海外在住の中国人の間に「ゼロコロナ政策」への批判高まる、「中国だけが特殊」と指摘

Record China    2022年5月7日(土) 19時30分

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中国の新型コロナウイルス「感染ゼロ」政策のために、帰国できない海外在住の中国人が多い。彼らの間では自国の感染症対策に批判的な声が高まっている。写真は上海浦東国際空港から隔離ホテルへ移動する専用バス。

海外在住の中国人の「帰国困難」が長期にわたり続いている。米国政府系メディアのボイス・オブ・アメリカによると、海外在住の中国人は居住国と自国の新型コロナウイルス感染症対策の違いがよく分かるだけに、批判の声が高まっているという。

海外で生活する中国人には、1年あるいは2年に1度は帰省するようにしていたが、コロナの影響で長期にわたり帰省できていない人が珍しくない。海外在住の中国人を直撃したのは、コロナの影響による中国を発着する航空便の大幅な減便と、関連して発生した航空運賃の高騰だ。例えば米国と北京を結ぶ直行便は運航中止の状態が続いており、帰国の場合には乗り換えをしつつ北京を目指さねばならないので、移動時間は50時間以上に達する。運賃は9500ドル(約124万円)以上に高騰した。

さらに、中国到着時には宿泊施設での14-21日間にわたる隔離が求められるので、日数がかかり費用も膨大だ。

海外に在住する中国人が、一定期間ごとの帰省を望む大きな理由の一つが、年老いた両親に自分の姿を見せ、両親の様子を自分の目で確認したいという心情が強いことがあるとされる。留学や仕事のために海外で在住する中国人は、いわゆる「一人っ子世代」である場合が多い。年老いた両親が体調を崩したとしても、すぐに対応してくれる兄弟姉妹はいないだけに、両親のことは気にかかる。

ボイス・オブ・アメリカによると、フランス在住のある中国人は、両親には高血圧や糖尿病などの持病が多く、母親は4月に心臓手術をした。新型コロナウイルス発生前だったら、仕事を差し置いてでも急いで帰国したはずだが、「今は帰りたくても帰れない」と説明したという。

米国ワシントン在住の中国人女性によると、上海市内に住む老親は、マンションの敷地ごとの封鎖について、当初は事態をよく理解していなかったという。当局が当初は「4日間の封鎖」と説明したので、準備した食料は1週間分だったという。そのため、4月中旬には自宅に食料がほとんどない状態になった。両親は周囲の人に助けてもらってなんとか過ごした。4月下旬には食料の配給も始まった。両親を手伝ってくれた人とは連絡を維持していたが、両親が本当に困っていた時期には「私を心配させるのを避けるため」にそのことを伝えず、状況が改善してから教えてくれたという。

中国政府は、自国の国情に合わせたコロナ対策を実施してきたことで「流行拡大を見事に抑えてきた」などとも説明してきた。しかし海外在住の中国人には、中国における「ゼロコロナ」政策に疑問を感じている人が増えている。

例えば、中国で最も開放的で洗練された都市とされる上海で、住人が鉄作で囲われて毎日自宅にいるしかなくなり、救援物資も届かず、多くの人が鍋をたたいて「食べ物がない」と訴える様子などを動画で見ると、「政府の政策が個人の思いと対立する場合、個人の思いは政府に完全に屈服させられる」と感じてしまうという。

中国国内でも、「上海の実情」を紹介する動画などをSNSのウィチャットに投稿する人がいる。SNS運営側がそのような投稿を発見すれば削除されると考えねばならないので、投稿側は監視の目が緩むと考えられる深夜や未明に投稿する場合が多い。その結果、米国在住の中国人などは時差の関係で、そのような投稿を発見することが多いという。

その結果、2020年初頭に武漢市を都市閉鎖したことについて「正常なことであり効果もあったと思う」との見方をしていたが、「科学的な感染症対策は時代に合わせねばならない。世界の他の国も少しずつウイルスと共存している」として、上海市の状況については「正直、無益だと思います」との感想を述べた上海出身の米国在住中国人もいたという。

米トーマス大学国際研究及び現代言語学部の主任を務める葉耀元教授はボイス・オブ・アメリカの取材に対して、米国在住の中国系住民は、米国など西側諸国の新型コロナウイルス対策と、中国の「ゼロ感染」政策を対比して見るようになったと指摘。「中国と中国以外の国のやり方の違いは極めて大きい。彼らは(都市封鎖や『感染ゼロ』政策などを)ますます理不尽に感じるようになっている」と説明した。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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