進化しつづける日本の「おひとりさま社会」―在日中国人記者

Record China    2023年1月9日(月) 8時0分

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中国メディアの環球網は7日付で、日本では「おひとりさま社会」が進化し続けていると論じる、在日特約記者の潘小多氏の署名入り記事を発表した。写真は中国で翻訳出版された上野千鶴子氏の「おひとりさまの老後」。

中国メディアの環球網は7日付で、日本では「おひとりさま社会」が進化し続けていると論じる、在日特約記者の潘小多氏の署名入り記事を発表した。以下は同記事の抄訳に、日本人読者向けに若干の情報を追加するなどで、再構成したものだ。

日本では2001年、ジャーナリストの岩下久美子氏が執筆した「おひとりさま」という書物が注目された。書名の「おひとりさま」という言葉は、05年の新語・流行語大賞にノミネートされるほどよく使われるようになった、07年には社会学者の上野千鶴子氏が、岩下氏の考え方にもとづき新著の「おひとりさまの老後」を発表したことで、この言葉はさらに浸透した。15年になると、同名の女性向け漫画を原作にした「きょうは会社休みます」が、綾瀬はるかさんを主役としてテレビドラマ化された。同作品は30代の働く女性を主人公として、ひとり暮らしの多彩な側面を描いた。日本ではこのように「おひとりさま」の概念が豊かになり続けてきた。ニューヨークタイムズは15年に、日本の「おひとりさま文化」を「超クール」と表現する記事を発表した。

かつての日本社会は「おひとりさま」に“友好的”ではなかった。しゃぶしゃぶや焼肉を食べる場合、2人前以上を注文せねばならないことも多かった。特に女性の場合には、一人でレストランに入ったり、温泉に入ったり、旅行に出かけたりすることには「心の準備」が必要だった。しかし、「おひとりさま文化」が力を得たことに、市場はすぐに反応した。「おひとりさまの食事」「おひとりさまの旅」「おひとりさま歓迎の酒場」、さらには「おひとりさま用カラオケ」など、業者によってさまざまな「おひとりさま向けプラン」が開発された。

これらの「おひとり様向け商品」は、ひとりだけでも余暇を楽しめることを追求したものだ。これに対して「おひとり様用家電」の隆盛は、社会構造の変化による部分が大きい。

周知のように日本の人口は減少しつつある。ところが、国立社会保障・人口問題研究所によれば、10年には5148万だった日本の世帯数は、15年には5333万世帯、20年には5572万世帯と増加している。人口が減っているのに世帯数が増えているということは、単身世帯が増えていることを示す。

国立社会保障・人口問題研究所は、単身世帯数が25年には、15年比8.4%増の1996万世帯に達すると予測している。単身者は全人口の16%を占めることになる。15年には約7人に1人が独身だったが、25年には6人に1人になる見込みだ。主たる単身者は若者ではない。15年からは20-49歳の単身者が8%ほど減少する一方で、50歳以上の23%が独居者になる。

独居者の生活はシンプルかもしれないが、粗雑であるとは限らない。生活の質を求めてひとり暮らしを選択する層は、「自分を喜ばせる」ことには敏感だ。彼らは見栄えがよくて多機能なミニ家電には喜んで金銭を投じる。22年に最も人気があったミニ家電の一つは多機能電気ケトルで、マカロン色あるいはエナメル感のある外観の商品が女性消費者の人気を博した。

しかし一般的に、ミニ家電には単一機能の製品が多い。例えば、通販を行っているサンコーが開発した「おひとり様用超高速弁当炊飯器」は、人民元で約400元に相当する7000円前後で販売されている。単機能ながら多機能炊飯器1台を変える程度の価格で、決して安くはない。しかもこの炊飯器は、1回に半カップから1カップの米しか炊けない。

同社はミニ串焼き機、ミニラーメン鍋、ミニ洗濯機、ミニ囲炉裏、ミニレトルト製品加熱器など、一連の「おひとりさま向け」の製品を開発した。同社の宣伝部長は、「私どものミニ電化製品は、すべての人の需要を満たすのではありません。一人での使用を対象にしています。そのため、機能はおおむねシンプルで、個人が一番欲しい小型家電を選べるようにしています」と説明した。

ミニ家電は、あってもなくてもよい多くの機能を備えている大型家電よりも、一人暮らしに重宝だ。ミニ炊飯器はお茶碗1杯のご飯をピンポイントで作ることができ、ミニ揚げもの機は少量の油を使うだけで済む。独居生活のために開発されたこれらの電化製品は、さまざまな年齢層の独居者に良質なライフスタイルを提供している。新型コロナウイルスの流行にともない、ミニ家電は販売量が大幅に伸びた。物価の上昇も、ミニ家電の需要を後押しした。日本の業界関係者は、一人暮らしの人口が増えるにつれ、ミニ家電の人気はますます高まると考えている。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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