「米国の観客の目線はアジアに」=米アカデミー賞の濱口監督、主演の西島秀俊さんらが凱旋会見

Record China    2022年4月6日(水) 14時50分

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第94回米アカデミー賞で国際長編映画賞を受賞した「ドライブ・マイ・カー」の濱口竜介監督(写真中央)、主演の西島秀俊さん(右)、プロデューサーの山本晃久さんが、日本記者クラブで凱旋会見した。

2022年4月5日、第94回米アカデミー賞で国際長編映画賞を受賞した「ドライブ・マイ・カー」の監督の濱口竜介さん、主演の西島秀俊さん、プロデューサーの山本晃久さんが、日本記者クラブで記者会見した。2年前の韓国映画『パラサイト 半地下の家族』のアカデミー賞作品賞受賞に続く快挙で、濱口監督は「アメリカの観客の目線は『アジアに何か面白いものがないだろうか』となっている」と言明、「アジアの時代」の到来を指摘した。日本映画がアカデミー賞国際長編映画賞を受賞したのは、滝田洋二郎監督の『おくりびと』以来13年ぶり。

濱口監督は「この作品がこれだけ多くの国の人に受け入れられたことに驚いている」と明かした上で、「役者さんたちの力が国を越えて、本当に感情と感情で観客と響き合うような形で伝わった」と出演者に感謝した。授賞式でスピルバーグ監督ら世界の映画人と交流したことに言及し「それだけでも素晴らしいこと。今回の受賞が、今まで体験したことのない世界に自分を導いてくれる気がする」と感慨深げだった。

自身の映画作りについて「個人的に映画から受けた喜び、人生で味わった傷を、どう作品に昇華するかを考える点は変わらない。日本で作り、届け続ける唯一の方法だ」と説明した。ハリウッドから映画製作の依頼を受けた場合の対応について問われ、「脚本を読み、足をしっかりと地面に付けてやっていけるような題材があれば挑戦してみたい」と意欲的だった。

アジア映画について、「『ドライブ・マイ・カー』を選んでいただいたように、アジア映画全般に対する関心が、高まっているということは、現地の方からも聞いている。『イカゲーム』(韓国ドラマ)などがあって、アメリカの観客の目線は『アジアに何か面白いものがないだろうか』となっているようだ。あとは本当に、その目線に応える作品があるかということでしょう。観客の好奇心を貫くような作品が(アジアや日本から)出てきてほしい」と期待した。

この点については数年前から、自国の映画・音楽の世界的セールスを強力にバックアップする韓国と比較されてきた。山本晃久プロデューサーは、「ささやかな現場から始まったこの作品が、受賞を経て多くの方々のもとへ届くことを願っている」と言明。「日本も助成金はあるが、一方で人材育成や労働環境の改善の問題があって、そういったことへの意識がようやく芽生えてきた段階だ。日本映画が(国内の観客を対象とする)内需に頼る現状が続いているが、もっと外へ向けて作っていかなくてはならない。その時に国の助成が力になってくると思う」と要望した。

主演の西島さんは「誰もが喪失感を抱えている中で希望の道筋や光が描かれたことが世界で共感を呼んだのではないか」と作品を振り返り、「美しい映画だと多くの方に言われ、素晴らしい体験をさせてもらった」と語った。日本の若手俳優に触れ、「素晴らしい才能を持っており、この体験を伝えていきたい」とエールを送った。

この映画は昨年8月の公開から8か月経過した現在も、各地でロングラン上映が続き、現時点で興行収入は10億8000万円を記録している。

2年前には韓国の『パラサイト 半地下の家族』がアカデミー賞作品賞を受賞した。さらに『イカゲーム』への熱狂的な人気に続く『ドライブ・マイ・カー』の受賞と、アジア映画への関心は高まっている。日本映画も今回の受賞を踏み台に、大きなチャンスをつかんでほしい。(八牧浩行

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