安倍元首相の死で日本は「内向き」になり台湾とは疎遠に?―中国人専門家が“大胆予想”

Record China    2022年7月11日(月) 8時30分

拡大

清華大学国際関係学科の劉江永教授は、安倍元首相の死の影響で日本の政治が国内政治をより重視するようになったり台湾と疎遠になる可能性があるとの予測を示した。

香港メディアの鳳凰網は、安倍晋三元首相が暗殺されたことを受け、清華大学国際関係学科の劉江永教授による、今後の日本の政治に対する予想を紹介した。劉教授は、日本の政治が国内政治をより重視するようになったり台湾と疎遠になる可能性があると述べた。以下は劉教授の主張の要約だ。

■安倍元首相は中国に「友好的」ではなかった

安倍元首相は最初の任期だった2016年から19年の間に、日中の指導者の相互訪問などを実現したが、友好の盛り上がりも継続期間も明らかに不足していた。

安倍元首相は靖国神社を何度も参拝し、台湾の蔡英文氏と緊密な意志疎通をし、台湾との安全保障対話を維持した。また、メディアを利用して「台湾有事は日本の有事」と言いふらし、米国は台湾について「あいまい政策」を放棄して台湾防衛の意志を明確に示すべきだと言った。

安倍元首相は退任した後もその言動で日本や米国の政策にエネルギーを与え、日中関係に深刻なマイナスの影響を及ぼした。日本の経済界は中国との関係発展を求めたが、安倍元首相は中国当局の罠(わな)にはまるなと言って、経済界の要求に耳を貸さなかった。

安倍元首相は中日関係をよくする役割は余り果たさなかった。表面上のことは多少やったが、政治の基本姿勢は全く変えなかった。また現政権にも一定の圧力をかけていた。

■安倍・麻生体制に終止符

日本の政治は安倍・麻生体制、つまり安倍晋三元首相と麻生太郎元首相にコントールされてきた。この二大派閥を率いる2人が、誰を自民党総裁・首相に当選させるか、さらに日本の国家戦略の行方を決定してきた。

安倍氏の次に首相になった菅氏も、安倍元首相の政策を引き継いだ。現職の岸田首相も基本的に同じだ。例えば安倍元首相は16年に「自由で開かれたインド太平洋」の考えを掲げ、米国のトランプ政権にもインド太平洋政策を策定するよう働きかけた。岸田首相は先ごろ行われた北大西洋条約機構(NATO)サミットで、インド太平洋とNATOは協力を強めるべきと主張した。つまり安倍元首相が在任中に策定した路線を引き継いだ。

中日関係も「安倍路線」の影響を受け続けている。関係がやや改善したと思えば、再びすぐに後退する。新型コロナウイルス感染症が発生しても、日本政府は中国と密接な対話や協議、協力をしなかった。

しかし安倍・麻生体制が消滅すれば、日本の現職の指導者の自主性が強まる可能性がある。岸田首相は安倍路線を継承しているが、日本社会は多くの現実的な問題を抱えている。庶民の最大の関心の対象は憲法改正でも軍拡でもなく、民生の改善だ。日本の政権はこのような状況にあって、アジアの隣国との関係を改善し、国内経済と社会問題への取り組みに重心を移すかもしれない。

■日台が疎遠になる可能性

親台湾グループは日本の政界の重要な派閥であり、安倍元首相は代表的人物の一人だった。安倍氏は首相を退任してからも、休むことなく活動しつづけた。5月には訪台して蔡英文総統と会談し、22年に他界した李登輝元総統の3回忌となる7月には、再び訪台する意向を示していた。

安倍元首相は中国大陸を牽制する目的で、台湾の独立派勢力を取り込み、米国を尖閣諸島防衛に引き入れ、しかも米国の台湾についての「あいまい政策」の転換を促した。これは危険な政治的言動だ。

安倍元首相は日本政府及び自民党と台湾の蔡英文政権を結び付ける重要なパイプだった。蔡英文氏は暗殺事件の直後に、見舞いの投稿を行った。このことからも、安倍元首相が台湾にとってどれだけ重要な存在だったかが分かる。

しかし岸田首相の派閥は日中友好を打ち出した大平正芳元首相が率いた宏池会の系譜に属する。岸田首相と台湾の間には安倍元首相のような緊密で円滑なルートはない。岸田氏は自民党内でも右派の親台湾グループに属してはいない。そのため安倍元首相を失ったことで、日台関係にも影響が出かねない。

■日本の憲法改正にも影響する可能性

安倍元首相は在任時に憲法改正を急速に進めようとした。何度も強調したが、さまざまな理由で実現はできなかった。参院選の投票直前に暗殺されたことで、選挙結果に影響が出ることは必至だ。日本の憲法改正は必ず、日中関係に影響する。

日本では戦後になっても、国会議員や党首、長崎市長を対象とする暗殺事件が発生している。いずれも右翼勢力による犯行だった。安倍元首相を銃撃した動機は今のところ不明だが、いずれにせよ暴力テロ事件だ。安倍首相の対中姿勢とは関係なく、この事件は非難すべきだ。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携