【特別寄稿】習近平主席の「新年談話」から読み取れる「今年の中国の動き」

Record China    2023年1月3日(火) 11時0分

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中国の習近平国家主席は2022年12月31日夜、恒例になっている新年に向けての談話を発表した。また、23年1月1日には中央外事工作委員会弁公室主任に就任したばかりの王毅氏の文章も公開された。

中国の習近平国家主席は2022年12月31日夜、中国中央広播電視総台(CMG/チャイナ・メディア・グループ)やインターネットを通じて、恒例になっている新年に向けての談話を発表した。また、23年1月1日には中国共産党で外交を扱う部門の中央外事工作委員会弁公室(中央外弁)のトップである主任に就任したばかりの王毅氏の文章も公開された。

■前年、前々年の談話より分量増加、23年の重大イベントへの言及はなし

発表された原稿は全文で1755文字で、21年の到来に向けた談話の1451文字、2022年向けの1481文字と比べて長くなった。いずれの談話も、過去1年間を振り返り、翌年について人々を鼓舞する内容だ。ただし、21年向け談話には同年7月の中国共産党成立100周年、22年向け談話には同年2月の北京五輪・パラリンピックと、翌年の重大なイベントに向けての心構えが説かれていたのに対して、23年には格段に重要なイベントが予定されていなかった。

■「今日の中国」の書き出しで、これまでの成果を誇示

大みそかに発表された23年向けの談話は一方で、「今日の中国は」で始まる段落を4カ所、「明日の中国は」で始まる段落を3カ所用いて、自国に対する現状認識と近未来に対する方向性を箇条書きに近い形式で表現した。

「今日の中国は」で始まる最初の段落では、北京五輪・パラリンピックの成功、自国の宇宙ステーションが完成したなど宇宙開発の成果、中国人民解放軍が創立95年を迎え3隻目の航空母艦である「福建」が進水したこと、大型旅客機に位置づける国産のC919が航空会社に引き渡されたことなどを並べた。

「今日の中国」についての次の段落では、中国経済の活況を論じ、さらに香港とマカオに「一国二制度」を揺るぎなく適用することで、両地域とも長期にわたり繁栄し安定すると主張した。

さらにその次の「今日の中国」は、中国人が地震や洪水、干ばつ、山火事などの自然災害と戦い勝利してきたと論じた。

最後の「今日の中国」では、国際社会に向けて中国の主張を語り、友人とパートナーを一貫して大切に扱い、人類の平和と発展のために中国の知恵や中国の方式を示すことで貢献していると、国際社会における自国の地位向上を強調した。

■「明日の中国」では団結や若者への重視を強調

「明日の中国」についてはまず、遠大な目標を追求すると論じた。ただし「千里の道も一歩から」のように、長期にわたる努力が必要とした。「目標」についての具体的説明はなかった。

「明日の中国」については次に、団結を強調した。「中国は大きな国であり、人によって求めるものが異なり、一つの事柄について異なる見方があるのは、とても自然なことだ」と論じた上で、「意思疎通と協議を通じて共通認識を結集せねばならない。14億人余りの中国人が心を一つにして、力を合わせねばならない」と主張した。そして、大陸部の中国人と台湾の人々は「家族」だとして、互いに歩み寄り手を携えて共に前進し、中華民族の末永い幸せを築くことを希望すると論じた。

なお、21年向けの談話と22年向けの談話では、中国国内に「異なる意見」が存在することに触れた部分はなかった。

「明日の中国」についてはさらに、若者に託する希望を論じた。そして若者には家族と国に対する強い感情を持つことや、進取の品格を養うことを求めた。

■王毅氏の外交を説いた新文章に日本についての言及はなし

中国外交部は1日付で、中国共産党中央外弁の王毅主任による文章を公式サイトに掲載した。王主任は同文章で、習近平総書記(国家主席)が、外交活動に注力し、多くの成果を挙げてきたことを強調した。また、「国家指導者の外交と中心業務に全力で奉仕し保障する」などとして、習近平主席の方針を支える「縁の下の力持ち」として働くことを強調した。

また、習近平総書記の対米姿勢として、インドネシアのバリ島で米国バイデン大統領と会談した際に、習総書記が「中米関係には(踏み外してはならない)最低ラインがある」と伝えたことに触れた。これまでの中国政府の言明や中国メディアの論説を総合すれば、中国にとっての「外交上の最も重要な最低ライン」は、「内政干渉は断じて認めない」と理解してよい。なお、中国にとって新疆ウイグルや香港やマカオの問題はもちろん、台湾についても「中国の切り離せない一部」との大原則を貫いている以上、米国が台湾関連で動きを見せた場合にも、中国側は内政干渉と見なすことになる。

王主任は同文章でさらに、習総書記がバイデン大統領に対して「中米は双方が協力すれば双方ともに利を得る。争えばともに傷つく」と述べたことにも触れた。

王主任はロシアについては、極めて緊密な関係が実現しており、今後も「戦略的相互信頼と互恵協力を深化させ、両国の全面的戦略協力パートナーシップを固める」と論じた。

またサウジアラビアをはじめとするアラブ諸国やアフリカ諸国とも緊密な関係が構築されており、今後も関係を深める意向を示した。欧州についても経済分野での交流が極めて活発になったと指摘し、「第三者」による干渉を受けないなどの条件の下に、「ハイレベル往来と戦略的意思疎通を緊密にし、中国と欧州の関係が長期的に安定的に推移するよう推進する」と論じた。

王主任の同文章中に、日本に関連する言及はなかった。(構成/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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