解けた靴ひもは注意するが、倒れた人は「見て見ぬフリ」=日本人が理解しがたい中国人の「本能」

Record China    2014年7月1日(火) 6時50分

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中国人は日本人と比べると他人をよく見ている。自分に利益がないことでも、「見て見ぬフリ」はしない。ただし、それには「自分が損をしないならば」という条件が付く。写真は上海。

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数年前に中国広東省で2歳の女の子が車でひき逃げされたにもかかわらず、18人もの中国人が「見死不救(見殺しにする)」して助けなかったニュースは日本でも大々的に取り上げられた。実際に私自身も同様の体験をしたことがある。真夏の暑い日、中国でタイの友人と歩いていると、人通りの多い道におじいさんが見事なまでの「大の字」になって倒れていた。その真横を通りすぎる中国人は見向きもせず、さらに驚いたことに10メートル先には大学の警備員もいたが、助けようとはしなかった。それはあまりに異様な光景だった。すぐに駆け寄って助けた私たちに、お年寄りは「病院に行った帰りに急にふらついて…」と非常に申し訳なさそうに話した。

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しかし、中国人は常に他人に対して無関心で冷血なわけではない。中国人は他人の靴ひもが解けているのを見れば、老若男女関係なく「危ないから靴ひも結びなさい」と注意する。高い物を買おうとしている人がいれば、赤の他人であっても「あっちの方が安いよ」などと教える。お年寄りだけでなく、小さな子どもがバスに乗ってくれば、我先にと席を譲る。彼らは日本人と比べると他人をよく見ている。中国人は自分に利益がないことでも、「見て見ぬフリ」はしない。ただし、それには「自分が損をしないならば」という条件が付く。

女の子のひき逃げ事件についてもそうだ。もちろん、「自分だったら女の子を助けた」と激怒した人も大勢いた。しかし、さらに多くの人は「倒れていた人を助け起こしたら自分のせいにされ、多額の金を請求されるケースが相次いでいる。もし自分もそうなってしまったらと考えると、関わらないのが一番」と考えたのだ。しかし、私が倒れているおじいさんを目にしたときは、「自分のせいにされることがある」という情報は知ってはいたものの、それでも身体はとっさに反応し、おじいさんを助け起こしていた。これは私たち日本人にとって当然のことではないか。

一説によると、日本人は人を助けるという「本能」が非常に強い民族らしい。川で溺れた子どもや電車の踏切に取り残されたお年寄りを、自分の命を顧みずに助けたというニュースは日本ではよく耳にする。2013年7月に、南浦和駅でホームと電車の間に挟まれた女性を乗客と駅員約40人が力を合わせて助けたというこのニュースは、世界で「日本だけで起り得ること」と絶賛された。一方で、日本人は「この人に席を譲ったら、お節介になるかもしれない」「この人、服を逆に着ているけど指摘したらもしかして失礼になるだろうか」など、中国人ならば何も考えずにできるような人助けを躊ちょすることもある。

ともすれば非常に対照的な日本人と中国人。しかし、人の生死を前に、非常に冷静に自己の利益を計算できてしまう中国人の「本能」は、日本人には永遠に理解できないのかもしれない。

■筆者プロフィール:北村まい(きたむら・まい)

1989年、兵庫県生まれ。高校時代、一人旅で訪れた北京で中国の魅力に圧倒され、「どうせ学ぶならキレイな標準語を」と、極寒の地中国ハルビンに留学。4年間の現地生活で中国文化の奥深さと中国人のパワフルさの虜となり、「中国通」になることを決意。2014年秋より四川大学大学院で対外中国語教育を学ぶ。現在中国語翻訳者として活動中。

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