米証券取引所に中国IT大手が上場を計画、巨額の利益はソフトバンクに?―中国メディア

Record China    2014年7月2日(水) 20時46分

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1日、アリババ・グループの上場に向けた持久戦は、ついに要所に差し掛かった。アリババは6月26日、米証券取引委員会(SEC)にIPO目論見書を提出し、ニューヨーク証券取引所での上場を計画中であることを発表した。写真は杭州のアリババ本社。

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2014年7月1日、アリババ・グループの上場に向けた持久戦は、ついに要所に差し掛かった。アリババは6月26日、米証券取引委員会(SEC)にIPO目論見書を提出し、ニューヨーク証券取引所での上場を計画中であることを発表した。ティッカーシンボルは「BABA」。しかし目論見書は、具体的な上場時期については明かさなかった。中国経済網が伝えた。

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各調査機関は、アリババの資金調達規模が200億ドルに達し、史上最大規模のIPOのひとつになると予想している。上場に成功すれば、ジャック・マー馬雲)会長を含む28人のパートナーと共同創始者などが、巨額の富を手にすることになる。しかし最大の勝者になるのは、アリババの筆頭株主のソフトバンクだ。

これはアリババのケースだけではなく、中国IT企業の投資において最大の勝者となっているのは、一部の外資系企業だ。

▼VIE構造のリスクとは?

目論見書によると、ソフトバンクはアリババ株の34.4%を保有しており、筆頭株主になっている。アリババのジャック・マー会長の持株比率は8.9%のみだ。今年3月末現在、アリババVIE(変動持分事業体)の売上は61億7000万元(約1012億円)に達し、グループ全体の12%を占めた。

VIE構造は企業を二つの実体に分けることで、外国人による規制のある産業への投資という問題を解消する。そのうち一つの実体は中国に位置し、中国事業に必要な許可証やその他の資産を管理している。外国人投資家は二つ目の実体(オフショア企業)が海外で販売する、親会社の株式を購入できる。

業界関係者は、「外資に規制をかけるTMT産業(テクノロジー・メディア・通信)はVIE構造により、PEファンドによる資金調達と上場を実現した。過去10数年間に渡り、中国で最も優秀なIT企業がVIEにより、海外資本市場のドアを開いた」と指摘した。百度ロビン・リー(李彦宏)CEOはメディアの取材に応じた際に、VIE構造について、「VIEは中国の体制変革の緩やかな反応、企業の急激なグローバル発展による産物だ。VIEでIT企業の発展を制限し続けるならば、産業全体の活力を低下させることになる」と指摘した。

▼BAT、いずれも外資が大株主

BAT(百度・アリババ・テンセント)の3大手はケイマン諸島に登記されている。またBATの大株主リストを見ると、いずれも国際的な投資機構となっている。アリババの2大株主は、34.4%を保有するソフトバンク、22.6%を持つ米ヤフーだ。テンセントの筆頭株主は南アフリカのMIHグループで、33.93%の株を保有する。百度の最大の株主は英国のBaillie Giffordで、7.1%の株を保有する。テンセントや百度もアリババと同じように、VIE構造のリスクに直面している。

格付機関のムーディーズは、「海外親会社の株主、経営許可証を持つ域内の実体VIEが、戦略を巡り意見を一致できなければ、域外投資家の利益がリスクに直面する可能性がある」と指摘した。また中国政府はVIE構造の合法性について立場を表明しておらず、将来的に監督管理の措置を講じる可能性もある。

しかしムーディーズの上級アナリストのLina Choi氏は、「テンセントと百度はVIE構造のリスクに直面しているが、両者の所有権構造、キャッシュフローの管理、長期的なVIE構造の記録を見ると、このリスクは制御可能な範囲内だ」と分析した。

▼中国IT企業の成果、外資の手中に?

中国のIT企業は誕生した時から、海外のベンチャーキャピタルや投資会社と密接なつながりを持っている。業界関係者は、「ベンチャーキャピタルが多く進出するほど、企業の経営者が株を多く失うことになり、企業の発展に対する管理能力が損なわれる。企業は一定規模を形成後、海外上場によりベンチャーキャピタルに見返りを与えようとしている」と語った。

アリババの時価総額を低く見積もって1500億ドルとすると、ソフトバンクの投資収益は440倍になる。テンセントの筆頭株主のMIHグループの収益に至っては、1925倍になる。外資系企業が百度から得る見返りも、驚異的な規模となっている。BATの上場後、最大の利益を受けているのは外資系企業のように見え、「中国IT企業の成果が外資に握られている」という説が浮上した。

業界関係者は、「IT大手が国内で創設されたばかりの頃、中国の投資会社は大きな舞台を提供できなかった。ゆえに各社は十分な資金を確保するため、外資を受け入れるしかなかった。巨額の外資があったからこそ、BATは今日のような大きな規模に成長できた」と指摘した。

例えばテンセントの場合、馬化騰(ポニー・マー)会長の持株比率はMIHの3分の1未満だが、MIHは馬会長を十分に信頼しており、当初より持株の議決権を放棄していた。ゆえに馬会長はテンセントの筆頭株主ではないが、同社の経営・管理は馬会長と数人の共同創始者が担当している。

業界関係者は、「BATは外資系企業のためにアルバイトをしていると言われるが、3大手の中国インターネット業界での積極的な影響が、これにより損なわれることはない。十数年の月日が流れたが、同3社は国内のインターネットに貢献し続けている。国内のネットユーザーの体験、国内のネットワーク環境の改善などの取り組みは、中国の実体経済にも貢献している」と述べた。

◆用語説明

・BAT(中国IT企業3大手)は、百度、アリババ、テンセントを指す。

・VIE(Variable Interest Entities、変動持分事業体)は、企業が保有する実質的もしくは潜在的な資金源だが、企業はこの持分事業体に対して完全な支配権を持たない。持分事業体とは、合法的に経営する企業もしくは投資を指す。李CEOは2013年3月、「民間企業の海外上場(VIE)を促すため、M&Aや資格認定などの規制を撤廃すべき」と発言し、業界内で話題になった。(提供/人民網日本語版・翻訳/YF・編集/武藤)

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