【ぶらり北京】あなたの知らない故宮編

人民網日本語版    2023年3月10日(金) 12時20分

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北京の街を人民網日本人編集者のA姐とG姐がぶらりと歩いて紹介する、その名も「ぶらり北京」。今回は満を持しての故宮編。

北京の街を人民網日本人編集者のA姐とG姐がぶらりと歩いて紹介する、その名も「ぶらり北京」。今回は満を持しての故宮編。故宮内をぶらりと歩きながら、ガイドブックではあまり紹介されていない「あなたの知らない故宮」豆知識を集めてみました。

動画では「あなたの知らない故宮」をクエスト形式で紹介!A姐扮する皇帝のクエストをあなたはコンプリートできる?

【其の一】故宮には北斗七星が隠されている

故宮に隠された7つの星を探すには目線を上げる必要がある。でも見るのは空ではなくて、屋根の上だ。故宮の北斗七星とは、建物の上にある宝珠なのだ。


星観察は故宮の中に入る前から始まる。まずは午門の城楼と東西の燕翅楼の上にある4つの宝珠。これが北斗七星の魁(かい)、つまり桝(ます)の部分にあたる。

残りの星は故宮の城壁の中にある。太和殿のすぐ北側にある中和殿に1つ、内廷にある交泰殿に1つ、そして御花園にある欽安殿の宝瓶を球とみなして、最後の1つ。これで合計7つの星になる。

中和殿の宝珠

交泰殿の宝珠

欽安殿の宝瓶

北斗七星は宇宙で他の星を率い、北極星を中心にして夜空で回転する。それはあまたの星々の中心的存在だ。そのため、故宮を造った人々は北斗七星を故宮の建物内に配置したのだという。

【其の二】故宮には立ち耳と垂れ耳の獅子像がある

故宮には獅子像が6対ある。でも、この6対のうち、1対と他の5対には違いがあることに気づいている人はあまりいないかもしれない。注目ポイントは耳と目だ。

最初の1対は、太和門前の大きな銅製の獅子像。明の時代からこの場所に鎮座している。故宮の中で最も古く、最も大きな獅子だ。

太和門前の大きな青銅製の獅子像

この2頭の獅子はピンと耳を立て、目をカッと見開いている。太和門は皇帝がまつりごとを執り行い、式典を行う場所へと通じる門。そうした厳粛な場所に立つこの獅子は、耳を立て、目を見開いた威厳ある姿で、この門に向かって来る人々ににらみを利かせている。

これに対して、乾清門、養心門、寧寿門、養性門、長春宮の前にある5対の獅子像は、どれも耳を垂らし、目も眉毛がかかって半ば閉じたように見える。

乾清門前の獅子像

これらの5対はどれも、皇帝が起居し、妃たちが暮らす「内廷」に位置する。専門家によると、垂れ耳の獅子像は、内廷にいる者に対する「身の程をわきまえ、政治には口をはさむな」という警告なのだという。

【其の三】故宮には1つだけ黒い屋根瓦の建物がある

故宮の建物と言えば、赤い壁に黄色い瓦。しかし、1カ所だけ、黒い瓦を使っている建物がある。それが文淵閣だ。太和殿のある広場から東側に出たところにある。

黒い瓦の文淵閣。残念ながら普段は一般公開されていないので、今回は敷地の外から眺めるだけ

文淵閣は清の時代の書庫として使われた建物。乾隆年間に建てられ、世に名高い「永楽大典」や「四庫全書」がこの建物に保管されていた。そこで、火事で焼けることのないように黒い瓦を敷いたのだという。五行学によると、黒は水に属し、水は火を克する。黒に象徴される水によって火を抑え、つまりは蔵書を火事から守ろうとしたのだという。

【其の四】故宮には扁額に矢が刺さったままの門がある

故宮内の隆宗門の扁額には、1本の矢が刺さったままになっている。この矢はいったいいつ、誰が放ったのだろうか。

隆宗門の額に刺さったままの矢じり

隆宗門の横にある説明によると、「嘉慶18年(1813年)に天理教の一揆軍が宮殿内の宦官と内応し、軍機処と皇帝の寝宮である養心殿へと通じる隆宗門まで攻め入った」時のもので、それを後世への戒めとして残したと伝わっている。ほかにも、明を滅ぼした李自成が清軍に攻められて逃げる際に放った矢がそのまま残っているという説もある。

