輸出が不振、中国地方政府には「売り込み団乗せたチャーター機」手配の動き

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中国では輸出の不振により、地方政府が「売り込み団」を乗せた国外に向かうチャーター便を手配する動きが発生している。写真は江蘇省無錫市の政府や企業関係者を乗せて、日本を目指す「売り込み団」の様子。

経済情報を扱う中国メディアの財経早餐は10日付で、中国では輸出が不振になったことで、各地の地方政府がチャーター便を手配して、政府関係者や地元企業人による「売り込み団」を海外に派遣する動きが発生していると紹介する記事を発表した。

中国の輸出不振の背景には、欧米におけるインフレの影響による需要低迷があるという。浙江省政府商務庁は4日、同庁関係者と企業関係者による代表団の、「欧州・受注獲得の6日間の旅」を始めた。同省は今後もチャーター機などを利用して、1万社以上の同省の企業関係者を「受注獲得の旅」に送り出す考えだ。

浙江省蘇州市は、市政府商務局と同省企業関係者200人からなる「独仏・受注の旅」を9日に出発させた。シーメンスなど世界的企業や国際的金融機関と交流して、顧客を維持して注文を獲得することが目的だ。それ以外にも、広東省や四川省など多くの地方で、地元政府がチャーター機を手配して「受注獲得の旅」を実施しているという。

中国海関総署(中国税関)による7日発表の統計では、11月における中国からの輸出額は人民元建てでは前年同月比0.9%増、前月比では7.0%増だった。しかし為替変動要因を控除してドル建てで見ると、輸出は前年同月比8.7%減、前月比では0.3%減だった。

逆に海外から見れば、輸入減の状態が続いている。米国からの中国企業への発注は第3四半期(7-9月期)以降、40%減少した。10月には米国のアジアからの輸入量は20カ月ぶりの低水準に落ち込んだ。アジアから米国西海岸までのコンテナ輸送スポット価格は、2022年前半の歴史的高水準から、わずか3カ月で定期船会社の損益分岐点にまで下落した。

また、中国港口協会(中国港湾協会)の5日付の発表によると、11月における中国八大ハブ港の貿易用コンテナの取り扱い数は前年同月比で9.7%減少した。21年には流通全体の滞りなどもあり、「コンテナ不足で運べない」という深刻な事態が発生したが、現在では大量の空のコンテナが港湾に積み上げられており、置き場不足などの問題が発生しているという。

これまでは、「東南アジアの企業が対欧米輸出で中国企業のシェアを奪っている」と報じられてきたが、実際には東南アジアからの対米輸出量も11月には前年同月比で3.5%減少するなど、中国ほどではないにしろ、やはり低迷している。

ただし、輸出商品やタイミングによっては、特定業界が好況に沸くこともある。カタールでサッカーの2022 FIFAワールドカップ(W杯)が開催されたことに関連して、浙江省義烏市内の企業は中東地域からのサッカーボールやホイッスル、クラクションなど関連用品の注文を大いに伸ばしたという。9月にはカタールに輸出された商品数が過去最高を記録した。中国からの輸出のための海上輸送運賃は7月から急落したが、10月以降は上海から中東のドバイへの運賃は逆に上昇し、W杯直前には中東航路の運賃が欧州航路を上回る「異常事態」も発生した。

さらに大きな目で、中国にとっての輸出をけん引していくとみられるのが、電気自動車など中国で「新エネルギー車」と呼ばれる車両だ。中国からの新エネルギー車の輸出は1-10月累計で、前年同期比96.7%増の49万9000台に達した。新エネルギー車の輸出に支えられて、中国は22年通年で、世界第2の自動車輸出国になる見込みだ。

浙江大学国際聯合商学院デジタル経済及び金融革新研究センターの盤和林共同主任は、「自動車輸出台数が力強く増加しているのは、中国国内のサプライチェーンが安定しているからだ。さらに、中国のハイエンド製造業が新エネルギー車へのモデルチェンジというチャンスを鋭敏につかんだことにも起因する」と述べた。中国で製造される従来型の工業製品は、東南アジアの企業の追い上げの影響を受けることは必然だが、中国では高度な技術を投入でき、質の高い製品を作れる企業が育ちつつあることが、輸出産業の強靭(きょうじん)さを形成しつつあるという。

財経早餐は中国の輸出産業ついて、海外需要の影響を強く受けることは事実だが、無為無策であってはならないと指摘して、中東地域のような「新た出現した市場」を確保せねばならず、新エネルギー車のような、「新たに台頭した商品」に力を入れるなど、あらゆるビジネスチャンスを積極的に掌握することこそ、「逆風下にあっても中国の輸出産業が包囲網を突破する鍵になる」と論じた。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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