過密都市ソウル「危険と認識する感覚が鈍っているのでは」、梨泰院雑踏事故で韓国各紙

Record Korea    2022年11月5日(土) 8時0分

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梨泰院雑踏事故を受け、韓国各紙は過密都市ソウルの危険性を取り上げ、「危険と認識する感覚が鈍っているのではないか」などと注意を喚起。改めて警鐘を鳴らした。

156人が犠牲となった梨泰院雑踏事故を受け、韓国各紙は過密都市ソウルの危険性を取り上げ、「韓国の密集文化は大丈夫なのか」「危険と隣り合わせ」などと相次いで報じた。この中では「危険だと認識する感覚が鈍っているのではないか」との専門家の見方を紹介。改めて警鐘を鳴らした。

朝鮮日報が特に問題視したのは、ソウルなど首都圏の通勤・退勤時間は常に混雑する地下鉄。一部の乗客はドアが閉まる直前まで、ヒヤヒヤしながら体をドアの中に押し込む。車両の中は密集状態なので、体を動かすのも容易ではない。降りる時は乗客をかき分けて出ていかなければならない。ぶつかったり転んだりすることもしょっちゅうある。

ソウル交通公社の鉄道統計年報で公表されている都市鉄道輸送実績によると、ソウルの地下鉄路線のうち最も混雑がひどいのは9号線だ。一つの車両の標準乗車人数は160人で、これが混雑度100%の基準点となる。9号線の混雑度は200%を超えることもあった。

専門家らは「限られたスペースで密集状態になることが当たり前になっているため、危険だと認識する感覚が鈍っているのではないか」と指摘する。米国の災難(災害)管理専門家、ジュリエット・カイエム氏は米CNNに対し、ソウル市民が密集環境に慣れているということを梨泰院惨事の要因として挙げ、「混雑する空間に慣れすぎているという危険もある」と分析。「そのため通りが群衆で埋め尽くされていても、恐怖や驚きをさほど感じなかった可能性がある」と語った。

ハンギョレ新聞は「人口950万人の都市ソウルで『過密』は聞き慣れた単語だったが、いまやいつでも遭遇しうる日常の中の危険となったのだ」と報道。「市民一人ひとりも過密環境の危険性を認知しなければならないという宿題を抱えることになった」と伝えた。

韓国の国家統計ポータルによると、昨年の時点でソウルの人口密度は1平方キロ当たり1万5699人。2番目に人口密度が高い釜山(4320人/平方キロ)と比べても4倍近い。世界都市分析ホームページ「シティ・メイヤー・スタティスティックス」によると、2018年時点でソウル(仁川を含む)の人口密度は世界6位(人口数上位300都市中)。1~5位はインドのムンバイ・コルカタ、パキスタンのカラチ、ナイジェリアのラゴス、中国の深センだった。

韓国安全専門家協会のイ・ソンギュ会長は「政府も国民もソウルの都市の真ん中で人が圧死することもありうるという事実を体感できておらず、これまで安全対策も不十分だった」と言及。「今回の事故で生じた学習効果として、政府は過密環境に対する対策を新しく立てなければならない」と訴えた。(編集/日向)

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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