中国のモビリティ革命、「EV+自動運転」の現在地=DiDi、ファーウェイの取り組み

高野悠介    2022年8月29日(月) 8時0分

拡大

EV+自動運転への取り組みはどこまで進み、自動車生産に対してどのようなスタンスを取っているのだろうか。

今回はBAT以外の注目有力企業、配車アプリ最大手・滴滴出行(DiDi)、通信機器最大手・ファーウェイの自動車事業を見ていこう。EV+自動運転への取り組みはどこまで進み、自動車生産に対してどのようなスタンスを取っているのだろうか。

■滴滴出行…自動運転プラットフォーム開発

滴滴出行は中国最大のモビリティーサービス企業で、配車サービス、シェアサイクル、貨物輸送、金融サービスに加え、自動運転の研究開発を手がけている。

滴滴はメーカー以上に自動車産業と密接だと指摘しているメディアもある。数多くの自動車メーカー、AI企業、部品サプライヤーと提携し、いずれも重要なパートナーだ。滴滴は否定しているが、「造車の途(自動車製造への進出)」は公然の秘密とされていた。

滴滴はすでに、いくつかの共同計画を推進していた。2018年に「理想汽車」と提携し、純電動ミニバンを開発したが、量産には至らなかった。2020年には「比亜迪BYD)」と提携し、配車プラットフォームの乗客とドライバーにカスタマイズした電気自動車「D1」を発表した。

D1

現在は2つのニューモデルを開発中だ。乗用車と商用車で、前者は2023年下半期、後者は2024年に投入予定とされる。乗用車は20万元(約400万円)以下のセダンで、一定の市場を開拓するとみられる。それはここ1~2年で開発されたEVセダンは、20万元以上の車ばかりだからだ。生産は日産との合弁を持つ「東風汽車」で準備している。今後はここでOEM生産を行うか、または「国機智駿」という中小メーカーを買収するか、の選択になるとみられる。

現段階の製造計画に関わる従業員は2000人前後だが、ここへきて自動車製造「ダ・ビンチ計画」が浮上し、もう一段の本気モードに入ってきた。

自動運転開発に関しては2016年に担当部門を設立、2019年には独立会社とした。2020年6月、上海で有人テストを公開した。2021年4月には、世界初の5時間連続の自動運転ビデオを公開。北京、上海、カリフォルニア州などで自動運転試験ライセンスを取得した。また、同月にはボルボと、翌5月には広州汽車のEV子会社と業務提携した。滴滴のアドバンテージは、モビリティプラットフォーム運営の実績、膨大な交通ビッグデータに基づく、環境感知、行為予測、高精度地図などの技術を生かした新しいプラットフォームだ。

滴滴の創業者兼CEOの程維氏は、この自動運転プラットフォームを装備した車は2025年に100万台を超えるだろうと自信を見せている。


■ファーウェイ…3つのモデル

これに対し、ファーウェイの取り組みはより具体化している。すでに3つのモデルで、多くの車種へ、EVと自動運転技術の供給を行っている。

1.Huawayサプライヤーモデル…ソフトとハードの要素いずれかを以下の車種に供給している。

第一汽車…奔騰E05、紅旗EHS6

長城汽車…沙龍・機甲龍

吉利汽車…吉利・博越Pro、星瑞、領克05、ボルボXC90

上海汽車…通用五菱・新宝駿KiWi、飛凡R7、大通EUNIQ5、EUNIQ6

奇瑞汽車…捷途・大聖

ベンツ…ベンツSクラス

BMW…BMW7系

比亜迪…宋PLUS EV、星際/星空

フォルクスワーゲン…保時捷・帕垃梅垃、アウディQ7

合衆汽車…哪吨S

東風汽車…乗龍T7 M3

2.Huaway インサイドモデル…ファーウェイと自動車メーカーの資源を“整合”し、共同開発したモデル。提携先と車種は次の通り。

北京汽車…「極狐・阿爾法S」5月発売、セダン37万7900元~

長安汽車…「阿維塔・阿維塔11」8月発売、SUV35万元~

広東汽車…「埃安・AH8」2023年発売予定

3.Huaway スマートモデル…開発コンセプト、内外装設計からマーケティングまで、ファーウェイが全面的に関与する。

小康股份…賽力斯SF5、21年4月発売、セダン、23万6800元~

小康股份…AITO問界M5、2月発売、セダン、25万9800元~

小康股份…AITO問界M7、7月発売、SUV、31万9800元~

M5は発売以来87日で累計売り上げ1万台を突破し、7月末には2万6348台に達した。M7は予約受け付け3日で6万台を突破した。

1から3へ、関与はより深まる。ソフトでは包括エコシステムHiCar、オペレーティングシステム・ハーモニーOS、ハードでは駆動システム、充電システムに加え、得意の情報システムがある。3つの96ラインのLIDAR、6つのミリ波レーダー、12の超音波レーダーなどがあり、中でもLIDAR(レーザー画像検出と距離測定)は高い技術アドバンテージを持つ。

AITO問界M5

■トップを走るファーウェイ

進捗度はファーウェイが滴滴を引き離しているように見える。自動車メーカーとの協業例が比較にならない。さらに滴滴自動運転プラットフォームの優位性は、はっきりわからない。滴滴の強みは、その全身がモビリティ企業であること、膨大な交通ビッグデータを持つことだが、そうした蓄積資産でファーウェイに追い付けるだろうか。

一方ファーウェイは、2018年の“造車”せず、サプライヤーに徹する、との宣言を変えていない。しかしメディアは、宣言の有効期間がまもなく終了し、「華為汽車(Huawei Auto)」が誕生するとみている。

ファーウェイは最先端にいるように見える。さらに滴滴の土俵、配車アプリにも進出した。「Petal出行」といい、北京、深セン、南京で展開する。滴滴の事業に大きな関心を持っているのだ。今後、両者の新たな競争の構造が見えてきそうだ。

Petal出行

■筆者プロフィール:高野悠介

1956年生まれ、早稲田大学教育学部卒。ユニー株(現パンパシフィック)青島事務所長、上海事務所長を歴任、中国貿易の経験は四半世紀以上。現在は中国人妻と愛知県駐在。最先端のOMO、共同購入、ライブEコマースなど、中国最新のB2Cビジネスと中国人家族について、ディ-プな情報を提供。著書:2001年「繊維王国上海」東京図書出版会、2004年「新・繊維王国青島」東京図書出版会、2007年「中国の人々の中で」新風舎、2014年「中国の一族の中で」Amazon Kindle。

※本コラムは筆者の個人的見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携