ミミズは金になる、「電気ミミズ機」の販売増で生態系破壊の懸念も―中国

Record China    2022年6月11日(土) 15時0分

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湖南省のメディア・瀟湘晨報は9日、生薬などとして使用されるミミズを、地面に電気を流すことで大量に捕獲できる「電気ミミズ機」をめぐる問題について報じた。

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湖南省のメディア・瀟湘晨報は9日、生薬などとして使用されるミミズを、地面に電気を流すことで大量に捕獲できる「電気ミミズ機」をめぐる問題について報じた。

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ミミズの干物は「地龍干」と呼ばれる漢方薬の生薬である。記事によると、近年その価格が上昇するにつれ、ネット上では「電気ミミズ機」と呼ばれる機械の販売量も増加し、ミミズを「絶滅式」に捕殺する利益の連鎖が生まれ始めているという。

「電気ミミズ機」は大型電池に似た金属製の機器で、価格は100元(約2000円)から800元(約1万6000円)までさまざま。販売数は10万点以上に達している店舗もあり、ネット上のコメント欄には畑でこの機器を使用する際の説明があふれている。

この機器は一般的に湿気が多く、粗く有機物に富んだ土の中で使用され、庭、菜園、耕作地などに最適である。販売業者によると、表示価格が800元近くのいわゆる「豪華型電気ミミズ機」は、一度に十数斤(一斤は500グラム)のミミズを簡単に取り出すことができるという。

専門家は、「ミミズは体内に多くのアミノ酸やビタミンなどを含むため、貴重な薬物として多くの病気を治療することができるとともに、釣り愛好家向けに天然の餌として販売・使用することもできる。近年ミミズの市場での価格が大幅に上昇し、電気ミミズ機の販売を直接後押ししている」と話している。

一方で、中国農業大学資源・環境学部の孫振均(スン・ジェンジュン)教授は、「大出力の電気ミミズ機が開発されて以降、ミミズの捕獲効率が向上し、ミミズの資源量をさらに低下させる悪循環が形成されている。そのため漢方薬の地龍干の価格が高騰している。数年前、1キロの乾燥品は70元(約1400円)余りだったが、今では280元(約5600円)でも商品が手に入るとは限らず、300元(約6000円)余りまで上がっているものもある」と指摘した。

専門家は、「電気ミミズ機はバッテリーの直流電流を土壌に導入することで、土壌中のミミズが『感電』の刺激を受けた後に土の中から出てきて、誰でも拾うことができる。実際にはミミズに無差別なダメージを与えただけでなく、土壌中のその他の生物にもダメージを与えており、一種の『絶滅型』の捕獲行為だ」としている。

2021年8月12日、広東省珠海市中級人民法院は、中国緑発会が提訴した「電気ミミズ機」に関する初めての事件に対する第一審判決文を発表した。電気ミミズ機を販売する3社は狩猟道具を販売し、購入者に電気ショックでミミズを捕獲させ、生態環境に不可逆的な破壊をもたらしたとして法により相応の環境侵害責任を負うというものだ。法院は業者に対し、謝罪と159万元(約3200万円)の生態環境損失の賠償を命じる判決を下した。(翻訳・編集/刀禰)

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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