拡大
健康ブームが続く中国で「セレブ塩」が流行している。「体に良い」とのふれこみで、価格は通常の塩より数十倍から100倍以上だが、専門家は効能を疑問視している。写真はヒマラヤ塩。
健康ブームが続く中国で「セレブ塩」が流行している、と中国紙が伝えた。「体に良い」との触れ込みで、「網紅(ネットスター)」と呼ばれるインフルエンサーたちのオススメ商品でもある。通常の塩より数十倍から100倍以上の値段が付いているが、専門家は効能を疑問視している。
AFP通信が紹介した東方新報の記事によると、最も人気なセレブ塩が「ヒマラヤ塩」だ。「ヒマラヤ山脈がまだ海の底にあった数億年前に形成された純粋な塩で、無添加かつ無公害、多くのミネラルを含んでいる」とPRされている。
通常の食塩価格は400グラムで3元(約60円)程度だが、ヒマラヤ塩は160グラム139元。グラム当たり100倍以上の値段になる。このほかにフランス産グレーソルトは454グラム108元、ハワイの黒塩は425グラム169元。ペルシャの青塩、日本のユズ塩というものも売られている
北京栄養士協会副理事長兼事務局長の劉蘭さんは「どんな塩であろうと、成分は同じ塩化ナトリウム。『この塩には、人体に必要なミネラルが豊富に含まれている』と宣伝することは、『この塩には、不純物が多く含まれています』と言っているのと同じです」と話す。「中国居住者の食事ガイドライン」は、成人が毎日摂取する食塩を5グラムにすることを推奨している。仮にミネラルが体に良いとしても、数グラムの塩を摂取する程度で人体に良い影響が出るとは考えにくく、むしろ逆効果の恐れがある。
統計によると、現在の中国人の平均食塩摂取量は1日10グラムを超えている。劉蘭さんは「1日の塩分摂取を1グラム減らせば、血圧が1mmHG(水銀柱ミリメートル)下がると言われています。現代人はただでさえ摂取量が多いのに、体に良いと考えてセレブ塩とやらをたくさん使えば健康にマイナスとなるだけです」と警告する。
中国では市民の所得水準が向上する一方、食生活の乱れや運動不足、ストレスの過多から健康維持の意識も高まっている。ランニングやフィットネスを趣味とする人が急増する一方、健康ブームにあやかった怪しげな商品も目立つようになった。最近は「疲労回復に効く高濃度酸素水」「赤ちゃん専用ピュアウオーター」などとうたったミネラルウオーターが多く登場し、専門家から「科学的根拠がない」と指摘されている。
こうした商品に手を出すことは「智商税(IQ税=無知の代価、勉強代)を払う」とやゆされている。また、こうしたいかがわしいビジネスは「ニラ刈り商法」と呼ばれる。ニラは刈ってもすぐ生えてくる。商品を買った人が「無駄だった」と思って再購入しなくとも、すぐ次の客が現れる、という意味だ。「セレブ塩」ブームも典型的な「ニラ刈り商法」と言え、健康を追い求める市民がIQ税を払う構造となっているようだ。(編集/日向)
Record China
2022/10/13
Record China
2022/10/13
Record Korea
2022/10/13
華流
2022/10/13
Record China
2022/10/13
Record China
2022/10/13
ピックアップ
この記事のコメントを見る