和服姿の女性を連行した警察が態度を軟化、自宅を訪れ「気遣い」を示す

Record China    2022年8月20日(土) 20時0分

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中国・江蘇省蘇州市の淮海街で、警察が和服を着用していた女性を連行して服を没収した件で、警察が態度をやや軟化させた。写真は江蘇省蘇州市の淮海街。

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中国・江蘇省蘇州市の淮海街で10日に、警察が和服を着用していた女性を連行して服を没収した件で、中国メディアの環球時報によれば警察側は19日になり女性宅を訪れ没収した和服や履物を返却したことが分かった。女性側で対応したのは家族で、警察側は女性に対しての「気遣い」を表明したという。

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米国に本拠を置く華字メディアの中国数字時代(チャイナ・デジタル・タイムズ)は、警察に連行された女性(Yさん)の話として、一連の状況を伝えた。Yさんはコスプレファンで、日本の漫画の「サマータイムレンダ」の登場人物が着ていた衣服を再現。当日午後には女子高生姿で、日が暮れてからは和服姿になって、作品の世界を再現する写真を撮影しようと考えた。

一行はYさんの女性の友達とカメラマンの3人だった。Yさんはタコ焼きを買うために料金を払って、店の前で出来上がりを待っていた。他の2人は別の店で買い物をするなどしていた。すると数人の「補警」が現れた。「補警」の正式名称は「警務補助人員」で、正規の警察官ではないが、警察官に準じる立場で公務を執行する。「補警」と分かったのは制服にこの文字が表示されていたからだ。

「補警」らはYさんに「あなたは和服を着ている。民族の憎しみを煽っていると思う」などと言ったという。Yさんらは警察署への同行を求められた。戻って来たカメラマンはすぐに、同行に応じると言った。警察署に着くと、それぞれ別の部屋に入れられた。時間は午後8時半ごろだった。Yさんの女友達は現場にいなかったので、警察署に連れてこられなかった。

Yさんを取り調べたのは、街頭で同行を求めた「補警」で、「あなたが何を考えているのか分からない。なぜ和服を着るのか」と言った。「補警」はYさんの携帯電話を調べた。アプリを多く搭載しているので、かなり苦労していたという。「補警」は和服姿のYさんの写真を削除したが、一部は残っていた。

警察側はYさんらを連行した根拠を言わなかった。「私の意味が分かるだろ?」といった表現を使った。警察側はYさんとカメラマンについての調書を作成し、二人に対して始末書を書くことを要求した。Yさんによると、理にかなっているかどうかは分からなかったが、とても疲れていたので言われるとおりに書いた。「和服で街に出るのは危険な行為と分かりました」などと書いたという。

Yさんは警察に、和服を脱いで普通の服に着替えるように求められた。そこで警察には来ていなかった友人に電話をかけて服を持ってきてもらった。和服は取り上げられた。「犯罪の証拠」と言われたという。Yさんは「犯罪は犯していない」と言ったが、認められなかった。釈放される際に調書と始末書にサインと指紋の押印を求められた。ただし調書の内容は見せてもらえなかった。警察を出たのは翌日の午前1時ごろだった。

カメラマンは、「補警」に連行される際の直前のやり取りを動画録画していた。Yさんはカメラマンの勧めに従って、SNSを通じて動画を公開した。大きな反響があったが、しばらくしてYさんのアカウントは閉鎖された。

Yさんは中国数字時代の取材に対して、自分は中国の伝統文化を愛し、誇りに思っていると説明した。2018年の夏に家族や友人と日本の京都や大阪を旅行した際には、屋外で中国漢族の伝統服の漢服を着用して撮影した。日本人に「きれいだねえ」と称賛されて、とても誇りに思った。Yさんは和服も漢服のどちらもとてもきれいだと思っている。ただし、和服を着ていて警察に連行されたり、SNSでは誤解による批判も多く寄せられて心が傷つけられてしまったので、今後は中国で和服を着ることはないだろうという。

同件についてはさまざまな意見が発表された。環球時報の元編集長の胡錫進(フー・シージン)氏は、「われわれの社会は和服の着用を禁止すべきではないし、そのような規則も実際にない。しかし、和服を着るときには周囲の状況に気を配り、不快感を与えないようにすること。また、不必要な議論の中心になることをできるだけ避けるように勧める。多くの人の感情を尊重することは、間違いではない」と主張した。

環球時報は19日夜になり、同日午後5時に、警察側がYさんの家を訪れたと報じた。対応したのはYさんの家族で、双方はしばらく話し合った。警察はYさんから没収した和服や履物を返却し、家族に対してYさんのことを気遣っていると表明した。しかし環球時報は、警察側が使った具体的な言葉は紹介しなかった。(翻訳・編集/如月隼人





※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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