ファーウェイがハーモニーOS3.0発表、IoTの進化による「全く新たな体験」強調

Record China    2022年7月28日(木) 12時20分

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ファーウェイは27日、オンライン方式で同社開発のOSであるハーモニーOS3.0のリリースを宣言した。写真は余承東CEO。

ファーウェイ(華為技術)は27日、オンライン方式で同社開発のOSである鴻蒙3.0(ハーモニーOS3.0)のリリースを宣言した。

■IoTをさらに進化させ深化させるためのOS

ハーモニーOSは2019年の「1.0」の発表時から、IoT(モノのインターネット)を特に念頭に置いたOS(基本ソフト)と紹介されてきた。「3.0」についても同路線が踏襲される格好で、機能面が強化され適用範囲が拡大された。

映像に登場した同社の端末ビジネスグループの余承東CEOはハーモニーOSについて、開発史上最も急ピッチでバージョンアップが繰り返されてきたOSと紹介。そのため、やや古いスマートフォンなども機能が向上するなどの成果がもたらされたと説明した。続いて登場した端末生産ラインの何剛総裁は、デジタル技術によってすべてが結び付けられつつある現状にあって、ハーモニーOS3.0はさらに多くの機器を結び付けることができる未来への一歩を踏み出すOSと説明した。

またハーモニーOS3.0には、スマートオフィス、スマートホーム、娯楽、外出などあらゆる分野においてユーザーに「全く新たな体験をもたらす」ことを強く意図したという。

スマートフォンで入力してタブレットやPCに表示させることも自由にできるし、技術的には難しかった時間面の微小な遅延現象も大幅に改善した。また、ハーモニーOS3.0を利用すればアプリなしで操作できるシーンも増えた。例えば印刷を行う際には、印刷したい書類や写真のアイコンを印刷機を示すアイコンにドラッグするだけで印刷することができる。

■色合いなど視覚効果にも大きなこだわり

ハーモニーOS2.0でも同様の操作で印刷できたが、対応していたのはモノクロのプリンターだった。ハーモニーOS3.0に対応するPixLab V1は、インクジェット式のカラープリンターだ。色合いは従来のカラープリンターより向上させた。また、紙質も紙の大きさについても対応の幅が広く、写真や書類、さらに工作用の段ボール紙への印刷も可能だ。

PixLab V1

また、教育分野への応用として、解答を記入して採点もされたテストの用紙をスキャニングすれば、解答前の問題や解答欄の部分だけを印刷できる。つまり繰り返し同じテストにチャレンジすることで学習効果を高められる。またプリンターについては、印刷ヘッドの自動洗浄や電源を切っている際の自動保湿機能などで、不具合の出現をできる限り抑えたという。

なお、今回のハーモニー3.0関連の発表では、プリントだけではく関連機器すべての表示について色合いを含め視覚効果が高品質であることも強調された。ハーモニー3.0で結ばれたスマートフォンやタブレット、パソコンは同じ操作画面などを表示する場合があるが、どの機種も同じ色合いであることが紹介された。86インチ大型スマートスクリーンのS86Pro については「映画館並みの高精細度」と強調した。

S86Pro

スクリーンで動画や音楽を鑑賞する際には、「小芸(シャオイー)」という音声認識機器に口頭で指示すれば最適な音質を選択できる。子どもが鳴らす音量が大きすぎて、隣の部屋でリモートワークをする親の邪魔になる場合には、親の意向を優先して「小芸」を通じて音量を適量にすることも可能だ。また、イヤフォンを使えば、複数の人が外部に音を漏らさずに同じ音楽を同時に楽しむことも簡単にできる。全ての作業を簡単かつシームレスで実現することがハーモニーOS開発の理念だ。

