産学連携に積極姿勢、年間511億円分を拠出し「五つの提案」も―ファーウェイ

Record China    2022年5月31日(火) 19時10分

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ファーウェイの徐文偉科学者諮問委員会委員長は31日、THE アジア大学サミットで基調講演を行い産学連携での「五つの提案」を発表した(写真)。同社は大学との共同研究で、昨年は511億円を投入したという。

華為技術(ファーウェイ)の取締役である徐文偉科学者諮問委員会委員長は31日、タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE) アジア大学サミットでオンライン方式による基調講演を行った。ファーウェイは産学連携を重視してきた企業だが、徐委員長は産学連携をさらに強力に進めると表明した。

■大学との共同研究のためだけでも年間511億円を投入

徐委員長は研究開発について、すぐに応用可能な技術だけでなく、基礎的な分野も重要と強調した。ファーウェイが5G分野に邁進(まいしん)できた重要な技術の一つは、数学の抽象的な理論に基づくものだったという。

産学の役割り分担については、大学は基礎分野や長期的な課題に取り組み、業界は技術的な専門性で貢献することで、両者の強みを生かし、業界が抱える技術的な課題を克服できるとの考えという。その際には、業界として直面する課題を研究者や学生などの大学関係者と共有することが一つの鍵となる。また業界側は大学に研究資金を提供することができる。

ファーウェイはこれまでに、世界各地の300以上の大学、900以上の研究機関や企業と研究してきた。大学との提携では2021年実績で、4億ドル(約511億円)以上の経費を投じたという。

■ファーウェイの大方針を示す産学連携の「五つの提案」

ファーウェイは大学の研究活動だけでなく、国際的にも水準が高いさまざまな学術関係のコンテストにも積極的にかかわっている。資金を提供するだけでなく、ファーウェイが出題をすることもしている。業界が直面する問題に直結する出題をすることで、コンテストに参加する学生に視野を広げてもらい、「今、何が問題なのか」を認識してもらえる効果があるからだ。コンテストに参画することは、優秀な人材を育成することにもつながる。

情報産業は理論と基礎技術の課題に直面している。その状況は今後も続くはずだ。ファーウェイは、大学と業界が協力して新たな技術を探り、さらに次世代技術に求められる人材を育成することが不可欠と考えているという。徐委員長は講演の最後の部分で、業界に所属する企業の立場から、ファーウェイとしての産学連携についての五つの提案を発表した。

「基礎理論と基礎技術における躍進と業界のイノベーションを支援し続ける」、「産学が連携して問題を提起し、重大な難関を突破する」、「それぞれの専門性を最適化し、プロセスをデザインすることで、業界と意識を共有し、喫緊に必要とされる人材を育成する」、「共同実験室、コンテスト、ファーウェイが公開しているウェブページの『Chaspark(チャップスパーク)』、人材育成の公益事業である『未来の種』、ポストドクター向けサービスなどを通じて、イノベーション・プラットフォームを構築する」、「大学と業界の人材の流動あるいは交流を強化して、理論から実践への移行を促進する」だ。

徐委員長は、学術上の研究成果が現実世界を大きく変えた事例を複数紹介した。それらの中には、かつての科学史上の事実もあり、自社の技術開発と事業展開に直接関係した事例もあった。産学連携の必要性と有効性を痛感しているからこそ、あらためて「五つの提案」を発表したと考えられる。

また、同社のこれまでの動きを振り返ると、重要な基本方針を定めた場合には、「ブレる」ことなく、その方針を貫く傾向が強い。ファーウェイは、産学連携をさらに強く推進し、同時に産学連携の新たなモデルを構築していく方向性をすでに確定したと理解することができる。(取材・構成/如月隼人

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