日本の「防衛増税」が民心を得られない3つの理由―中国人専門家

Record China    2022年12月21日(水) 5時0分

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中国紙・環球時報は20日、「日本の『防衛増税』は民心を得られず進めるのは難しい」とする評論記事を掲載した。

中国紙・環球時報は20日、「日本の『防衛増税』は民心を得られず進めるのは難しい」とする評論記事を掲載した。著者は黒龍江省社会科学院東北アジア研究所の笪志剛(ダー・ジーガン)所長。

記事はまず、共同通信が17~18日に実施した電話による世論調査で、岸田文雄内閣が発表した防衛のための増税について「支持しない」との回答が64.9%で、「支持する」(30.0%)を上回ったことを紹介。岸田首相の説明が「不十分」との回答が87.1%に上り、こちらも「十分」(7.2%)を大幅に上回ったとした。

その上で、「これは岸田内閣が突如として打ち出した防衛増税に民意の共感などの社会的基盤が欠けていることを浮き彫りにしただけでなく、一部野党の批判への賛同を裏付けたものであり、日本各界の普遍的な懸念を表していることも確かだ」と述べた。

そして、「日本社会の防衛力増強に対する支持率は絶えず高まってきた。しかし、岸田氏が増税を受け入れることは『国民の責任』だと表明すると、民意にはこれまでと明らかな温度差が生まれてきた」と説明。「防衛増税」に批判が高まっている背景には三つの要因があると分析した。

一つ目は「民意が防衛強化よりも経済回復を重視していること」とし、岸田氏は中小企業に配慮し、大企業への増税を示唆しているが、復興特別所得税の転用は所得税の増税に当たるほか、たばこ税も盛り込まれていることを指摘。「企業の景気回復に向けた取り組みに影響が出るとみられ、経済全体が打撃を受けるとの悲観的な声が経済界に広がっている」とし、「良い経済発展がなければ、日本を繰り返し苦しめることになる」と論じた。

二つ目は「コロナ、円安、高物価の三重苦が国民の関心事」だと指摘。「岸田政権は新たな景気刺激策として新たな補助金を出すことを約束したが、新型コロナの感染拡大が繰り返される中、影響を受けた国民の生活を改善するにはまだ不十分だ」とし、「1人当たり年間4万円の負担増となる『防衛増税』について、『減税で経済を再生すべきなのに、逆に増税する政府の行動は理解できない』との声が庶民から上がり、福島など被災地の人々も『復興税転用の名目で軍備を整備するよりも、次の10年の復興を着実に進めてほしい』と感じている」と述べた。

三つ目は「反撃能力の保持について、国民は他国からの報復を恐れている」ことだとし、「日本の国民は反撃能力の保持を支持する一方、周辺国との関係を緊張させ、報復を受けるのではないかと懸念している」と指摘。「与党・公明党や野党の多くが周辺国を外交的に刺激することを嫌う姿勢を示しているほか、経済界や一部の政府関係者からも、報告書にはよりえん曲な表現を用いるべきとの懸念が出ている」とした。

記事は、こうした官民の温度差によって「ただでさえ危うい岸田内閣の支持率をさらに下げることになる」「日本の政党政治の対立を増幅させ、迷走に陥る」「日本国民の政府に対する不信を招く」という三つの悪い結果がもたらされると論じた。(翻訳・編集/北田

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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