■健康状態を事前に察知、スポーツへの応用も着々

ファーウェイはスポーツ&ヘルスケア部門にも力を入れている。映像では同部門の張煒CEOが広東省深セン市内にあるスポーツ健康関連の研究施設を紹介。同社はスマートウオッチのHUAWEI WATCH GTシリーズなどで、心拍や血圧などの身体データを取集して、ユーザーの健康管理や病気リスクの警告に役立てる取り組みを続けている。健康維持と関係の深いスポーツ分野への応用との同時進行といった状況だ。スポーツ分野については、科学的なトレーニングを提案し、けがなどの発生リスクを低減する狙いもある。

HUAWEI WATCH GT

張CEOによると、スポーツ科学技術関連ではすでに100種類以上の運動に対応している。例えばランニングにおいては、足にセンサーを取り付けることで、走る姿勢が正しいかどうかを識別して、ランニングの成績を向上させ、かつ姿勢が悪いがゆえに体に故障が生じることを予防することができる。

また、中国全国のゴルフ場300カ所以上のバーチャル化を完了しており、特定のゴルフ場の特定のコースについて「最も効果的な攻め方」を体験することができるという。

■家電製品に「お願い」する時代から「積極的にサービスしてもらう」時代に

映像は続けて、スマートライフの現状と方向性を紹介した。ドアの施錠を解くのは顔認証だが、精度を大きく向上させてリスクを減らした。冷蔵庫の利用では、食品を入れる最も合理的な位置を指示してくれる。加熱については料理によって火加減の調整もしてくれる。スマートウオッチで健康管理をしているので、マッサージチェアは最適のやり方で凝った体をもみほぐしてくれる。

家電とはそもそも、生活シーンで「人に奉仕させる」ことを目的に開発されたものだ。しかし家電は機能が複雑化するにつれ「人が細かくお願い」をせねば働いてくれなくなった。IoTが家庭に浸透すれば、家電は昔の「よくできた執事」のように、「ご主人さま」の望みを的確察知して積極的にサービスをしてくれる存在になるという。

しかしIoTを進化させるためには膨大な量の情報処理が必要となる。情報を処理するためのソフトウエアあるいはプログラムでは、これまで無駄な部分が多かった。そのため、ハーモニーOSの作動を含め、ファーウェイはプログラムやアルゴリズムの改良により、無駄な部分を割愛する方式を開発してきたという。


■安全かつ「いかなる人も取りこぼさない」デジタル化社会を構築

情報化を進める上での、もう一つ重要な課題が安全性の確保だ。絶対に漏出させられないビジネス上の秘密もあり、個人にとっても外部に漏らしたくない情報は極めて多い。ハーモニー3.0では、安全の確認を強化し、「デリケートな情報」をAIで認識し、外部に漏らさないようにする。

子供の端末使用については特に慎重にしており、有害と思われる宣伝などについてもAIで判断して子供に接触させない。また子供が支払いを行う場合には、一定金額以上だったら親の同意が必要な方式を採用できる。

ハーモニーOSの導入などで進めているIoTの普及は、障害者の生活も改善する。視覚障害者だったら、例えば室内にいる場合には食べ物のパッケージに表示されている消費期限を探し出して読み取ってくれる。外出時には道路の障害物などを教えてくれることはもちろん、目の前に商店があればどんな品を売っているか教えてくれる。自分の目の前の光景を健常者に伝えたければ写真撮影を指示してくれる。

聴覚障害者の場合には、例えば会議をした際に、出席者それぞれの発言を聞き分けて、誰の発言か分かるように文字化してくれる。ファーウェイは「デジタル技術によっていかなる人も取りこぼされないようにする」と考えているという。

MateBook X Pro

発表会では、ワイヤレスイヤホンのFreeBuds Pro2、ノートPCのMateBook X Pro、タブレットのMatePad Proなど、ハーモニーOS3.0に対応する多くの製品が紹介された。

FreeBuds Pro2では中高音域用に世界で初めてマイクロ平面振動版ドライバーを採用、MatePad Proでは着脱可能な大型キーボードでタブレットの極限を超えたPCとして使える製品、MateBook X Proは厚さがわずか14.6ミリで重さは1.33キロなどと、いずれの製品についても極めて高度な技術が投入されたことが強調された。(取材・構成/如月隼人

FreeBuds Pro2

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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