中国のウサギの干支切手、斬新すぎる図案で炎上も“バカ売れ”の理由とは

Record China    2023年1月10日(火) 8時20分

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中国では、新しい干支のウサギをデザインした切手に対して「伝統文化に反する」「新年のめでたい雰囲気がない」と非難の声が巻き上がった。しかし売れ行きは絶好調という。

中国では、新しい干支のウサギをデザインした切手に対して、非難の声が巻き上がった。青色の体に赤い目をした「斬新」なデザインに「伝統文化に反する」「新年のめでたい雰囲気がない」などの意見が殺到した。しかし、売れ行きは絶好調で、売り切れになった場所も相次いでいるという。なぜなのだろうか。

切手をデザインしたのは、黄永玉(ホアン・ヨンユー)氏だ。黄氏は1924年の生まれで、高く評価される作品を数多く制作し、後進の指導にも尽力してきた中国美術界の重鎮だ。しかし、中国で最も経験豊富な美術家の一人である黄氏がデザインした「卯年切手」には批判の声が相次いだ。新年のめでたい雰囲気が感じられず、「妖気が漂う」などの批判だ。

中国では春節(旧正月、2023年は1月22日)をもって、干支が切り替わる。中国郵政が新たな干支のウサギをデザインした切手を発売したのは、1月5日だった。中国郵政広西分公司と広西博物館は、切手の発売キャンペーンに新しい「卯年切手」の、青い体と赤い目を模した着ぐるみを登場させた。するとネットでは「リアルにするとさらに醜悪」「あそこまで醜悪だとかえって萌える」といった、多くの声が寄せられた。


キャンペーンは翌日も続けられたが、青い体・赤い目のウサギの着ぐるみは登場しなかった。広西博物館の職員によると、子を持つ親からの反対の声が多く寄せられたための措置と説明した。

しかしこのウサギ切手、デザインに対する批判が「炎上」したにもかかわらず、売れ行きは絶好調だ。北京市に住む辛星(シン・シン)さんは「切手収集の趣味はなかったが、このウサギ切手のニュースを見て、醜いけれども面白いと思った。仕事場に近い郵便局に発売日の5日午後に行ってみたが売り切れ状態だった」と説明した。ただ、郵便局棚の中に売りに出されていなかった1セットが残っていたことが分かったので、それを購入できたという。辛さんによると、郵便局員は「4日の夜には行列ができた。発売当日の5日朝には、売り切れてしまった」と説明した。

広東省広州市内でも、卯年切手は発売当日に売り切れが発生した。多くの人がネットで事前予約をしていたという。四川省成都市に住む除さんは、12月30日にオンラインモールで注文した。ただしその時点で、成都市内での購入予約を扱うオンラインモールの多くでは、すでに注文できない状態だったという。

中国メディアの澎湃は、批判を浴びたにもかかわらず卯年切手に注文が殺到した理由は、今後の値上がりを期待する人が多かったからとの見方を紹介した。中国ではかつて、切手収集が極めて人気の高い趣味だった。ただし現在は手紙を投函する機会が少なくなったなどで、切手収集の人気は下り坂だ。ただし、黄永玉氏がデザインした干支切手には実績がある。

黄氏は以前に2回、1980年と2016年の干支切手をデザインしたことがある。いずれも申年の切手で、うち1980年の申年切手は人気がとりわけ高く、2000年ごろには1枚当たりの価格が1万元(約19万円)以上に達した。過去数年で価格は下落したが、それでも1枚5000~8000元(約9万7000円~15万円)で盛んに取り引きされているという。

黄氏がかつて手掛けた「申年切手」は、人々に奇抜さを感じさせるデザインではなく、ほのぼのとした雰囲気も人気の理由の一つだった。そのため黄氏は、「申年切手の父」などと呼ばれるようにもなった。今年の卯年切手については、黄氏のデザインということで関心を持った人もいるという。また中国郵政は、知名度が高い黄氏によるインパクトある干支切手により多くの人の関心を集め、切手の収蔵熱と価値を高めることを”仕掛けた”との見方もある。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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