中国のモビリティー革命、自動運転の現在地とBATの取り組み

高野悠介    2022年7月22日(金) 7時30分

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電動化、AI化、コネクテッド化、シェア化の「新四化」が自動車と交通システムに革命的な変化をもたらしている。

経済サイト「科創板日報」によれば、電動化、AI化、コネクテッド化、シェア化の「新四化」が自動車と交通システムに革命的な変化をもたらしているという。これら技術の市場浸透率(搭載率)は2025年には75%に上る。この巨大市場に対し、IT企業は参入の誘惑に耐えられない。IT企業の象徴であるBAT(百度アリババテンセント)の取り組みについて見ていこう。

■百度1…Apollo計画から集度汽車へ

百度は2017年4月、自動運転、自動車のAI化、智能交通を目指す「Apollo計画」を立ち上げた。同年11月、Apollo計画は国家4大AIプロジェクトに選定され、以後、百度は自動運転のリーダーと見なされる。Apollo計画は、オープンプラットフォームとして、環境認識、経路探索、車両制御、車載システムなどの開発テストツールをパートナーへ開放した。今では70万以上のオープンソースコード、8万人以上の開発者、210のパートナーを抱える。トヨタホンダフォルクスワーゲン、BMW、フォード、ヒュンダイ、ボッシュ、マイクロソフト、インテル、クアルコムなどの海外有力企業を含む。

その成果を基に、2021年3月に「集度汽車」を設立した。資本金20億元、出資比率は百度55%、吉利汽車45%。6月上旬、コンセプトカー「ROBO-01」をお披露目した。創業者兼CEOの李彦宏(ロビン・リー)氏は、2022年度下半期から受注を、2023年から納車を開始すると発表した。

■百度2…ロボタクシー「蘿蔔快跑」

さらに百度は、「蘿蔔快跑」という自動運転ブランドを立ち上げた。ニンジン快速という意味のロボタクシーだ。2020年の北京から始まり、上海広州深セン武漢などに展開した。2025年までに65都市へ拡大する予定だ。

深セン市のケースを見てみよう。蘿蔔快跑アプリをダウンロードすると、乗車地点とロボタクシーの位置が表示される。場所は深セン市西部の中心、南山区后海地区の50地点だ。年末には300地点にまで増やす。車種は百度と国有「第一汽車」で共同生産した「紅旗EV」だ。初の量産型ロボタクシーで、40ラインライダー1台、ミリ波レーダー2台、カメラ9台、超音波レーダー1組を搭載している。ライダーとはレーザー照射に対する散乱光を測定し、対象物を分析する注目技術だ。ロボタクシーが当たり前の光景となる日はそう遠くなさそうだ。

■テンセント…ソリューションを提供

テンセントのスタンスは、自動車製造には直接関与せず、自動車メーカーの車作りと販売サポートだ。クラウド&スマート産業事業群が構築を目指すスマートインフラの重要な一部となる。そのため「車雲(Car Cloud)一体計画」を策定、上海に開設した「智能汽車雲専区」を中心に自動運転関連のソリューションを提供する。メイン技術はクラウドコンピューティングと高精度マップだ。

それらは騰訊智能汽車雲(テンセント・スマートカー・クラウド)プラットフォームに具現化した。BMW、アウディ、フォード、マセラッティ、第一汽車、上海汽車、長城汽車など100を超えるメーカーと協力関係を構築。そのうち35社とは提携関係へ進み、すでに700万台以上へ搭載されている。高精度マップは全国35万キロの高速と都市高速をカバーし、今年の第4四半期には全国トップ100都市の主要道路を全面的にカバーする。さらに7月中旬、ベンツの中国法人と子会社・騰訊雲計算(テンセント・クラウドコンピューティング)の提携が発表された。

■アリババ…物流をメインに

アリババのスタンスは、ネット通販企業らしく、物流ソリューションが中心だ。ドローン、配送ロボット、ピッキングロボット、幹線無人トラックなどだ。2020年、アリババの研究機関・達磨院は自動運転物流車「小蛮驢」を開発した。これはラストワンマイルの宅配、フードデリバリー、生鮮配送に実験的に使用され、2022年3月末までに延べ1000万回の配送をこなした。

さらに7月上旬、アリババは杭州市に隣接する湖州市徳清県で嬴徹科技(2018年設立)と共に全国初の自動運転トラックの公道テスト免許を取得した。ここではアリババの無人運転トラック「大蛮驢」号が高速道路を含む路上試験を行う。いずれも完全無人のL4級テストが可能だ。

自動運転トラックでは、米物流大手UPS出資の「図森未来」(2015年設立)が先行した。2016年、河北省唐山市の自動運転試験区と自動化物流基地の運営で提携した。2021年4月、米ナスダックに自動運転企業として史上初めて上場した。しかし、今年になって中国事業を売却するとうわさされている。すると徳清県試験区とアリババの「大蛮驢」は自動運転トラック技術のトップランナーとなるかもしれない。

■お祭り騒ぎ

上記以外にも、中国にはたくさんの自動運転試験区がある。例えば通信3大キャリア(中国移動、中国聯通、中国電信)による5G連動自動運転試験区が全国に24カ所ある。地方政府と通信キャリアがバス、タクシー、無人物流車などさまざまな車種の自動運転試験サポートを競い合っている。

また、北京、上海、広州、深セン、重慶など40省市が無人運転の管理法や実施細則を発表し、法制度面でも先陣争いをしている。自動運転に関するニュースは小さくても必ずメディアが取り上げる。自動運転は国を挙げたお祭り騒ぎとなっているのだ。その喧噪の中で、BATはそれぞれ自らの立ち位置を確立していると言えるだろう。

■筆者プロフィール:高野悠介

1956年生まれ、早稲田大学教育学部卒。ユニー株(現パンパシフィック)青島事務所長、上海事務所長を歴任、中国貿易の経験は四半世紀以上。現在は中国人妻と愛知県駐在。最先端のOMO、共同購入、ライブEコマースなど、中国最新のB2Cビジネスと中国人家族について、ディ-プな情報を提供。著書:2001年「繊維王国上海」東京図書出版会、2004年「新・繊維王国青島」東京図書出版会、2007年「中国の人々の中で」新風舎、2014年「中国の一族の中で」Amazon Kindle。

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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