米国がICT関連で中国5社を「締め出し」、中国企業は「より打たれ強い」体質に変貌中

Record China    2022年11月30日(水) 9時0分

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米当局は25日、安全問題を理由に中国IT大手5社を自国市場から事実上、排除する規則を採択した。しかし米国が強硬策を取り続けることで、中国企業は変貌しつつある。写真は広東省深セン市内のファーウェイ本社。

米国は一部中国企業の排除に力を入れている。「ハイテク分野における米中の分断も辞さない構え」との見方もあるほどだ。米国による締め出しの影響を特に強く受けた中国企業の一つに華為技術(ファーウェイ)がある。ただ同社の場合には、単純に「耐え忍んで」いるのではなく、事業構成や研究開発により力を入れることで、「より打たれ強い企業」に変貌しつつあるように見える。

■米国は「ハイテク分野における米中の分断も辞さない構え」との見方も

米連邦通信委員会(FCC)は25日、国家安全保障に対する「容認できないリスク」を理由として、中国IT大手5社を対象に、米国での通信機器とサービスの販売や輸入に必要な認証を新たに付与することを禁止する規則を採択したと発表した。米国国内の通信網からの事実上の排除であり、「ハイテク分野における米中の分断も辞さない構え」との見方もある。

対象となったのは、情報関連機器を扱う中国の通信機器大手、ファーウェイと中興通訊(ZTE)、監視カメラなどを扱う浙江大華技術(ダーファ・テクノロジー)と杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)、トランシーバーなど無線機器や無線システムを扱う中国海能達通信(ハイテラ・コミュニケーションズ)だ。

米国はトランプ政権時代の2019年から中国に対して、経済分野でのn圧力をかけ続けている。制裁の対象になった企業には、ビジネスモデルの変更を余儀なくされるなどの現象が見られる。

例えばファーウェイの場合、米国が制裁を発動する前には、スマートフォンの売上台数でアップルを抜くなどが注目された。しかし、米国の制裁で重要部品が調達できなくなったこともあり、「スマホメーカー」としてのビジネスに支障が出た。同社はその後、企業や行政向けのビジネスにより力を注ぐようになった。

■事業内容の多彩化で「打たれ強い」体質に

同社は事業分野を通信事業者向け業務、(それ以外の)企業向け業務、端末業務に三分している。同社が22年8月末に発表した同年上半期(1-6月)経営業績では、通信事業者向け業務の売上高を前年同期比4.2%増の1427億元(約2兆9000億円)、企業向け業務は同27.5%増の547億元(約1兆1100億円)、端末業務は同25.4%減の1013億元(約2兆600億円)だったとした。

企業向け業務はまだ規模が小さいので端末業務の「目減り」を埋め合わせるには至っていないが、伸び率は大きかった。同社はまた、有望視できる分野について「軍団」と呼ばれるグループを設立している。「軍団」といっても軍事分野と関連しているわけではなく、軍組織が自己完結性を持つのと同様に、担当分野について需要の掘り起こしから製品などの開発、設置、アフターサービスまでを一貫して行える社内組織だ。

同社の「軍団」については、「炭鉱軍団」、「スマート道路軍団」、「スマート太陽光発電軍団」、「行政ワンストップサービス軍団」、キャンパス軍団」など、消費者向け製品ではなく企業や行政などを顧客とする事業の多さが目立つ。

同社はさらに、22年4月にはそれまでの消費者向け事業を端末事業に変更した。消費者向け製品だけでなく、政府や企業などと顧客する業務用端末製品にも同様に力を入れていく方針だ。

ファーウェイの場合、米国による制裁発動が一つのきっかけとなり、同社発展の原動力だった端末機器に対する依存度が低下せざるを得ない状況になり、そのことで「事業の柱の本数」が増えることになり、結果として「より打たれ強い」企業体質への転換が進行中と考えてよい。

■国際色をさらに強める事業展開

同社のこのところの傾向の一つとしては、「国際化」の注力もある。もちろん、米国など“出禁”状態の国はあるが、そうでない国とは可能な限り良好な関係を構築する努力が顕著だ。

