コロナ影響で「美容ニーズ」にも変化、テレワークで注目された「気になる部分」とは

Record China    2022年5月22日(日) 8時0分

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新型コロナウイルス感染症の影響は美容の世界にも及んだ。ニーズが減少した分野もあり、逆にニーズが増加した分野もある。

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新型コロナウイルス感染症のために、日本社会や日本人の生活パターンは相当に大きな変化を強いられることになった。コロナの影響は美容の世界にも及んだ。ニーズが減少した分野もあり、逆にニーズが増加した分野もある。

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■コロナ禍で美容品業界は苦戦、ただし大ヒットした商品もある

経済産業省が2022年1月5日付で発表したリポートによると、2021年の化粧品出荷数は、コロナの影響によってすでに出荷数が下落していた2020年以上に落ち込んだ。家計に占める出費の割合では、特に仕上げ用化粧品や口紅が落ち込んだという。同リポートは口紅について「マスク着用が日常生活の一部となっていることから、出費が抑えられた状態が継続」と分析した。

しかし一方でコロナ禍という状況を逆手にとって成功した商品もある。カネボウ化粧品が若者向けブランド「ケイト」から発売した「リップモンスター」は発売後半年の2021年11月の時点で120万本以上が売れ、手に入りにくい状況が長く続いた。

同商品の場合、マスクでこすれても落ちにくい特長があることと、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」によるインフルエンサーが出演する宣伝が大いに奏功したとされる。

■美容関連の見本市は大盛況、ニーズをとらえた新商品も

容易でない状況にある美容関連業界だが、沈滞ムードに落ち込んでいるのではないようだ。美容関連の代表的見本市として2022年5月16日から18日まで東京都内のビッグサイトで開催されたビューティーワールドには世界の6つの国と地域から、前年比163社増で過去最多の672社が出展した。

同イベントの出展企業の1社であるitsube(イツビ)は美容機器などを製造販売する会社で、これまでもビューティーワールドに出展し続けてきた。同社が開発した美容液とコラーゲン粉末、水を原料にスキンケア用の生ゲルパックを作るマシンの「with be-GEL MASK MACHINE」は発表してすぐに注目を集め、多くの問い合わせが続いているという。

同製品には、共同パートナーであるGEM(ジェム)が扱う、中国のハイテク・バイオ企業である南京海資泉生物科技が開発・製造するヒアルロン酸原液であるHispring(ハイスプリング)を利用する特徴がある。

GEMを設立した北原智子社長は、同社設立以前から多くの化粧品の開発や美容関連事業を手掛けてきた経験豊富な美容研究家・美容事業家だ。

北原社長によると、日本では在宅勤務人口がますます増え、テレビ会議の回数が大幅に増えた。その結果、大きく写された顔が会議の相手などに示されることも増えた。また、マスクを長期間使用することで、顔の皮膚がダメージを受ける。そのため、日本人は顔のケアをますます重視し、スキンケア製品が注目を集めているという。

■質・量ともに存在感を大いに高めた中国の化学工業

北原社長が導入したヒアルロン酸原液に使用したナノ(超微細化)小分子ヒアルロン酸は真皮層の流失ヒアルロン酸を直接に補い、コラーゲンの再生を促進することができるという。また同製品のヒアルロン酸含有量は1.98%で、経験豊富な北原社長もこれほど高濃度の製品に出会ったのは初めてという。

北原社長によると、4、5年前に化粧品開発を手掛けていたころ、中国はヒアルロン酸製造出荷量が世界で最も多く、日本の大手製薬会社や化粧品メーカーにも出荷されていることを知り、中国の技術力の高さを認識したという。北原社長は手掛ける仕事に対する思いについて「中国の科学技術の実力と本質が理解されるように、良い商品開発とビジネス展開に向けて鋭意努力致します。」と語った。

なお、中国では現在、自国産のヒアルロン酸が多くの国で使われている一方で、自国企業にはブランド力がないために付加価値の高い最終製品が国際市場では認められていないことが「ビジネス戦略における課題」と指摘されている。中国メディアの中国経済網が2021年11月11日付で発表した記事によると、2020年における世界のヒアルロン酸製造で、販売量が最も多かった華熙生物科技だけで、ヒアルロン酸の販売量は全世界の43%を占めた。第2位の焦点生物科技は全世界の販売量の約15%だ。つまり中国の上位2社だけで、ヒアルロンの販売量は全世界の6割近くに達する。

前出の経済産業省のリポートによれば、仕上げ用化粧品については家計における出費の割合が減ったが、肌の手入れに使用する基礎化粧品では出費の減少があまり見られず、横ばいまたは商品種によっては増加傾向を示しているという。

新型コロナウイルス感染症により、経済が全体として大きな打撃を受けているのは事実だが、コロナによって新たなニーズが発生した分野もある。そんな中で中国の化学工業は、高品質の最終製品を作るために欠かせない質の高い化学薬品を生産することで、その重みを増している。(取材 / 如月隼人

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