日本はなぜ「ごみ拾い」で褒められようとするのか―中国メディア

Record China    2022年12月12日(月) 22時0分

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中国メディアの観察者網は8日、「日本人とごみの切れない関係」と題する記事を掲載した。

中国メディアの観察者網は8日、「日本人とごみの切れない関係」と題する記事を掲載した。

記事は、「サッカーのFIFAワールドカップ(W杯)カタール大会で日本が強豪ドイツに勝利した。この勝利の速報とともに世界中を駆け巡ったのは、日本人が“また”ごみ拾いをしているという“見覚えのある”ニュースだった」と説明。「W杯の公式ツイッターアカウントでさえ、日本のサポーターの行為を褒める動画を投稿し、一部の日本のネットユーザーは『日本への関心と報道に感謝します!』などとコメントした」と伝えた。

しかし11月24日、大王製紙元会長の井川意高氏が自身のツイッターに「こういうの気持ち悪いからやめて欲しい。ただの自己満足。掃除人の仕事を奪ってる」とツイート。また、「まあ端的にいってサッカー場のごみ拾いしたことを褒めてもらって喜ぶくらいしか、日本人の自尊心を満たせることがないくらい誇れるもののない貧しい国になったということだ。赤ちゃんが泣いたら文句つけるような国民の美徳?。 笑わせるな」「何度も繰り返すが、サッカー場のごみ拾いを褒められて有頂天になる日本人が悲しい。そんなちっぽけな自尊心が満たされてうれしいか?。俺には世界からの褒め殺しとしか思えない」などと発信した。

記事は、「この発言が出ると、当然世論が騒然となった。そして、この鋭い“挑発”の背後にあり、さらに追求する価値があるのは日本民族の自信の問題だ」とした。

■日本人とごみ拾いの切れない関係

記事は、「実は、日本人がW杯でごみ拾いをするのは初めてではない」とし、2014年のブラジル大会、18年ロシア大会でも日本人のごみ拾いが報道されたことを伝えた。

一方で、「自国のチームを応援するために青いごみ袋を持ってきた日本のサポーターは、空気の入ったごみ袋をスタンドで振りかざし、『自国のサポーターの方が人数が多く見える』という応援効果を狙っていたのだ。そしてごみ拾いは、手にたくさんのゴミ袋があったから、それを最大限に利用しただけのことだ」と主張し、「日本人は本当に意識が高いから何か盛大なイベントがあるたびにごみ拾いをしているのだ、という先入観をまず忘れてもいいのではないか」と指摘した。

■「キラキラ」した国民性も相変わらず表面的

記事は、「“日本のごみ”といえば、ほとんどの人が真っ先に日本のごみ分別を思い出すだろう。日本に住み、日本のごみの分別を体験した者として、筆者はこの分別は実に厳密だと言わざるを得ない。また厳格なごみ分別のため、日本の街にはごみ箱がほとんどない」とし、「街にごみ箱がないということは、もし人々の意識が高ければ比較的良い効果を出すことができる。みんなが自覚してごみを持ち帰ることができる。同時に、長年の鍛錬の成果で、日本人はごみの分類を割りと意識している方だ」とする一方で、「しかし、誰にも見られない隅っこでは、日本人は必ずしも意識の高い姿を見せるわけではない」と指摘した。

その上で、「日本ではごみの分別のため、家庭ごみの回収は曜日ごとに種類が決められており、その日を逃すと次回を待たなければならない。1度逃すとごみが1週間家にたまることになり、我慢できない人も多い。すると、自分の家ではいつでも捨てられるわけでないが、コンビニなら捨てられると葛藤する人も多いのではないか。結局、家の燃えるごみをコンビニのごみ箱に捨ててしまう」「そのため、一部のコンビニでは入り口に『家庭ごみは捨てないでください』との案内が貼られている。駅のごみ箱も似たような状況だ。一部の駅では、あまりにも多くの人が家庭ごみを捨てるため、ごみ箱を撤去しなければならなくなった」と述べ、「明らかに、厳格なごみ分別ときれいな街も一定の社会的代償を生んだのだ」と指摘した。

また、「日常生活の中での家庭ごみの処理の問題だけでなく、日本人の公共の場での衛生の意識も人によって異なる」とし、「毎年ハロウィーンになると、東京・渋谷の街には各地から人々が集まり、コスプレ姿で盛り上がる。この時、特に大量のごみが発生することがよくある」「特にコスプレの服を着たり仮面をかぶったりすると、ある人は自分をなくしてもいいと思うようになる。さらには、興奮するほどのお祭り騒ぎになると、車をひっくり返してその上に飛び乗ったり、パトカーを取り囲んで騒ぎを起こしたりする人も出てくる」とし、「当事者は(警察に)連れて行かれるが、ごみは残ってしまう。そのため、ここ数年はコスプレの服を着て(ごみ拾いの)ボランティアをしたり、ハロウィーンの翌日に集団でごみ拾いに行ったりする人もいる」と伝えた。

■体面と民族の自信

記事は、「公衆衛生は、ある程度日本の誇りになっている。100%完璧ではないにせよ、日本人は自らの努力で公衆衛生を極限までつくり上げてきたことは確かだ。多くの日本人は、このことを『外国人に褒められるべき』と考えているようだ。国際大会でのごみ拾いもそのためだ。この小さなことは日本国民の意識を示す対外宣伝の窓口であり、対内宣伝で日本人の民族自負心を強化するものでもある」と主張した。

また、日本の記者・編集者・ノンフィクション作家である窪田順生氏の著書「『愛国』という名の亡国論」の内容を取り上げ、「日本というだけで自信に満ち溢れ、『日本の◯◯は世界一』といったタイトルを冠した番組は2000年代に入ってから増え続け、2010年ごろがピークとなった。同様に日本を礼賛する書籍も似たような傾向を示している。この流れに朝日新聞ですら逆らわなかった」とし、「この時期に日本人の民族的自尊心がかつてないほど高揚した。日本は本当に素晴らしく、世界中が日本に好意を抱いてしかるべきだと(日本人は)思っていた。NHKの調査によると、2010年代前後には、日本人の誇りは1980年代に匹敵するほどだった。『日本人は他国の国民に比べて格段に高い意識を持っているだけでなく、日本が一流の国だ』と感じており、『現在の日本が外国から学ぶ必要があるとは思わない』という考え方を持っている人が、1980年代と同じくらい多かった」と論じた。

記事は、「おそらく2008年前後の経済危機に加えて、日本の国内総生産(GDP)第2位の座を中国に奪われたことで、日本人の心の中にはむしろ褒められることへの渇望が大きくなり、このような『日本自慢』の内容に大きくいびつな需要が生まれたのではないだろうか」とした。(翻訳・編集/刀禰)

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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