中国の、そして世界のグルメ文化の現状は―ミシュランガイドの国際ディレクターが解説

中国新聞社    2022年5月10日(火) 10時50分

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「ミシュランガイド」の国際ディレクターであるグウェンダル・プレネック氏が中国及び世界の「美食」の状況を語った。写真は「ミシュランガイド」の「三つ星」の評価を得た北京市内の高級料理店「京兆尹」の料理。

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コロナ禍により、世界各国の飲食業界は大きな打撃を受けた。一方で、通信技術が発達したことで、世界のどこにいても、さまざまな国の美食関連の情報をたやすく得られるようになった。「ミシュランガイド」の国際ディレクターであるグウェンダル・プレネック氏はこのほど、高級ブランデーの生産地として知られるフランス南西部のコニャックで中国メディアである中国新聞社の取材に応じて、中国の、そして世界のグルメ文化や飲食産業の状況を説明した。以下はプレネック氏の言葉に若干の説明内容を追加するなどで再構成したものだ。

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■新型コロナで飲食業界が大打撃、しかしそれを「チャンス」にした店もある

新型コロナウイルス感染症の大流行が飲食業界に及ぼした影響は深刻だった。ミシュランガイドの現地調査員は、多くのレストランが苦境にある状況を見てきた。最も顕著な問題は、感染対策によって、多くのレストランが「営業-閉鎖-営業再開-再閉鎖」の循環に陥り、経営が混乱したことだ。

しかし、それはある意味でチャンスなのかもしれない。いずれにせよ、飲食業者はいったん立ち止まって業務について改めて考え、チームとメニューの改善に着手し、顧客により良いサービスを提供する必要がある。

レストランの経営が徐々に再開された2021年の調査では、経営がより集中的で革新的で、顧客に配慮したレストランが出現していることが分かった。例えばメニューが簡素化され、重点が強調されるようになり、料理の品質を維持することができるようにしていたなどだ。世界の多くの地域では、感染症の影響にもかかわらず、多くのレストランが卓越した「食の質」を地道に追求している。

■「星」を与える基準は中国でも米国でもフランスでも同じ

1月には「ミシュランガイド北京2022」を発表した。われわれは、北京のレストランを高く評価し、「北京は美食の街としての魅力と潜在力を明らかに示している」と表明した。感染症の関係で、私は北京で行われた発表会はビデオ方式であいさつしたわけだが、北京やそれ以外のアジア地域で「ミシュランガイド」のチームは引き続き作業を行うことができる。彼らは北京で新たに開店した複数の高級レストランに強い印象を受けた。北京の飲食業は依然として、比類のない活力を持っている。そのことを反映したのが「ミシュランガイド北京2022」だ。

北京は中国の首都であり、中国各地の美食を提供する条件があることは明らかだ。各地の美食は北京の地元の飲食文化に影響を与えている。北京以外の中国の大都市でも飲食業が活況を示している。「ミシュランガイド」が中国で扱う地域は、上海広州、四川などと拡大しつつある。中国の多くの地方で、飲食業の前途は明るい。

「ミシュランガイド北京2022」では、北京市内の二つのレストランを「三つ星」と評価した。私は選定には直接関与しておらず、チームとしての集団作業の結果だ。「ミシュランガイド」は、世界の他の地域と全く同一の基準で中国国内の「三つ星レストラン」を選出している。基準の維持のためには非常に努力している。北京の「三つ星レストラン」は、ニューヨークやパリの「三つ星レストラン」と質の面で違いは全くないはずだ。

■世界における中国料理の地位は「10年前の日本料理」と同じ

ただ、中国国内で素晴らしい中国料理の店がある一方で、中国料理の海外進出は遅れているように思える。私は世界全体という視界での中国料理の発展と進歩を観察している。例えばヨーロッパの美食愛好家がまず思い浮かべる料理の種類はフランス料理、イタリア料理、さらには日本料理などだ。中国料理は今のところ、上位にランクされていない。多くの人は中国料理の豊富さと多様性について理解していない。中国料理の背景にある多くの物語も、知られていない。

私は、中華料理が世界に広がるには時間が必要と考える。ちょうど、日本料理が10年前に置かれていた状況と同じかもしれない。現在のフランスでは、日本料理が人気だ。時がたてば、フランス人の中国料理に対する印象も変わっていくだろう。

また「ミシュランガイド」は、携帯電話を通した情報提供の業務に力を入れている。そうすれば、世界のどこにいても、「ミシュランガイド」が取り上げた中国国内のレストランを探すことができる。広東料理や山東料理など、中国の地方料理の情報を探すことも問題ない。また、情報の更新もタイムリーにできる。

「ミシュランガイド」のアプリのダウンロードや、ウィーチャットなどSNSのアカウントの閲覧が増えている。中国人ユーザー数も増加中だ。われわれは、世界の多くの人が、より広い食の世界の情報を得ることに役立っているはずだ。

先ほど、10年前に日本料理はヨーロッパなどで知られていなかったと話したが、日本の飲食店について「ミシュランガイド東京2008」を初めて出版、その後は京都大阪版版なども追加してきたことは、日本料理の海外進出に貢献したはずだ。「ミシュランガイド」の中国の各地域版も、中国料理が国際市場をさらに開拓し、より多くの人に質の高い中国のレストランを知ってもらい、高度な技を持つ中国人調理師が世界の他の場所でレストランを経営する機会をより多く与え、世界における中国料理の人気を高めるために、貢献できるはずだ。(構成 / 如月隼人

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