外国の著名人が中国語でツイートしはじめたのはなぜ?―専門家が状況を解説

中国新聞社    2022年8月14日(日) 23時50分

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国際的に中国語や中国文化への関心が高まっているという。現状はどうなのだろうか。写真は、楽しみながら中国語の勉強をする外国人。

中国語人口は世界で2番目に多いとされる。しかしかつての中国語はほぼ、中国に住む中国人と国外の中国系住民、すなわち華人や華僑と呼ばれる人々の言語だった。しかし現在、中国語を母語としない人が中国語を学んだり、中国語を使うことが増えている。学習した中国語のレベルは別にして、中国語を披露する外国人有名人も多い。電気自動車を製造するテスラの最高経営責任者であるイーロン・マスク氏も2021年11月に三国志演義などで有名な「七歩の詩」をツイッターで披露した。中国の首都師範大学言語ガバナンス研究センターの主任である王春輝教授はこのほど、中国メディアの中国新聞社の取材に応じて、中国語の国際的な普及にまつわる状況を説明した。以下は王教授の言葉に若干の説明内容を追加するなどで再構成したものだ。

■国際的な言語の普及は、その国の実力のバロメーター

その国の言葉が国際社会でどの程度重視されているか。それは、その国の実力のバロメーターだ。全世界で中国語が注目されるようになった理由は間違いなく、国際社会において中国の影響力が強まったことだ。中国国外での中国語を巡る状況としては、いわゆる上流階級に属する人物の子女が学ぶ例が目立つ。フェイスブック創業者のマーク・ザッカーバーグ、アマゾン創業者のジェフ・ベゾス、投資家のジム・ロジャーズの子女はいずれも中国語を学んでいる。米国トランプ前大統領の孫娘も中国語を勉強している。英国、スペイン、ベルギー、オランダの王室の子女も中国語を学んでいる。

中国語だけでない。中国文化も世界に受け入れられるようになった。例えば、今では多くの国の首脳が春節(旧正月)など中国の伝統的祝日に慶賀の意を示す。中国語を交えてあいさつすることも珍しくなくなった。

人類は長い歴史を通じて、常に移動し交流してきた。そのため、自分の母語とは異なる言語を学ぶ人は常に存在した。世界における言語の伝播についてはまず、主に陸路を経由した時期があった。中国語は陸路を通じて東南アジアや中央アジア、朝鮮半島に広まった。

いわゆる大航海時代になると、スペイン語、ポルトガル語、フランス語、英語などが世界に広まった。これは言語伝播における「海の道」だ。欧州の国がアジアやアフリカの多くの国を植民地としたので、宗主国の言葉がその植民地に伝わった現象だ。特に英語は、第二次世界大戦以降に米国が世界一の超大国になった関係もあり、人類史上初めての「グローバル言語」と言える地位を獲得した。

一方で、フランス語、ロシア語、アラビア語、スワヒリ語、スペイン語、中国語などは一国の範囲を超えた地域共通語として使われている。それ以外の言語はほぼ、ある特定の国の中でだけ使われる。つまり現代世界の言語構造は「一超多強、多元的並存(英語が超越した言語だが、その他にも広く浸透した言語がある。それ以外の言語も共存している)」といった状況だ。

■中国語の国際教育には不備も多いが、国として「立派なこと」すれば結果はついてくる

中国は世界の大国だ。しかし中国語の国際進出は中国の実力に見合っているとは言えない。このことは、明代と清代に閉鎖的な政策を採用していたことも関係している。中国が西洋諸国などに比べてもはるかに繁栄しており、陶磁器や絹製品など中国独特の輸出品も多かった明代から清代中期に国外との交流にもっと力を入れていたら、中国語は国際語の地位を獲得していたかもしれない。

中国が外の世界に向けての中国語の伝播に力を入れるようになったのは、中華人民共和国が成立した後だ。西洋諸国は数百年にわたり、自らの言語や文化を外の世界に広め続けてきた。中国語の国際社会への伝播はまだ初歩的な模索段階であり、政治や経済、文化、科学技術、外交などの要素と結合する体系はまだ形成されていない。

中国国外における中国語教育では、中国語教育の基礎研究が薄弱だ。中国語を母語としない者に対する中国語教育の理論はまだ確立されていない。インフラとしてのオンライン中国語資源は分散しているか、あるいは欠乏した状態だ。

国際中国語教育を支える長期的な体制や仕組みを早急に整備する必要がある。中国政府は中国語の国際教育を重視している。しかし、ある言語が広まるためには、政策としての動き以外に学界や市場、社会という要素の結合が必要だ。中国語については、政府によるテコ入れ以外の3要素の掘り起こしが遅れている。

中国は、例えば新型コロナウイルス感染症対策や貧困撲滅、環境対策などについての「中国の経験」を世界に示す方針だ。「何がなんでも中国式で進めるのがよい」と主張しているわけではない。各国にはそれぞれ異なる状況がある。中国としては、「中国の経験」の中に参考にできる部分があるはずと提案しているわけだ。我々はこれを「中国の知恵」あるいは「中国の方式」と称している。

中国は自らの経験を他国に押し付けはしないが、ある分野について「中国で成功事例が出現した」との認識が確立すれば、それを学ぼうとする動きは自然に発生する。この動きは、中国語が国際的に伝播していくための安定した土台を形成する。

■中国語の国際的普及を目指すが、他の言語を押しのけるのではない

過去の歴史で、広大な領域で使われるようなった言語を考えれば、アラビア語の場合には宗教が原動力となって広まった。英語やフランス語、スペイン語などは植民地支配だった。中国語は新時代にあって、平和的発展を背景にした各国の協力やウィンウィンの推進を目的として中国語の国際化を進める。

中国語は実際には、世界最大規模の言語生活共同体を構成している。母国語として使用している人口は約14億人だ。それ以外にも、6000万人以上の海外華人が中国語を使っている。中国語を外国語として学んで使えるようになった人は1億人以上もいる。

我々は中国語を使える人口をさらに増やそうと考えている。最終目標は、中国語を英語に次ぐ世界第2の共通語にすることだ。しかし中国語の国際化は、他の言語を押しのけて進めるのではない。他の言語の生存空間を圧迫するのではなく、他の言語と仲良く付き合い、調和して共存せねばならない。そうしてこそ、世界の言語文化の多様性が守られ、発展していく。言語の面から、人類運命共同体の構築を進めるために、共に努力するのだ。(構成 / 如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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