シンガポール・リー首相「米国が中国を締め出せば、自らが巨大な代償」

Record China    2022年4月3日(日) 8時0分

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米国を訪問したシンガポールのリー・シェンロン首相は、中国を締め出せば米国は巨大な代償を支払うことになるなどと述べた。写真はリー・シェンロン首相のtweet公式アカウントより。

米国を訪問したシンガポールのリー・シェンロン首相は現地時間3月30日、米国外交問題評議会で開催された対話会に出席した際に、中国を締め出せば米国は巨大な代償を支払うことになると述べた。中国メディアの環球網が報じた。

リー首相はウクライナ問題の米中関係への影響について、「すでに緊張している彼ら(米中)の関係をさらに緊張させるだろう」と述べ、「米中関係がさらに悪化すれば、アジア太平洋地帯全体、ひいては世界に深刻な影響を与える」と指摘した。さらに米国は他国に対する制裁について「世界は相互依存関係にある」と認識すべきであり、大国が制裁措置を発動すれば、他国が現実的な経済の影響を受けると論じた。リー首相は、米国と中国が合理的な配慮により、関係を維持することを望むと述べた。

ウクライナ問題の台湾問題への影響については、状況が異なると主張。まず、欧州では北大西洋条約機構(NATO)が存在し、「加盟する1国への攻撃があれば、NATO全体への攻撃とみなす」とするNATO条約第5条があるなどで、踏み越えられないレッドラインが存在していると説明。ただしアジアに同様の状況はなく、台湾については中国による「一つの中国政策」があり、一方で軍事面で中国を牽制(けんせい)する米国の「台湾関係法」が存在、さらに米中間の三つの共同声明が存在すると論じた。

リー首相は「われわれは皆、台湾の現状が維持されることを望んでいる。もし変化があったとしても、暴力的あるいは非平和的な方法によるのではないことを望んでいる」と述べ、状況が変化していく中で、米中と台湾の構造をどのように解釈するかという問題があり、「アジア太平洋地域(の国々)は紛争の原因を考え、紛争を回避する方法を考える必要がある」と主張した。

リー首相は中国への対応について「中国は今後も成長・発展し、その勢いは止まらない。問題は、中国をいかにして国際システムに統合するかだ」と主張して、中国を阻止しようとしても自らが孤立し、そのような対中関係は、潜在的な危険を長期にわたって内に含むものになると論じた。リー首相は、中国と協力して中国を国際システムに統合して、互恵的な関係を構築して建設的な進展を成し遂げることも期待できると表明。中国切り離し、いわゆるデカップリングを行えば、米国は経済の巨大な代償を支払うことになると警鐘を鳴らし、さらに具体的に、「中国は米国にとっての最大の貿易相手であり、多くの米国企業の製造拠点でもある。中国とのリンクが切れれば、米国は大きなダメージを受ける」と主張した。

環球網記事によると、取材に応じた多くの専門家は、リー首相は「米中のどちらかを選ぶことはシンガポールの利益にならない。大国間の激しい駆け引きはシンガポールの利益にならない」と認識していると分析した。この考え方はリー首相だけでなく、ASEAN諸国の意見を代表するものと見なしてよいという。(翻訳・編集/如月隼人

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