例えば同社が11月23日に広東省深センで開催した「コネクティビティ+:世界を変える力を持つインパクトを生み出すためのイノベーション」と題したフォーラムでは、国際電気通信連合(ITU)および国連の上級指導者、カンボジア、ナイジェリア、バングラデシュ、パキスタンの電気通信相など、さらに中国、南アフリカ、ベルギー、ドイツのビジネスリーダー、パートナーや専門家、顧客などが講演者あるいはパネリストとして参加した。

また同社は、世界各地で人材育成への協力にも熱心に取り組んでいる。9月にタイのバンコクで開催した「教育分野のデジタル化への挑戦を加速させる」と題したイベントでは、100以上の国と地域で大学2000カ所以上と協力してICTアカデミーを設立し、毎年15万人を超える学生に訓練の機会を提供していると説明した。

ファーウェイは人材育成に協力することについて、「デジタル技術は急速に発展しており、人材育成が必要」と説明している。たしかに、ある国や地域でデジタル技術者が育成されれば、その国や地域が産業や社会のデジタル化を推進する上で大きな力になるだろう。さらにファーウェイとしては、人材育成に協力することで「ファーウェイ仕様の技術」に慣れ親しんだ技術者をまとまった人数で出現することになる。相手地域でビジネスを展開する上で、即戦力となる人材の蓄積が期待できる。

つまりファーウェイの世界の各地域での人材育成事業は、相手にも自らにも利得をもたらすことが期待できるウィンウィンの戦略と考えることができる。

■人材確保でも国際色が濃厚に

ファーウェイは技術開発に大量に資金を投入する会社としても知られる。同社は毎年の売上高の10%以上を研究開発費に投入することを厳守してきた。21年12月期決算では売上高が前年比28.6%減の6368億元(約12兆3500円)だったが、研究開発費はやや増加させたので、売上高に対する研究開発費の比率は22.4%で、同社としても例のない高水準に達した。

また、技術力を高めるためには「とびきり優秀な人材がどうしても必要」との認識も一貫している。同社は20年から21年にかけて約2万6000人を採用したが、その中には同社が「天才少年」と呼ぶ、学生時代に大きな研究実績を上げた研究者が300人含まれる。中には、日本円相当で3000万円以上の年俸で迎えられた研究者もいる。

そして、特に優秀な人材を求める範囲も国際化している。21年には、フィールズ賞受賞者であるフランス人数学者のローラン・ラフォルグ氏を迎え入れた。フィールズ賞とは「数学のノーベル賞」と呼ばれることがあるが、4年に1度の授与であることや、40歳以下という年齢制限があるために、「実際にはノーベル賞より獲得が難しい」との声もある。

ファーウェイは世界が認める「数学のトップ頭脳」を研究陣容に加えたことになる。ラフォルグ氏は、ファーウェイのパリ研究所で研究を続けている。ファーウェイは21年10月に開催された第44回国際大学対抗プログラミングコンテスト(ICPC)優勝チームの一員だったロシア人のバレリア・リャブチコワ氏も迎え入れた。リャブチコワ氏はファーウェイのニジニ・ノブゴロド研究所に入所した。

■未来を先取りする研究開発

ファーウェイの場合、研究開発を中長期的視野、言い方を変えれば数年後あるいはそれより先の状況を強く意識して研究開発を進めている。日本経済新聞社と情報通信関連のシンクタンク活動などを行うサイバー創研が22年11月27日に発表したメタバース(情報機器内に構築された3次元仮想空間やそのサービス)関連の特許出願数についての調査によればファーウェイは世界第4位だった。同調査は16年から実施しているが、ファーウェイが上位20位内に食い込んだのは初めてだったという。

なお、同調査では韓国のLG電子が1位でサムスン電子が2位だった。上位20社の特許出願件数は7760件で、米国企業が57%、韓国企業が19%、中国企業が12%を占め、日本企業は8%だった。中国企業では、動画投稿サイトのティックトックを運営するバイトダンスも、買収によって開発力を高めつつあるという。

米市場調査会社のIDCは、世界のメタバース関連の市場規模は26年に、現在の5倍の747億ドルに達すると予想している。メタバースは当初はゲームなど娯楽分野に多く取り入れられるが、その後は個人の生活シーンや工業生産などの産業、さらに医療や教育分野にも大きく進出するとの見方がある。社会に本格的に浸透するのは30年代との予測もある。(取材・構成/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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