【其の五】故宮の中から郵便物を投函できる

1月9日、故宮の中に郵便局が開業した。故宮の一番北にある神武門の手前にある。故宮オリジナルの切手や絵葉書、書籍など、故宮らしさたっぷりの商品が並んでいる。

神武門の手前に2023年1月にオープンした故宮郵便局

私たちのお目当ては、ここでしか押せないというスタンプ。故宮の屋根装飾に使われている神獣像など、なかなか心を揺さぶられるラインナップだ。ほかにも十二支をテーマにしたものなど、中国らしさあふれるスタンプが用意されているのだが、なんと、ここでノートや写真集などの商品を買った人しか押させてくれないというトラップが…!

故宮の屋根装飾に使われている神獣像のスタンプ。これは誰でも押すことができる

ちなみに、この郵便局から絵葉書や手紙を出すこともできる。ただ、売られている絵葉書はセット販売だし、エアメールなどの場合、ちょうどいい金額の切手も売っていないので、あらかじめ手紙を準備して持ち込み、投函して故宮郵便局の消印を押してもらうというのがおススメだ。

【其の六】「宮廷気分」に浸れるカフェがある

神武門から故宮を出て城壁沿いに西に行くと見えてくるのが、故宮角楼カフェ。2018年末にオープンした当初は毎日行列ができていたが、今は少し落ち着いていてすぐ入店できた。店内の壁には千里江山図があしらわれ、「宮廷気分」でカフェタイムが楽しめる。

故宮角楼カフェ

千里江山図があしらわれた故宮角楼カフェの店内

故宮角楼カフェには、北京や故宮をテーマにしたオリジナルのドリンクやスイーツがある。この日はサンザシを水あめがけにした氷糖葫蘆がついたオーツミルクラテと、柿の果肉をあしらったライスミルクティー、養心殿をモチーフにしたラズベリーロールケーキ「養心巻」、千里江山図をモチーフにした抹茶ロールケーキ「千里江山巻」を楽しんだ。

北京や故宮をテーマにしたスイーツとドリンク

店内には故宮をモチーフにしたグッズもたくさん置いてある。バッジやブックマーカーのほか、カフェらしくマグカップやタンブラー、保温ボトルもある。さらには今日本でもファンが増えつつあるメイクアップ用品も!色鮮やかでデコラティブな外観で、持っているだけで気分が上がってきれいになれそう?

【其の七】故宮に住み着いている「故宮猫」がいる

故宮の中には約200匹もの猫が住んでいると言われる。こうした猫たちは「御猫」(故宮猫)と呼ばれている。

これらの猫のうち一部の祖先は、朱元璋が南京から移ってきた時に連れて来たと言われている。役割はネズミをつかまえること。でも今ではその本分よりも「イメージキャラクター」として「活躍」している。猫をかわいがり、写真を撮るためだけに故宮にやってくる人も多いそうで、もはや故宮のアイドル的な存在。故宮の猫のためにキャットフードを送ってくる人までいるという。

角楼カフェ前の「故宮猫」オブジェ

ただし、故宮猫に出会えるかどうかは運次第。この日は結局会うことができず、角楼カフェ前のオブジェをなでなでして「出会えた」ということに。猫に出会いやすいスポットもあるようなので、そこを事前にしっかり研究して行けば、運がよければ会えるかも?

「故宮猫」オブジェと故宮の城壁

北京の観光では欠かすことのできない故宮。そんな大定番の観光スポットである故宮でも、角度を変えてみると、まだまだ知らない事実が隠されている。故宮の中央ラインに並んでいる主要な建物だけ見て、南から北へ通り抜けるだけではもったいない!自分なりのテーマで「故宮クエスト攻略」を楽しんでみてもいいのでは?(提供/人民網日本語版・文、写真/勝又あや子)

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