台湾企業の中国撤退が加速、「記録的なレベル」―独メディア

Record China    2022年10月14日(金) 8時0分

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米シンクタンクの調査で台湾企業の25%が中国から一部の業務を撤退したことが分かった。

米シンクタンクの調査で台湾企業の25%が中国から一部の業務を撤退したことが分かった。独メディアのドイチェ・ヴェレ中国語版は13日付の記事で「台湾企業は記録的なレベルで中国から移転している」と伝えた。

米戦略国際研究センター(CSIS)が台湾企業の幹部525人を対象に今年7月25日~8月1日に行った調査で、全体の60%以上が中国で継続的に運営する業務があると答える一方、25.7%が「一部の生産または調達業務を中国国外に移転した」とし、33.2%が「(移転を)実行していないが検討している」と回答した。

また、13%が「生産または調達業務を台湾から別の場所に移した」と回答し、20.8%が「(台湾からの移転を)検討している」と答えた。報告書は、こうした現象の背景に地政学的リスクが存在すると指摘している。

■米中対立、軍事衝突のリスク

調査では、「台湾は大陸(中国)への経済的依存を減らす必要がある」との主張について「大いに同意する」「やや同意する」との回答が合わせて76.3%に上った。「台湾は大陸(中国)とのハイテク分野の貿易や投資に対する規制を強化すべき」との主張については、「大いに同意する」「やや同意する」が合わせて67%となった。

米中関係について「今後5年間で何かしらの軍事衝突が起こる」という主張には「大いに同意する」「やや同意する」との回答が合わせて38.7%だったのに対し、「あまり同意しない」「全く同意しない」は合わせて50.5%と半数を超えた。「良好な米中関係は自分の企業の利益に合致する」については、「大いに同意する」「やや同意する」が合わせて76%に達した。

CSISの報告書は、「台湾企業は中国経済への過度な依存と軍事衝突の可能性に高い関心を寄せている」としながらも、「台湾海峡の両側の経済は相互依存性が高い。『生産または調達業務を中国国外に移転した』との回答も『一部を移転した』というだけですべてには至っていない」と指摘した。

台湾・電子時報の烏凌翔(ウー・リンシアン)編集長は、台湾企業の中国撤退について「チャイナ・プラスワン」を反映したものでリスク回避策の一つとする一方、今回のCSISの調査対象やサンプル数を考慮すると「必ずしも台湾企業の全容を反映しているとは限らない」との考えも示した。

一方、台湾・中央研究院社会学研究所の林宗弘(リン・ゾンホン)研究員は、「同報告書の結果は現状にかなり合致している上、台湾企業の中国撤退の実態は報告書よりもより鮮明である可能性があり、将来的にさらに加速する」との見方を示した。林氏は、台湾の対外投資に占める中国の割合は2010年の83.3%がピークで、2021年には31.8%にまで減少したと説明し、「過去10年間で投資の5割前後が中国から移動していることを示しており、これはCSISの調査よりも顕著だ」と指摘した。

また、今回の調査はペロシ米下院議長の訪台以前に行われたもので、米中対立が過熱し続ける中、台湾の中国からの撤退意欲はさらに高まっている可能性があるとしたほか、米政府による相次ぐ半導体規制も撤退を後押しする要因になると述べた。

■半導体産業が台湾を守る?

CSISの調査では、「台湾はトップレベルの半導体製造能力を有しているため、中国政府が台湾に対して軍事行動を起こす可能性は低い」との考えに50.5%が「大いに同意する」「やや同意する」と回答、「あまり同意しない」「全く同意しない」は42.6%だった。また、「台湾はトップレベルの半導体製造能力を有しているため、中国が攻撃しても米国やその他の国が派兵して台湾を防衛する」については「大いに同意する」「やや同意する」が54.8%に上った。

台湾経済部の王美花(ワン・メイホア)部長は12日、米ワシントンで行った講演で「台湾は世界の半導体製造において重要な地位を占めている」とし、「台湾が安全であるからこそ、世界のサプライチェーンが安全なのだ」と表明した。また、台湾の半導体大手TSMC創業者の張忠謀(モリス・チャン)氏も米メディアのインタビューで「わが社が多くのチップを世界に供給していることで、誰かが自生して武力行動を起こさないかもしれない。その人物の第一目標が経済福祉であれば、彼らは台湾攻撃を避けるだろう」と述べた。

一方で、烏氏はこれに慎重な見方を示し、「軍事行動を起こすかどうかを含め、国の方針は為政者によって決定されるが、その思考論理や視点、考える利益は、台湾企業のそれと大きく異なる」と指摘。他国が半導体を理由に台湾を防衛するという点についても、「米国が戦争の代価を払うことを嫌っているのは明らか。TSMCに米国工場設立を促し、先進技術を要求しているとも伝えられている」と述べた。

烏氏は米中の科学技術を軸とした新冷戦は数十年にわたって続いていくとの見方を示し、「政治的リスクを回避するにはTSMCが日米に投資したように、サプライチェーンの分散を図るしかない」とした。(翻訳・編集/北田

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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