生活とバイオリンを愛した71歳男性が自殺、ひどい腹痛診てもらえず苦痛に耐えかね―上海

Record China    2022年4月18日(月) 6時30分

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上海市内で71歳男性が飛び下り自殺をした。男性は13日夜にひどい腹痛を起こしたが、複数の病院で診察を断られ、苦痛に耐えかねて自殺した。生前は生活と趣味のバイオリン演奏に情熱を注ぐ人だったという。

上海市内で14日未明から早朝にかけて、71歳男性が飛び下り自殺をした。男性は13日夜にひどい腹痛を起こしたが、複数の病院で診察を断られ、苦痛に耐えかねて自殺した。生前は生活と趣味のバイオリン演奏に情熱を注ぐほがらかな人柄だったという。米国華字メディアの多維新聞などが伝えた。

男性の兄で上海財経大学を引退した陳順霞教授が、弟が自殺したと明らかにしたことで、男性の自殺が知られることになった。

亡くなった陳順平さんは13日夜にひどい腹痛を感じ、嘔吐もした。救急車の出動を要請したところ「順番待ち」と言われて、すぐには対応してもらえなかった。その後、市内の大病院に行ったが「収容できるのは新型コロナウイルス感染で陽性反応が出た人だけ」と言われて拒絶された。別の病院にも行ったが、閉鎖されていた。

陳さんは自宅に戻って苦痛に耐えるしかなかった。すい炎と自己判断をしたという。陳さんの妻は翌朝、「家族にさよならを言わねばならない。私は本当に、すい炎の苦痛には耐えられない!」と記した陳さんの遺書を発見した。陳さんは建物から転落して死亡していた。

陳さんの妻によると、生前の陳さんはほがらかで善良な人だった。生活に情熱を注ぎ、芸術を熱愛していた。定年退職後はアマチュア楽団に所属して、バイオリンの演奏をしていた。陳さんの妻は「夫は71歳で基礎疾患はありませんでした。13日夜には、どんな絶望感に駆られて、そういう道を選択したのでしょうか。この社会では、普通の病人が死に追いやられています」と語った。

陳さんの子は「父のように、まともに治療を受けられずに苦しんでいる人にもっと目を向け、悲劇がこれ以上に発生しないよう、社会に呼びかける」と述べた。

これまで、それ以外にも上海在住の作家の陳村さんが「ぜんそくが発作しても、診察してもらうのは難しい」とSNSに投稿をして注目を集めた。ただし陳村さんはその後、「実際に発症したわけではない」と説明し、「急病になって診察してもらえないことは怖い。生き延びられる道が開かれることを願っている」と表明した。

上海市では、新型コロナウイルス感染者が大量に発生する状況が続いている。同市浦東新区は16日夜に、区内では4日連続で新規感染者が1万人以上確認されたと説明した。区は「一部では、封鎖が1カ月以上も続いているマンションもある」と紹介した上で、「困難である時こそ耐えねばならない。いったん放棄すれば、それまでの努力と犠牲が水の泡になり、より大きな代償を支払わねばならなくなる」と表明し、住民に対して外出しないことを堅持するよう求めた。

上海市では、感染封じ込め対策のために治療が遅れて命を失う人が続出しているという。中国で著名な経済学者である郎咸平氏も、自らの母親がPCR検査の結果がまだ出ないとして治療を受けられず、上海市内の病院の救急治療室の入り口で4時間待って死亡したと発表した。郎氏は都市封鎖のため母親の死に立ち会えなかったという。

上海市は15日午前、同件に関連して「医療機関がPCR検査の結果を待つことを利用して、治療を拒絶したり遅延させることは許されない」と表明した。(翻訳・編集/如月隼人

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