及ぶと判断して、他のサルとは分離して飼育することにした。動物園の方針とは異なる飼育方法を選択したのは、「新入り」のサルは都市部での生活を経験しているので、自然に放した場合には再び都市部にやってきてしまう可能性があり、飼育を続けるべきと考えたからという。

動物園側によると、ネットで拡散した「いじめられ続けて、いかだに乗って暴力を避けるしかない新入りのサル」は、実際には「舟漕ぎ派」の一員として安定状態にあるサルという。(翻訳・編集/如月隼人


※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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