中国が猛烈な外交攻勢!米・韓・露・印・欧州と首脳交流=世界最大消費市場売り物に―その戦略の狙いとは?

配信日時:2014年6月19日(木) 9時28分
中国が猛烈な外交攻勢!米・韓・露・印・欧州と首脳交流=世界最大消費市場売り物に―その戦略の狙いとは?
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中国の外交攻勢が目立っている。7月に北京で開催される米中戦略対話に両国の閣僚多数が集結。習近平国家主席は7月初旬にも韓国を訪問し、朴槿恵大統領と会談するのに続いて、ブラジルでのBRICS首脳会議に出席、インド新首相、露大統領らとも会談する。資料写真。
中国の外交攻勢が目立っている。7月に北京で開催される米中戦略対話に両国の閣僚多数が集結。経済交流の一層の促進や軍事安全保障、環境問題などが話し合われる。習近平国家主席が7月初旬にも韓国を訪問し、朴槿恵大統領と会談するのに続いて、ブラジルでのBRICS首脳会議に出席、プーチン露大統領やモディ・インド新首相らと会談する。

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米中の戦略対話には両国の閣僚多数が、政治や安全保障、経済、金融など幅広い領域にわたる両国関係の諸課題を協議する。米国にとって最大の課題は巨額の米政府債務と経常赤字の削減。経済の破綻を避けるためには軍事費の削減と、世界最大の中国消費市場のさらなる取り込みが不可欠という。米国から大手企業数十社幹部が同行する予定で中国側と企業間協力について話し合う。

◆米国とがっちり握手

表面上対立しているかに見える米中だが、実際はがっちりと手を握り合っているのが実情。米政府関係者は「米中は利害を共有しており、実際は米中関係に根本的な変化は起きておらず、米国、中国の基本的な姿勢は不変」との見方を示した。11月に北京で予定されているアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議時にオバマ大統領と習近平国家主席による首脳会談が開かれ、米中関係のさらなる進展へ協議することになるという。

6月26日から8月1日にかけ米ハワイ諸島沖で行われる米海軍主催の環太平洋合同演習(リムパック)に中国を初めて招待、同国は駆逐艦や病院船など4隻を派遣することになっている。ハワイでは海軍だけでなく、陸軍同士も非常時支援訓練などで米中が協力、空軍同士の交流もスタートしている。米国は中国版NSC(国家安全委員会)である党中央国家安全委員会が今年初めに発足したことを、「カウンターパートが出現した形で、迅速かつ臨機応変に協議できるようになった」として歓迎している。

◆初の韓国訪問、対インド外交も積極化

習主席の韓国訪問は就任後初めて。中韓自由貿易協定(FTA)の推進など経済交流の強化策で合意するほか、北朝鮮情勢についても協議する見通しだ。中韓は歴史問題を巡って連携を深めており、対日関係でさらなる協調姿勢を確認するものとみられる。

中国の王毅外相は6月上旬、インドを訪問し、ニューデリー市内でモディ新首相と会談。モディ首相は今年後半の習近平国家主席の訪印を求める一方、訪中の招待を受け入れた。モディ氏は中国との貿易や投資の拡大に意欲を示したという。経済の再生を最優先に掲げるモディ氏にとって中国の経済力は大きな魅力。中国企業専用の工業団地「中国ビジネスパーク」の設置や進出企業向けの優遇税制を検討している。
 
中国は欧州諸国との経済協力も強化する。李克強中国首相は6月中旬に訪英し、キャメロン英首相と会談、中国向けのエネルギー供給の拡大や、ロンドンとイングランド北部を結ぶ高速鉄道への中国企業の参加、人民元決済推進などで合意した。今回、李首相には200人を超える国有企業や大手民間企業の幹部も同行。キャメロン首相は、英国と中国の間で結ぶ契約が総額140億ポンド(約2.4兆円)に達することを明らかにした。習近平主席は今年3月、独、仏、オランダ、ベルギー4カ国を歴訪、各国で首脳外交を展開し経済交流促進で合意している。

◆アフリカ・中南米で存在感増す

南米ボリビアのサンタクルスで6月中旬、途上国や中国で構成するサミット「G77プラス中国」が開催され、133カ国の代表者が集まった。サミットの創立50周年を祝うとともに、世界の課題に対する新たな構想について協議した。アフリカや中南米ラテンアメリカへの投融資で中国の存在感は突出している。中国が音頭をとって約20カ国が出資する「アジアインフラ投資銀行」も今秋、旗揚げする。日本が総裁を歴代つとめてきたアジア開発銀行(ADB)に対抗する形だ。

さらに、中国の楊潔チ国務委員(外交担当、副首相級)が6月中旬、南シナ海で対立しているベトナムを訪問し、最高指導者のチョン・ベトナム共産党書記長やズン首相とも会談し、対立が続く南シナ海問題の打開策を協議した。ベトナム側は問題解決に向け、グエン・フー・チョン共産党書記長と中国の習近平国家主席との電話会談や、書記長の特使訪中などの可能性を探っているという。

日本は中国の「したたか外交戦略」を念頭に置き、冷静に分析した上でより効果的な防衛外交政策を推進すべきであろう。(八牧浩行



■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役、編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。現在Record China相談役・主筆。著著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」など。 ジャーナリストとして、取材・執筆・講演等も行っている。
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