<日中100人 生の声>日本の介護予防音楽療法をネットで世界発信―本江思帆 投資顧問

和華    2022年5月18日(水) 21時20分

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我々在日科学技術者連盟等40以上の在日華人組織は共同募金し、大量の医療用マスクや防護服など緊急医療物資を日本から中国抗疫最前線の医療機関と介護施設に寄付した。写真はコロナ禍の介護施設。

2019年12月23日月曜日朝5時、国際会議での講演を終え、東京羽田国際空港に戻った。長年最低毎月2回は海外を飛びまわっていた私にとって、まさかそれから20カ月以上、国際便と全く無縁になり、さらに世界中がコロナ禍との長い闘いに入るとは、その時は思いもよらなかった。

2020年1月23日武漢がロックダウン!我々在日科学技術者連盟等40以上の在日華人組織は共同募金し、大量の医療用マスクや防護服など緊急医療物資を日本から中国抗疫最前線の医療機関と介護施設に寄付した。特筆に値するのは、勤務先の日本アジア投資株式会社の全日本人社員総動員で買い集めたマスクがいち早く、中国各地にある全基金管理会社の現地職員家族に発送されたことである。

しかし、支援物資がまだ中国に届いていないうちに、今度は新型コロナウイルスが日本で感染拡大し始め、日中介護学会理事達の個人募金を受けてアルコール消毒液を会員介護施設に緊急寄付するという重責を私が引き受け、品切れ、価格高騰の中、連日徹夜してまで必死にネット調達した結果、全施設に大容量消毒液を数缶ずつ届けることが出来たときの安堵感は今も忘れられない。

日本の感染状況が厳しくなる中、今度は2020年3月から私たち北京大学国際同窓会等が再び行動を起こし、中国から大量の緊急医療支援物資やコロナ検査キットを専用機で日本へ輸送し、厚労省や各介護・医療・研究機関に寄付した。

話を私が副会長を務める日中介護学会に戻すと、中国にいる重い認知症のピアノの先生や高齢の祖母・親の介護難の為、十数年前から、私は日中健康事業をライフワークに決め、ヘルスケア投資に注力してきた。日本の関連国家資格や欧米の音楽療法等、毎年1~2種類の資格取得や業界の勉強に取り込んできた。最低月1回、介護施設で音楽療法指導やボランティア活動に参加している。

国内外3000超の法人個人会員を持つ学会が医療法人・社会福祉法人・介護専門学校等を買収し、運営、人材育成に注力、高齢者が2年前入所時の「要介護5」から「要介護2」に大幅改善できた事、NHKも追跡報道された。、各分野での経営者・専門家が毎月2回「無料日曜ウェブセミナー」を開催してきた。日本の先進的な介護理論や現場経験を紹介、Web Castを通じ、累計数万人の聴講&交流が実現された。私も母校清華大学の要請を受け、近年の調査と論文を基に、「ヘルスケア金融信託REITs」や「日本高齢施設認知症音楽療法効果」等のテーマで、年数回ウェブ講演し、日本の「自立支援」理念を繰り返し発信してきた。

セミナーで「音楽療法」を紹介

90年代末からインターネットサービスの日本普及にいち早く携った私としては、コロナ禍でテレワークにEC、ネットが益々重要な役割を発揮するのを見るにつけ、達成感が沸いてくる。前述のウェブセミナー普及や、子供がネットで音楽の勉強をするもその一例である。

2020年4月8日、東京都に1回目の緊急事態宣言が発令された際、都内の大学に通う息子は自宅で、外出自粛生活を送り始めた。建築学科の授業も、家庭教師のバイトも、ほぼすべてがオンラインに切り替わり、コロナ禍で代表を務めるテニス部のリーグ昇進の年間目標も喪失して、相当なストレスが溜まっていたように見えた。

スポーツ一筋の彼は今までフルートを得意とする姉からの音楽への誘いを一切拒否したのに、ある日から突然、家のピアノに触り始め、ひたすら練習に没頭。都度練習成果を聴かされ、そして私との連弾もするようになった。時々色々な質問を投げかけてくる。そして最後に「次回何を弾いてほしい?」と聞いてくる。本人曰く、「建築と音楽、空間と時間を超える二つのメディア」だとか。

ネットで友人と合奏している事に驚かされ、そのクオリティに釘付けにもなる。ITを通じてより多くの人に演奏を楽しんでもらいたい、和音を分析し、自動伴奏アプリでも作ろうかと彼の夢は広がっている。

以前、『和華』第13号でも取り上げていた、東京の風物詩「東京・春・音楽祭」に彼はアルバイトとして参加、建築学生目線で美術館、コンサートホールの設計や音響効果を分析、なにより音楽家と接する濃厚な一カ月を過ごせたことも影響しているようだ。

彼が珍しく真面目に音楽に向き合い、交流を求めている行動は、私にとって最高の喜びであると同時に責任も感じる。今はネットでいくらでも聴きたい音楽を聴けるので、心に残る中国名盤、宗教曲や「Home,Sweet Home」から古くて素敵なクラシック、ジャズやロック、オペラ名曲アルバム、ジャンル毎に整理して書きおろしてリンクを貼り、ドキドキしながら次の対話機会に臨んでいる。彼のレパートリーもまた、ミュージカル、アニメ、映画音楽など多岐にわたっており、日本のシンガーソングライター米津玄師の新曲はすべて彼から教えてもらった。

それを機に、長年Bookmarkした名盤を親子で時間をかけて真剣に聴き直し、懐かしい録音に触れるたび、それを聴いていた当時の他の記憶も一緒に引き出されてくるような感覚になる。音楽から疫病、気候変化、金融経済、国際関係、失恋など、分野によって日英や中国語で思索と対話を深める日々を送った。例え20年後に今を思い出すとしたら、それらの要素が一緒に来て絡み合う気がする。

この寄稿を書いている最中、子供が東京五輪閉会式のテレビ中継をピアノで追っている。「上を向いて歩こう」を弾きながら歌う。そうそう、海外友人や高齢施設の老人達も良くこの曲を口ずさむ。生きている音楽ってそもそもそういうものではないか、という気がだんだんしてくる。

今、「音楽とは、生命とは」という新しい探検と対話が、コロナ禍で続いている。

※本記事は、『和華』第31号「日中100人 生の声」から転載したものです。また掲載内容は発刊当時のものとなります。

■筆者プロフィール:本江思帆(ほんごうしほ)


東証一部上場企業等で本部長・役員。日中介護学会副会長。アメリカ中心だった国際ネットトポロジーの歴史的改革により、関連2社90年代末米国IPO。各国で投資・上場支援成功多数;子連れ海外総代表経験。北京大学学生芸術団でのピアノ経験を生かし、小澤征爾指揮合唱団で中国曲指導と伴奏、毎年「東京・春・音楽祭」運営に参画。

※本記事はニュース提供社の記事であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。すべてのコンテンツの著作権は、ニュース提供社に帰属します。

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