市の観光局長が「赤っ恥覚悟」で珍妙コスプレ、「やめとけ」と炎上しかけたが…―湖北省随州市

Record China    2022年11月1日(火) 22時0分

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中国で、湖北省随州市文化・観光局の解偉局長による「歴史的コスプレ」の動画投稿が注目を集めた。最初はけなされたが、次第に理解と支持をする人が増えてきた。

中国で、湖北省随州市文化・観光局の解偉局長の動画投稿が注目を集めた。市のイチョウの名勝の千年銀杏谷景区で、自らが古風な白装束に身を包み、剣舞を披露し、碁を打ち、酒を飲んだ。ネットでは「醜い」、「イケメンじゃないんだから無理するな」などのコメントが相次いだのだが……。

自分が出演した動画に対して「醜い」などとやゆするコメントが相次いだ。解局長は丁重に釈明した。批判が集まった古風なヘアスタイルについてなどを含めて「慌ただしい中で準備時間が不足していました。衣装は既存のものしか選べませんでした」、「私の経験不足に加えて、他の撮影もあったので、メークのお嬢さんに残された時間が限られていたため、皆さんが指摘されるような状況が発生してしまいました」などだ。

すると今度は、解局長の誠実な姿勢を評価して支持する人が増えだした。中国メディアの山西晩報はこのほど、解局長へのインタビュー記事を発表した。

解局長によると、自分自身が赤っ恥をかいても笑われても、「随州の知名度が上がればそれでよい」と考えた。とにかく地元の美しい風景を、多くの人に知ってほしかったという。動画に寄せられたコメントには、市政府の幹部職員である解局長を、「お笑い芸人」と同列に見なした書き込みも多かった。解局長は、「皆さんは私をばかにしたのかもしれませんが、挙げられた人(お笑い芸人)は皆、人々に楽しみを与えてくれる存在です。社会が必要とする人々です。私も笑いを届けた目的は随州をアピールすることですから、私の本業でもあるわけです」と説明した。

歴史上の人物に扮したのは「宣伝には創意工夫が必要」と考えたからという。千年銀杏谷景区には古い時代を感じさせる雰囲気があり、8世紀後半の中国を舞台にした映画作品の「刺客聶隱娘(邦題:黒衣の刺客)」のロケ地の一つにもなった。だから古風な衣装を身に付けたという。

自分自身が出演した最大の原因は、予算不足で俳優に演じてもらうゆとりがなく、さらに役人である自分が演じた方が注目されるかもしれないとも考えたという。解局長はこれまでにも、随州の宣伝のために動画を投稿したことがある。しかし、「歴史ドラマ仕立て」にした今回の動画は、過去最多の200万以上のアクセスを獲得した。多くの人にからかわれたことについて解局長は「心がちょっと傷つきましたが、この反響を見ていると、慰めにもなります」と言って笑った。

寄せられたコメントにしっかりと目を通しているのは、若いネットユーザー、あるいは一般消費者が何に関心を持つかを熟知せねばならないと考えているからだ。寄せられたコメントに改めてコメントを返して反応を見ることもある。つまり解局長にとって動画投稿と反応の観察は、市場調査の一環でもある。

解局長が、文化・観光局長に就任したのは今年になってからだ。それまでは湖北省の外に出たことが少なかったが、局長就任以来は各地での活動に参加することが増えた。その結果、随州の知名度が低いことを痛感した。

例えば、1978年に発掘されて「奇跡の古代楽器」と言われるようになった編鐘のことはよく知られているが、出土した曾侯乙墓が随州市内にあることは知られていない。中国古代の伝説上の帝王の神農については、人々に農耕を教え、数多くの薬草や毒草を自ら試したなどという逸話は知られているが、故郷が随州だったとされることは知られていない。

解局長はだからこそ、随州のことを知ってもらうために最善を尽くすことを決意した。最初に悪く言うコメントを見た時にはとても気分が悪くてつらかったが、その後は多くのユーザーが支持してくれるようになった。さらに悪評についても、「自分自身の本質が否定されたのではない。ただし実際にうまくやれなかった部分があった」と考えるようになり、さらに努力を続けていかねばならないと思えるようになった。

解局長は20年以上も行政の末端組織で働いた経験がある。つまり「たたき上げ」の人物だ。座右の銘の一つは、日本人企業家の稲盛和夫氏の言葉である「成功のためには好きな仕事をする、つまり目の前にある仕事を好きになる」だ。そして自分の仕事を好きになるには、仕事に打ち込まねばならない。そして、かつての仕事と地位が上がった今の仕事で、本質に違いはないと考えている。変わったのは方法だけだ。

解局長は、山西晩報を通じて「随州に来られないのは残念なことです。随州にくればびっくりします」と読者に呼び掛けた。

山西晩報の記事は、大手検索/ポータルサイトの百度にも転載された。すると「(宣伝)効果はとてもよい。皆が随州を記憶するようになった」などの解局長を支持する声や「昔の人だって皆がイケメンだったわけじゃない。でもみんな、こんな格好をしていた」と、解局長が投稿した動画はむしろ自然と擁護するコメントが集まり始めた。(翻訳・編集/如月隼人


※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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